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「自分が不便なものはユーザーも不便」ナビタイムジャパンの徹底したユーザー目線の秘訣【SP-MN4 #10】

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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「社会/ユーザー/社員から永く愛される会社を創る」を10回に再編集してお届けします。11回シリーズ(その10)は、会場からの質問を受け付け、ユーグレナ出雲さんなどの質問を議論しました。登壇者同士、ユーザーからの声をどう拾うか?等、白熱した議論となりました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。参加者の募集を開始しました。

登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 7D 
「社会/ユーザー/社員から永く愛される会社を創る」
 
(スピーカー)
大西 啓介	
株式会社ナビタイムジャパン	
代表取締役社長 兼 CEO
 
高島 宏平	
オイシックス株式会社	
代表取締役社長
 
山田 貴士
株式会社ネクスト(当時)  	
取締役執行役員 HOME’S事業本部長
*株式会社ネクストは2017年4月1日に株式会社LIFULLに社名変更
 
吉田 浩一郎  
株式会社クラウドワークス 
代表取締役社長 CEO
 
(モデレーター)
武田 純人
UBS証券株式会社	
マネージングディレクター

その1はこちら:【新】社会/ユーザー/社員から永く愛される会社を創る【SP-MN4 #1】
その2はこちら:社会性と利益追求のスピリットをどう両立させていくか?【SP-MN4 #2】
その3はこちら:「社員に利益目標はない」ナビタイムジャパン独自の”大学の研究室型”組織づくり【SP-MN4 #3】
その4はこちら:オイシックスが惚れた、買い物難民を救う移動式スーパー「とくし丸」とは?【SP-MN4 #4】
その5はこちら:オイシックス高島氏がNPO・NGOを次々と支援する理由とは?【SP-MN4 #5】
その6はこちら:「豊田、孫、吉田と毎日念じる」クラウドワークス吉田氏の経営術【SP-MN4 #6】
その7はこちら:組織の求心力を社会課題そのものに向けよ(オイシックス高島)【SP-MN4 #7】
その8はこちら:なぜナビタイムジャパンは「昭和な」社員旅行を続けるのか?【SP-MN4 #8】
その9はこちら:オイシックスでは、大ピンチ時にテーマソングを流し、お菓子を配る【SP-MN4 #9】


武田 ありがとうございます。

区切りがついたので、ここで会場のみなさんから今までの議論等に関してご質問があればいただきたいと思います。

ではミドリムシを愛している出雲さん、ご質問いかがでしょうか。

出雲氏 吉田さんのメンタルというかセルフマネージメントに関しての質問で、かなり他の人に「こういう吉田さんを支えたいな」と会社のメンバーにも思ってもらうという結果になってると思うんですが、それは意図しているのかしてないのか、また当初は意図していなかったけれども、思ったよりもこういうマネージメントのスタイルもいいなと思って今はそれを強調されているのか。

ご自身の本当に言いたいことのうち半分ぐらいしかおっしゃって いないと思うんですが、今のスタイルはどうしてこなって、今はそれが楽なのか、どういうふうにお考えなんですか。

出雲 充 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
 
東京大学農学部卒、2002年東京三菱銀行入行。2005年8月株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。同年12月に、世界でも初となる微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leader選出(2012年)、第一回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」(2015年)受賞。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』(ダイヤモンド社)がある。

「自分には能力がない」が大前提

吉田 営業利益1兆円を達成するか、私が倒れるか、のどっちかだと思っているんですが、基本的には自分には能力がないと思っているのが大前提にあります。

勉強やってもダメだし、ビジネスは成績は良かったんですがチームマネジメントができなくてマネージャーを降ろされたり、ドリコムも上場後に役員を降ろされたり、1回目起業して役員が出ていったり、とにかく人望がないんです(苦笑)。

そういう中でどうしたらいいのかを考え、自分は能力が無いということを前提に、他人に「お願いだから力を貸してくれ」といった感じで他人の居場所を作ることが仕事なのかなと、それぐらいぎりぎりのところできています。

多分ここら辺にいる起業家は優秀な方が多くて、最近特に東京大学を出たりハーバード大学出たり色んな方がいらっしゃいますよね。

正に(あすかアセットの)谷家さんがいらっしゃいますが、谷家さんにアドバイスいただいたのは大きいです。

私は(ライフネット生命の)岩瀬さんに憧れて、谷家さんに「私も岩瀬さんみたいになりたいので132億円 投資してください」というお願いをしたことがあったんですが、「目指すべき人を間違えている」と谷家さんに言っていただきました。

