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4. NPOや一般社団法人のビジネスインパクト、スケールをどう考えるか

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「ソーシャルグッド社会の実現に向けて」(シーズン2)、全5回シリーズの(その4)は、会場からの質問を受け付けます。ライフイズテックの讃井 康智さんから出された「NPOや一般社団法人は、ビジネスインパクトやスケールから、評価されにくいのでは?」という質問や、シーズン1に登壇者したサツドラホールディングスの富山 浩樹さんが、登壇者たちに問いかけます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プレミアム・スポンサーのベクトル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
ICCサミット KYOTO 2021
Session 12A
ソーシャルグッド社会の実現に向けて(シーズン2)
Supported by ベクトル

(スピーカー)

川鍋 一朗
株式会社Mobility Technologies
代表取締役会長

小助川 将
Go Visions株式会社
代表取締役

櫻井 一宏
旭酒造株式会社
代表取締役

松田 文登
株式会社ヘラルボニー
代表取締役副社長

山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

(モデレーター)

三輪 開人
認定NPO法人 e-Education 代表理事 / 株式会社e-Education 代表取締役

「ソーシャルグッド社会の実現に向けて(シーズン2)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. ソーシャルグッド事業に携わる6人が集結! その取り組みを語る

1つ前の記事
3. ICCサミットのソーシャルグッド・カタパルト、審査員の評価軸は?

本編

三輪 今日はセッションを3つのパートに分けるとお伝えしました。

熱いものを吐き出し、クールな頭で話し、今度は会場の皆さんの出番です。

その前に、ナビゲーターという立場として、これまでの話の中から、どこに共通点があるか、皆さんに持って帰ってもらえそうなものがないかと探し、2つにまとめました。

「ソーシャルグッド社会の実現」と「関係人口」

認定NPO法人 e-Education 代表理事 / 株式会社e-Education 代表取締役 三輪 開人さん

三輪 まず、審査員の方は、ビジネス目線で、ビジネスモデルとしてサステイナブルかどうかを見ていました。

なぜなら、ソーシャルグッド社会の実現を目指すからです。

ソーシャルグッドなことをしているかどうかではなく、ソーシャルグッド社会の実現に結びついているかどうかが大きなポイントだったのだと思います。

2つ目は僕の偏見も入っているかもしれませんが、関係人口の話がめちゃくちゃ面白いと思いました。

松田さんと小助川さんには共通点があります、それは僕に声をかけているところです。

ICCサミットでは日陰者になりそうな「NPO」で働く僕に、率先して声をかけているのです。

僕はめちゃくちゃ嬉しいわけです、小助川さんには秒でOKと言いましたから(笑)。

彼らは、声をかけている人の人数が他とは違います。

つまり、このICCサミットで掴もうとしているものと、関係人口を増やそうとしているその姿勢に、我々は学ぶところがあるのではないでしょうか。

ICCサミットという1,000人規模のカンファレンス、リアルで開催されるのは半年に1回で、今の状況では人とつながれる場はここしかないわけです。

その状況下で、果たしてどれだけの人とつながることができるのでしょうか。

90年や200年の歴史を持つ企業の方や、ダイナミックな社会変革を起こしている先輩経営者、起業家の話をこれだけ近くで聞いて、つながれる場はここしかありません。

そのチャンスを必ず掴もうとする2人の姿勢を、ICCサミットに初めて参加される方は持つべきだと思います。

松田さんも小助川さんも初めて参加された回があり、小助川さんは初参加のタイミングで僕に声をかけたのです。

ここに大きな差があるのではないかというのが僕の感想ですが、合っていますか?

松田 さすがですね。

小助川 さすがのまとめですね、脳みそにメモりました。

三輪 会場の皆さんも持って帰って頂けたらと思います。

「関係人口」という言葉は、今日初めて川鍋さんから聞いて、覚えました。

ではここから会場の皆さん、特に首を縦に振っていた前列に座っている皆さん、聞きたいことがあれば是非、挙手をお願いします。

カタパルトで、NPOや一般社団法人は不利なのか?

讃井 康智さん(以下、讃井) ライフイズテックの讃井と申します、よろしくお願いします。

そして小助川さん、おめでとうございます。

小助川 ありがとうございます。

讃井 教育はなかなか儲からないと言われていた中で、ビジネスモデルも含め、小助川さんは聴衆を納得させるプレゼンをされていました。

まずは教育というイシューに注目頂いたこと、嬉しく思いました。

審査項目を自分の中で決めて審査をしていたのですが、大きいものとしてソーシャルインパクトとビジネスを置いていて、あとはプレゼン力や、自分の会社との相性なども加味して審査しました。

