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1.人気シリーズ堂々第4弾!過去3シーズン「人間の理解」はいかに深まってきたか 

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「大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン4 )」全10回シリーズ(その1)は、モデレーターのリンクトイン村上さんによるシーズン1〜3の振り返りからスタート。初めての方も、過去シリーズを読んでくださった方も、準備運動としてこちらをぜひご覧ください。今回も期待を裏切らないエクストリームな議論の始まりです!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2020のプレミアム・スポンサーとして、Lexus International Co.様に本セッションをサポート頂きました。


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 2C
大人の教養シリーズ人間を理解するとは何か?(シーズン4)
Supported by Lexus International Co.

(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員 CDO (Chief Data Officer)

林 要
GROOVE X株式会社
代表取締役

(モデレーター)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

大人の教養シリーズ人間を理解するとは何か?(シーズン4)の配信済み記事一覧


本編

村上 臣さん(以下、村上) 今日はありがとうございます。村上でございます。


村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に6億1000万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)の日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。

新型コロナウイルス対策として、フェイスシールドを着用する新しい様式で行いますが、皆さんマイクを使うときは下から挿入する形でお願いしたいと思います。

北川 拓也さん(以下、北川) 非常に話しづらいですよね。テンションを上げづらいアングルです。


北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター

ハーバード大学で数学と物理学を専攻し、同大学院物理学科博士課程を修了。物性物理の理論物理学者として、『Science』、『Nature Physics』、『Physical Review Letters』などの学術雑誌へ20本以上の論文を出版。その後、楽天でデータサイエンスの組織を立ち上げ、現在は、CDO(チーフデータオフィサー)としてグループ全体のAI・データ戦略の構築と実行を担い、日本だけでなく、アメリカやインド、フランス、シンガポールを含む海外拠点の組織も統括。データに関しては、収集から管理、データサイエンスに関連したプロダクト開発、コンサルティング、プロダクトのセールスまで、あらゆる価値の創造に貢献している。現在、消費者及び人間行動の理解を目指して科学的なアプローチを加速化させること、さらに、消費者のより深い理解を基にした新たなビジネスの創造に注力している。楽天データマーケティング株式会社では2017年より取締役を兼任。データ基盤作りや科学的な理解に基づく顧客体験の提供、広告事業の立ち上げ、データによるビジネスイノベーションなどを推進している。

村上 上げていきます、上げていきますよ!

井上 浄さん(以下、井上) マイクの使い方が難しいですね。


井上 浄
株式会社リバネス
代表取締役副社長 CTO

大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学特任准教授(現任)、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授(現任)、慶應義塾大学薬学部客員教授(現任)に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや研究所設立の支援等に携わる研究者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める。株式会社ヒューマノーム研究所取締役、経済産業省「未来の教室」とEdTech研究会委員、NEDO技術委員、株式会社メタジェン技術顧問、株式会社サイディン技術顧問、等兼務。

石川 善樹さん(以下、石川) マスクの上からどうにかマイクをいれて(笑)……。


石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよりよく生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。2017年7月、子ども向け理系絵本『たす』〈白泉社〉が刊行。また近日『思想としての予防医学』が刊行予定。

(壇上笑)

村上 すでに収拾がつかない感じですけれども(笑)、本セッションのテーマ「人間を理解するとは何か?」は、なんとシーズン4を迎えました。

石川 この調子で100年間を目指しましょう! 私たちが先に死ぬか、このシリーズが終わるか(笑)。

北川 何のために、京都でやっているんだ?と。

村上 100年、1000年と続けていきたいセッションですけれども、「人間を理解するとは何か?」を聴きに来られるのが初めての方はいらっしゃいますか?

(会場を見渡して)ありがとうございます。半分は初めての方、半分はリピーターの方ということで、いつも本当にありがとうございます。

登壇者一同 ありがとうございます。

村上 皆さんのおかげで、このセッションが存続しています。

「人間を理解するとは何か?」過去3回のおさらい

村上 今回も恒例の振り返りから始めたいと思います。

北川 シーズン1から振り返るのですか?

村上 もちろんです!

