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AIを活用すれば組織を活性化できる【SP-AI1 #6】

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2016年に配信した、AI(人工知能)に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016から、IoTやAIによる人間社会の変化を議論したセッションを3回に特選してお届けします。AI特集(その6)は、日立製作所の人工知能ラボラトリ長 矢野さんに、AIを活用した組織の活性化についてお話し頂きました。ぜひご覧ください。


登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 1A
「IoTやAIによって人間社会はどう変わるのか?」

(スピーカー)

落合 陽一
筑波大学助教 ・ メディアアーティスト

河瀬 航大
株式会社フォトシンス
代表取締役社長

矢野 和男
株式会社 日立製作所
理事 研究開発グループ技師長 兼 人工知能ラボラトリ長

(モデレーター & スピーカー)
中村 洋基
PARTY
Creative Director / Founder

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【本編】

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本記事は以下の2つの記事を再編集した記事となっております。全文は以下の記事をご覧ください。
組織のハピネスは加速度センサーで測れる(日立 矢野)【K16-1A #7】
「AIは社会的コンフリクトを生み出すか?」IoT/AI で変わる人間社会を徹底議論【K16-1A #9】
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組織のハピネスは加速度センサーで測ることができる

矢野 AIの最大の特徴を話したいと思います。AIはアウトカム、つまり目的を与えると、データからやり方を自分で考えます。なので、AIにいい目的を与えれば、とってもいいことをやるし、大した目的を与えられなければ、大したことが出来ません。

なので、機械学習のアルゴリズムよりも、どれだけいい目的を与えられるかということの方が、よほどAIの価値を決めます。

我々は、幸せを測ったり、人間を測ったりということをやっています。

2006年の3月16日から、私は左手の動きを24時間365日測定しておりまして、今年の3月で丸10年になりました。

この(下図の)データは2009年の私で、赤い所は活発に動いている所で、青い所は止まっている所です。例えば、この辺りは、寝ているので青い帯状になっています。

1日中躁状態のように活発に動いている所は、家を新築した日で、ダンボールと格闘していました。

これ(下図)は直近7年の私のデータです。

これ(下図)は4人の方々の1年の人生のデータです。例えば、Bさんのように朝5時に毎日規則正しく起きている人もいれば、Cさんのように日々柔軟な人生を選択されている方もいれば、Dさんのように通勤帯の赤い帯が出来ている所に、2本の赤い筋がありまして、これは2回乗り換えていることを表しています。

すなわち記録しているゴミのようなデータをある程度集めてパターンを見出してくると、色々なことが分かってきます。

その中から、人間の幸せが見えてくるに違いないということで、我々は10個の組織の468名の方に、20問の質問をしました。

「今週幸せだった日は何日くらいありましたか?」や「悲しかった日、楽しかった日、孤独だった日が何日くらいありましたか?」という質問をして、ゼロから3の数字に置き換えて、職場における数字がどれくらいかに応じて幸せかどうかを表しました。

人間ではコントロールできないような無意識のパターンの中に相関係数0.94という数字が出てきました。アンケートまでとらなくても、胸に加速度センサーを付けて頂く中で、幸せが測れます。

▶2015年2月9日ニュースリリース「集団の幸福感に相関する「組織活性度」を計測できる新ウエアラブルセンサを開発」(株式会社日立ハイテクノロジーズ/株式会社日立製作所)

出所:「Hitachi AI Technology/組織活性化支援サービス」より引用

実は行動に多様性があり幸せを感じている人は生産度が高いことが分かりまして、コールセンターでも店舗でも開発プロジェクトでも生産性が高いことが分かりました。

我々は、人間の集団をハッピーにしようということで、どういったコミュニケーションや時間の使い方をすれば、皆さんがハッピーになるのかを考えてシステムを作りました。

例えば、コールセンターでは、スーパーバイザーの人に対して、「今日はこの人に優先して声掛けをしましょう」というのを人工知能がアドバイスするようにしたところ、平均で27%受注率が増えたという事例があります。

この1年で13社以上に導入がされまして、非常に引き合いが多く、受けきれない状態になっています。

出所:「Hitachi AI Technology/組織活性化支援サービス」より引用

日立もこの6月から600人の営業さんが人工知能から毎日スマホを通じてアドバイスが来る仕組みを使っていまして、「上司に会うには午後がいいよ」あるいは「5分以内にしなさい」といったアドバイスがされます。

人工知能によってコストをかけずに個別解を導く

矢野 最初に誤解を解いておきますと、先程人間の動きを加速度センサーで測定していると言ったのですが、よく質問されるのは、「たくさん動いたらハッピーになれるのでしょうか?」ということです。

そういうことでは一切ありません。

よく歩き回っている営業さんの方が、机の前に座って仕事しているプログラマーさんより幸せであるということはありません。

統一的に測定は出来ても、非常に無意識的な動きをコントロールすることは出来ないです。

この1年で15社ぐらいに導入頂いているのですが、ハッピーな状態を統一的に測定出来ても、どうやってハッピーになるかは千差万別ということです。会社によっても異なるし、1人1人全く異なります。

ある会社では、課長さんが早く帰った場合に、みんながハッピーになりましたし、他の会社では、課長さんがこまめに声掛けした場合にみんながハッピーになりました。

あるいは、違う部署では、契約社員の方がみんなとよくコミュニケーションをとっていると、みんながハッピーになりました。

または、ある製造業の会社で、コミュニケーションが大事であるという活動を積極的に行っていて、元から平均値よりもコミュニケーションが多い会社でした。

そちらに対して人工知能とデータが出した答えは、30歳以下の若手が1時間以上の会議に出ていると、みんながアンハッピーになっているということでした。

コミュニケーションが大事であるという活動が行き過ぎていて、若い人たちは、自分の仕事をしたいのに不要な会議に出されてしまっているということですね。

なので、何が言いたいかといいますと、コミュニケーションを増やせばいいとか、動けばいいとかそういった単純なことではなく、1人1人ハッピーになる方法は千差万別であるということです。

これは当然のことで、バックグラウンドも経験も役割もみんな違うので、こうなったら必ずハッピーになるという安直な解があるわけではありません。

だからこそ、逆にしっかり測定して人工知能とデータによって個別の解を出すということですね。

従来であればコンサルティング会社に何千万円も支払ったとしても解に行き着くことが出来なかったのが、人工知能とデータによってコストをかけずに個別解を導き出せるということです。

これがAIやIoTの最大の特徴なので、何が変わるかというと、今までの一律のベストプラクティスを勉強するという世界から、もっと個別的になってくるということですね。

(続)

続きは 〔AI特集〕AIが仕事を奪うどころか、新たな仕事を生んでいる をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/藤田 温乃


【編集部コメント】

続編(その7)では、AIによって生まれる新たな仕事と、AIが社会に浸透する際に起こりうるコンフリクトについて議論しました。是非ご期待ください。

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