そうなると、NPOや一般社団法人はどうしても高得点が出ない、と自分自身の中で感じていました。

NPOや一般社団法人のビジネスインパクトの出し方とスケールのあり方について、皆さんはカタパルトを聞きながら、どういう解決策を考えていたのかお聞きしたいです。

課題を適切に政治につなぐことも必要

株式会社マザーハウス 代表取締役副社長 山崎 大祐さん

山崎 僕は、ソーシャルインパクトという指標では測っていません。

なぜかと言うと、そもそも矛盾しているからです。

多様化する社会の流れがあるのに、ビジネススケールやソーシャルインパクトスケールだけを見ると、逆のことが起こります。

マイノリティをサポートする、誰も取り残さない社会にならなければいけない。

だからこそ、既存ビジネスや既存構造から漏れていく人を減らすのが、私たちの課題でもあります。

例えば、1,000人しかいないけれど本当に困っていて、でも誰も手を差し伸べないような人たちがいたとして、彼らを真剣にきちんとサポートする大事な仕組みがあるかもしれません。

ですから僕は、ソーシャルインパクトでは測れないと思っています。

そうは言いながらも難しいなと思うのが、どれくらい共感できるか、シンパシーを感じられるか、という主観の世界になってしまうことですね。

でも僕は、誰もやっていないことをしているかという、オリジナリティは重視しています。

それでもその取り組みが、心を痛めている人たち、社会的に取り残されているような人たちのためであればいいな、といつも思っています。

三輪 審査員として参加されていなかった方のためにご説明します。

実は審査票には、「丸をつけてください、二重丸をつけてください」しか書いておらず、明確な審査基準はなくて、審査基準はそれぞれの審査員にあえてお任せしているのです。

今、讃井さんがおっしゃったように、3つの基準を決めたり、点数をつけて計算をしていたりする方もいますし、直感をベースに3票を入れている方もいます。

Mobility Technologies 代表取締役会長 川鍋 一朗さん

川鍋 山崎さんの話を聞いてなるほどと思うと同時に、そういう時こそ税金の出番ではないかと思います。

それが、我々がビジネスを行って税金を払っている理由ですよね。

社会ビジネス構造から取り残されがちな人をサポートするのが社会福祉というエリアで、それは全員が払う税金で賄う部分です。

政治行政は動きが鈍いし前年主義なので、新しい課題に取り組めなかったり、テックが弱かったりします。

課題を見つけた我々が芽を出させ、あとはインキュベートしてもらうために、行政や政治につながないといけないのではと思いますね。

救う規模も、グラデーションのように段階がありますが、そこは政治の出番だと僕は思います。

それで、小助川さんやICCサミットに来ないような人たちには、どんどん稼いでもらえばいいと思います。

旭酒造株式会社 代表取締役 櫻井 一宏さん

櫻井 助け合う社会にならなければいけないので、税金といった資金での解決も絶対ありだと思います。

もう1つ、すごく良いことをされている方の会社が伸びていかないとすると、一緒にやっているパートナーやスタッフの身が疲弊していくということです。

本人にとても大事な思いがあったとしても、周りの人が飲まず食わずでいいかと言うと、絶対にそうではないと思います。

ビジネスそのものではなく、ビジネスを周りに伝えるお手伝いも、企業ができることかもしれません。

今まで、ソーシャルグッドは自分の周りのお手伝いだと思っていましたが、松田さんや小助川さんのように、ソーシャルグッドを実践しようとしている人たちのサポートをする、というつながり方もあると感じましたね。

ICCサミットの会場で、何をするか

三輪 質問の中にNPOという言葉が出てきて、立場上、私だけがNPOに所属しているので代表して答えますね。

讃井さんのおっしゃる通りだと思いますし、ソーシャルインパクト面でNPOには限界はあると個人的に感じています。

それでも私は、第一回のカタパルト・グランプリで優勝しています。

途上国版ドラゴン桜「e-Education」がバングラデシュの教育に奇跡を起こす!【F17C-EED #1】

今日の審査員と同じように日々挑戦されている経営者・起業家の方々に審査頂いて、優勝できました。

川鍋さんが触れていた関係人口の話ですが、もし讃井さんと事前につながっていたら、審査の結果を変えられたかもしれません。

ICCサミットの3日目にカタパルトがあるのに、1日目、2日目でできるのは、プレゼンのスクリプトを何度も練習することでしたっけ?と本気で思いました。

ICCサミットの会場に着いてからは、兎にも角にも、声をかけていました。

逆にカタパルトのプレゼンで外してもいいので、プレゼンではない場面で覚えて頂けたら、誰かが本気で応援してくれたら、そのNPOの未来は明るいと思います。

優勝を狙ってカタパルトに参加するNPOの方もいるかもしれませんが、会場にいる誰か1人に対して行うプレゼンが共存してもいいのではと思いました。

なぜなら、多種多様な審査員が並んでいるので、少なくともその審査員とつながれば、絶対にソーシャルグッドな社会に近づけると思うからです。

すみません、ナビゲーターなのにどんどん熱くなってきています。

川鍋 ソーシャルグッド・カタパルトは去年始まったのでしたっけ?