井上 すごいなあ。『ドラゴンボール』よりも振り返りますね(笑)。

▶シーズン1~3の振り返りをスキップして本題から読みたい方は Part2からお読みください。

村上 われわれ人間は、4000年以上前から、人間を理解したくてしょうがない生き物ですが、それでも未だに理解に至っていません。

北川 若干われわれも、過去のシーズンの内容を忘れていますからね。

村上 そうですね。これまでを振り返りますと、いろいろな専門家の、それぞれの見地からお話をいただいてきました。

▶過去3回の全文書き起こし記事は、以下よりご覧いただけます。
【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(全7回)
【一挙公開】大人の教養シリーズ 人間を理解するとは何か?(シーズン2)(全9回)
【一挙公開】大人の教養シリーズ人間を理解するとは何か?(シーズン3)(全11回)

それから、壇上向かって左3人(石川さん、井上さん、北川さん)はPh.D.ホルダーで、非常に教養あふれるセッションを展開されることでも有名です。

▶︎編集注:石川さんはハーバード大学公衆衛生大学院修了後に自治医科大学で、井上さんは東京薬科大学大学院薬学研究科で、北川さんはハーバード大学院物理学科で博士号の学位(Doctor of Philosophy:Ph.D.)を取得されています。

シーズン1ハイライト:「青春はある」ことを証明

村上 シーズン1では、人間を理解するためのアプローチはいろいろあり、自然科学、社会科学、人文科学の学問分野によって違いがあることを確認しました。

理解するために方程式にしたがる自然科学的アプローチの人もいるし、「近似」を見つけたい社会学的アプローチの人もいるので、いろいろな切り口で理解することができます。これは、一つの「癖(へき)」ですね。

▶予防医学専門の石川善樹さんによる解説。
1. 諸科学は万物をどのように「理解」しているか? 自然科学・社会科学・人文科学で異なる“理解の作法”

スライド右上には、伝説のスライドを挙げましたけれども、なんと科学的に「青春はある」ことが証明されました。それがシーズン1のハイライトでした。

▶伝説のスライドの詳細はこちらをご覧ください。
4.『青春と僕』――楽天CDO・北川拓也は今、科学者として「青春」を理解する

シーズン2ハイライト:心の揺れ、違いが人間である

村上 シーズン2はシーズン1を受けて、もう少し「心」というほうに注目をしました。

毎回1人“刺客”として別のジャンルの専門家を招くスタイルになりつつありますが(※) 、シーズン2では春光院副住職の川上(全龍)隆史さんをお招きして、仏教的な視点から理解をしました。

4. 禅における“円相”が西洋人に理解されづらい理由

▶編集注:シーズン2では川上(全龍)隆史さん、シーズン3では渡邉 康太郎さんに登壇いただきました。

スライド左上のグラフは、サンスクリット語から始まっていますが、皆さん読めますよね。「स्मृति(サティ)」マインドフルネスです。

2. 言語のグローバル化が「人間の理解」を加速する〜マインドフルネスの概念を例に

この話題での発見は、スライド右上の「動的平衡」です。人は一所に留まっているわけではなく、振り子のように揺れている中に存在していて、その時々によって良かったり悪かったりがあります。それを包括して見ることで、人間は存在しています。

3.「平穏無事が最善なり」京都・石清水八幡宮の世にも珍しいおみくじとは

いろいろなプロットがありますが、スライド下中央の写真が(井上)浄さんの研究です。

人から取れるデータを全部取ってプロットしてみたら、結局「みんなちがって、みんないい」という結論になりました。

8.「みんなちがって、みんないい」を科学する〜湯野浜ヒューマノームの事例

井上 そうそう(笑)。「結局そこなの?」という声をたくさんいただきました。ありがとうございます。

シーズン3ハイライト:スピンオフセッションも誕生!

村上 そうですね。そして前回のシーズン3は非常にいろいろな話ができて、北川さんから「帝国の作り方」(スライド左)を解説してもらいましたが、そこからスピンオフの古典、歴史を学ぶセッション(※) ができました。

▶北川さん解説の「帝国の作り方」は下記よりご覧いただけます。
3. 帝国の作り方(前半):兵を挙げ、圧倒的な領地拡大で「実力」を証明する
4. 帝国の作り方(後半):インセンティブで士気を高め、ルールと秩序で統制する
5. 帝国の作り方(おまけ):地方有力貴族を生かしたまま、官僚を送り統治する

▶編集注:ICCサミット KYOTO 2020で、「新シリーズ – 歴史から学ぶ「帝国の作り方」(90分拡大版)」のセッションがが行われ、石川善樹さん、北川 拓也さんに登壇いただきました。
【一挙公開】新シリーズ 歴史から学ぶ「帝国の作り方」(全10回)

村上 そしてスライド中央は(ICCパートナーズ代表小林)雅さんから、「初めて(石川)善樹さんからビジネスに役に立つ話を聞いた」と言われた、イーロン・マスクの未来構想のロジックです。

7.「産業構造を変えるレバー」を引く起業家、イーロン・マスクの未来構想のロジック

僕は今でも、これをとてもいいスライドだと思っていて、縦に2つ並べました。

アルティメットゴールというか、「火星に行きたい」という飛び抜けた夢を実現するためにどういうステップを取るのかというと、「企業のイノベーションと産業のイノベーションの両方が必要だ」ということでした。