三輪 そうです。

川鍋 毎年こういうフォローオンをしたいですね、答え合わせというか。

三輪 グランプリの方の話は聞けるのですよね。

松田さんの場合、パラリンピックですよ。

川鍋 パラリンピックですもん、これ以上どこに行くんですか(笑)。

三輪 小助川さんがバトンを引き継いで、もっと若い、今の小学生の世代がその姿を見て未来を考え、讃井さんの質問のように、NPOと会社という選択肢があると気づき、ソーシャルグッド社会の実現に近づくのであれば、このセッションには意味があると思います。

讃井さん、ありがとうございました。

会場からの質問、あと2つ、3つ回答できると思いますが、いかがでしょうか。

初参加でも、もっと知り合う仕組み作りを

富山 浩樹さん(以下、富山) サツドラホールディングスの富山です。

質問というか、話したくなったのですが(笑)。

ソーシャルグッドとは何か、ソーシャルインパクトだけでは測れない、などすごく良い議論だったと思います。

また、何をもって審査をしたかという点は掘りがいがあると思いました。

プラットフォーマーはもっと見に来た方がいいという山崎さんの意見も頷けましたし、プラットフォーム事業を行う僕としても、コンテンツだらけだったと思います。

街づくり事業をやっているなら、ここと組み合わせたら面白そうだな、など思っていました。

ビジネスで自走できるのかサポートが必要かで分類するという、川鍋さんの意見もありました。

また、ダイバーシティやマイノリティにフォーカスすると、ソーシャルインパクトだけでは測れないけれど、サステイナブルでないと続けられないという議論もありました。

これらをもっと言語化したり、人に話しかけに行くべきだと言いつつも、話しかけられなかった人がマッチングできたり、ソーシャルグッドコミュニティ以外の人とのセッションを開催したりなど、ICCサミットでもっとできることがあるのではと思います。

そうすることで、自分たちのソーシャルグッドビジネスはこっちに当てはまるのではないかなどが、分かるようになると思います。

三輪 同じことを考えていました。

実は私、今日頂いたICCサミットのプログラム冊子に、誰と誰をつなげるべきかをずっと書き続けていました(笑)。

松田 すごい。

三輪 今日の登壇者の方々と、審査員の方々にどの人を紹介したらいいのかが、書き込まれています。

山崎 その使い方についてのセッションをした方がいいよ(笑)。

川鍋 ICCサミットの使い方ですね。

山崎 ICCサミットの取説(笑)。

三輪 プログラム冊子には、全員のプロフィールが載っています。

セッション登壇者は、赤い紐の名札を下げているので覚えておいてください。

私は昨日までスタッフをしていたのですが、会場のスタッフに「この人と会うためにICCサミットに来た」と言って頂ければ、そのスタッフは何が何でもその人を探しに行きます。

今回は間に合わなかったかもしれませんが、次回は初日から関係人口を増やしてください。

必ずもらえるプログラム冊子を見て、「この人」と指名していただければつなげますし、これは審査員へのお願いでもありますが、我々や審査員から声をかけていくような形にならないといけないと思います。

登壇される方はやはり緊張されていると思いますし、プレゼン準備をされている方は、「気づけばICCサミットが終わってしまっていた」という状態になりやすいと思うからです。

それはすごく悔しいです。

小助川さんも実践、社会を変えるプログラム冊子の活用法

小助川 実は私も、ICCサミットで誰に会いたいか予めチェックをつけていましたし、もう名刺も配りきって、無くなりました。

三輪 1回目の登壇時もそうでしたよね。

今回で小助川さんも有名になりつつありますが、最初からその意識を持って、このプログラム冊子は我々が社会を変えるための武器だと思って……。

川鍋 持ち歩くの、重いけどね(笑)。

(一同笑)

三輪 持ち歩くと重いですが(笑)、Googleドキュメントでも、(ICCの)小林(雅)さんがかなり前から公開しています。

Industry Co-Creation ® (ICC) サミット KYOTO 2021(ICC KYOTO 2021)プログラム

会いたい人を探して会える場が、ICCサミットだと思っています。

川鍋 でもスタッフの皆さん、このパンフレットは軽量化を図ってほしいです。

ちょっと重みが…。毎年どんどん厚くなっていきます。

櫻井 スマホで見たいですよね…。

三輪 スタッフとして、改善要望として承りました(笑)。

つなぐという意味で個人的に残念なのが、このセッションは、全プログラムのうちで、ほぼ最後ということですね。

富山 今のディスカッションを言語化すると、ソーシャルグッドに取り組んでいる方にとってのヒントがたくさんあると感じました。

三輪 シーズン1では、山崎さんがネクストアクションを決めて終えていたので、私も今回、最後に似たようなことを質問する予定です。

そして、私は決めました。

ICCサミットに初めて参加される方に対し、「会期中、こういう人を紹介させてください」とこちらから1人でも声をかけようと思います。

それができれば、必ずディスカッションが生まれて新しい種ができると思うので、次回ICCサミットで実施すると約束します。

(続)

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続きは 5. ソーシャルグッド社会の実現のために、もっと「関係人口」を増やそう! をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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