それをイーロン・マスクがどのようにやっているかというと、まずは電気自動車のように儲かるところでお金を貯めてから、ロケットを造って火星に行くというステップ論を取るという非常に役立つ話でした。

また、スライド左は歴史には非常に学べるということで、「全軍前進!」と北川さんに発声いただきましたが、あまりウケなかったですね(笑)。

北川 あまりウケなかったですね。でも今日は雅さんが今日Facebookでこれを使っていました(笑)。

村上 ただ一定の層にはウケていて、今日も歴史のセッション(新シリーズ – 歴史から学ぶ「帝国の作り方」(90分拡大版)」がありますけれども、これも非常にマニアの方から好評なセッションになるのではないかと思います。

北川 「全軍前進!」、バカウケすると思ったのですが、全然だめでしたね(笑)。

村上 そして、Takramの渡邉康太郎さんを“刺客”としてお招きしました。

北川 スライド(右上)のおしゃれさが違いますよね(笑)。

村上 スライドが超おしゃれなのですが、渡邉さんが言っていたのは「誤読」ということでした。

9. “誤読”で生み出された「時間の測れない砂時計」の物語

「コンテクストデザイン」というのはそもそも何なのか? デザイナーの意図と見る側の意図が全然違うように見られて、鑑賞者だった人が逆に表現者に代わってしまうことが起こります。

現代美術でも、一見意味が分からないようなぐじゃぐじゃした絵があって、それを見て人はいろいろな意味付けをしたがります。そういうところに「誤読」の可能性があって、積極的に「誤読」をしていくことで、新たな表現や可能性が生まれます。

そもそも「コンテクスト」とは、“con-(一緒に)”と “texere(編む)”で、共に編んでいくところから生まれていて、表現者だろうが鑑賞者だろうが、それはフラットな立場で、お互いが影響を及ぼし合っていくという話でした。

これはまさに、イノベーションそのものかなというところです。

ICCサミットも、皆さんが集まって“con-texere”していくところから、新しい産業が生まれていくのではないか、そして、われわれ人間は4000年ぐらい人間を理解することの議論をし続けていて、その一部としてこのセッションがあるということでした。

(井上)浄さんからは、リンパ組織の中に集まっている免疫細胞の話をしてもらいました。

10. 人間を理解するためのリンパ組織的考察〜僕らの境目〜

免疫細胞には境目があり、境目は加齢によって消失していき、境目が曖昧になると不具合が起こります。境目を「やたらめったら越境すればいいということでもない」という「リンパ組織論」の話をしてもらいました。

11. 過去も未来も、アートも科学も、全ては「人間の理解」のために【終】

要は、加齢によって細胞のきっぱり分かれている境目が浸食されて混ざっていきますが、ビジネスの世界で「イノベーション、イノベーション」と言って、「越境しろ」と言っているけれども、やたらめったら越境したら、それは実は「老化」なんじゃないかということです。

北川 深いですね!

村上 浄さんの言葉で僕がよく覚えているのは、「世界は今、老化しているのかもしれない」という言葉です。イノベーションをしているかと思いきや、実は老化しているのではないかということです。

北川 もっと僕たちは外れ値にならないといけない、みんなが混ざり合って仲良くやっていても、世の中は進化しないんだということですよね。

井上 そうなのです。結局「境目」を作らないとだめなのかなと思います。

石川 「膜」が大事という話でしたね。

シーズン4は二部構成でお送りします

村上 「境目」というものや、そこに至る、もしくはどういうアングルで編んでいけばいいのかというところはまだまだ議論が足りないなと思いまして、今日はあらかじめお話ししますと、二部構成で進めていきたいと思います。

ちなみにどういう構成をするかは、DJ村上に一任されているので、登壇者の方は今知りました。

それぞれスライドを受け取って、僕の中でアヴィーチー(スウェーデン出身の音楽プロデューサー・DJ)的なノリでウェイウェイするような感じのストーリーを今日は脳内に作り上げていますので、それを一気に進めていきます。

先攻、後攻2人組でスライドを発表していく形にしますが、その間にまとめが入ります。まずは先攻の「概念論」です。

「人の概念」にフォーカスして、人間を理解するためには人はどのような思考をして、どのようなプロセスで「概念」を形成していくのかを前半に話し合います。

後半は、もう少しそれを解析や分析したりするところを研究していくことで見えるものがあるのではないかという二部構成でいきます。

そこで、トップバッターはなんと今回、“刺客”としてロボットを作っておられるGROOVE X 林 要さんからお願いします。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは LOVOT開発秘話① GROOVE X 林 要さんを勇気づけた「受動意識仮説」とは をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/星野 由香里/戸田 秀成/浅郷 浩子

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