「吉田さんは人間力で勝負するタイプだから、(サイバーエージェントの)藤田君等の人を育てるタイプの人がいいんじゃない」と言われて、そのままその後すぐに藤田さんにアポイントを取ったら10億円の 出資にコミットいただいたという経緯があるぐらい、創業2年たってもまだ岩瀬さんを目指そうとしてて、自分のロールモデルじゃない人を目指すぐらい自分のことを分かっていないわけですよね。

それぐらいの感じで他人に教えていただきながらどうにかこうにかやっていっています。

シンプルな星評価で顧客からのフィードバックを受け取る

高島 ナビタイムさんに質問したいのですが、ユーザーに愛されるというのも今日のテーマですが、僕らみたいにサービスを具体的に提供しているところだとお客さんを満足させるためにはよりおいしいもの、より新鮮なもの等がありますが、ナビタイムさんの場合はインフラに近いですよね。

それは他社と比べてどうやって愛されるというか満足度を獲得してきたのか、或いは不満度を下げてきたのか、たくさんの競合があった中でどうやって最終的に一番支持されるようになったのでしょうか。

大西 本当に当たり前のことですが、特にスマートフォンになってからは口コミが出てきます。

我々は外注していないので、作っている人が毎日見て一喜一憂して、それが開発者冥利に尽きる、社員もそれが一番楽しいと言っています。

良ければ嬉しいし、ダメならすぐに何とかしよう、そういう気持ちが常にあるということだと思います。

高島 いいとかダメとか、お客様の満足度を評価する指標はどうやって見ていますか。

大西 単純に言えば★ですよね、それが一番分かりやすいです。

アプリの★を5にすることが目標で、我々のサービスは殆どが★5に近いです。

高島 ★が4の時、どこに問題があるかはどのように探していくんですか。

大西 それはそれぞれのプロジェクト毎にとにかく上げるようにしていて、私が指示しているわけではありません。

我々のサービスは普通の人ならみんな使うので、社員も全員自分で使ってるわけです。

日々使っていて不便なものはユーザーも不便、これがまず第一ですよね。

ICC KYOTO 2016

リリース前に自分で使ってダメなものは徹底的に直し、リリース後にユーザーから出たらすぐに直す、この仕組は非常に分かりやすいです。

吉田 改善チームは何チームぐらいあるんですか。

大西 改善チームではなくて、エンジニア全員が自分のプロジェクトを自分で直します。

吉田 組織図的にはどうなっていますか。

大西 事業部の下にプロジェクトがあって、それぞれの中で乗り換えのアプリを作ったり、カーナビを作ったりと、アプリ毎にプロジェクトがあります。

吉田 アプリ毎だと人数多めになりますよね。

大西 今社員が三百数十人いて40プロジェクトぐらいあるので、平均すると1つのプロジェクト5人~10人です。

机は必ず近くにするので、すぐに喋れる距離、フェイス・トゥ・フェイスを大事にしています。

高島 同じことをネクストさんにもお伺いしたいのですが、サービスとして一般エンドユーザーの満足度を勝ち取ってくるというのと、一方でお金くれている人達はユーザーさんではなくてクライアントさんですよね。

どっちも満足させなければいけないと思いますが、双方の満足が対立した時にはどのように判断されていますか。
山田 ユーザーが自分にピッタリの住まいが見つかるというのをまず最初に見ているので、そういった方を不動産会社さんに送客できて、不動産会社さんもそれによって売上に繋がっていくということでクライアントさんに価値を感じて貰っています。

ICC KYOTO 2016

先程のマルチステークホルダーの考えで全てのステークホルダーを大事にしていますが、仮に衝突した時には究極の順番としてコンシューマーから、一般のユーザーの方の利益を優先に、ということをガイドラインで定めています。

Slide 4 of Next

高島 一般のユーザーさんの満足度は、大西さんは★とおっしゃっていて、僕らの場合は解約率、つまり買ってた人が買わなくなる率で見ているんですが、どういうものをご覧になっていますか。

山田 アプリがあってフィードバックが直接くるようになってやりやすくなってきてはいますが、ウェブサービスの中でいくとアナリティクスの数字を見たり、アンケートをとったり、ということをしながらフィードバックをしています。

最近はNPS(Net Promoter Score)というのが出てきているので、それも取り入れていこうと思っています。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

続きは 【最終回】「同業他社は気にしない」独自路線を貫き、愛される会社となる をご覧ください。

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【編集部コメント】

続編(その11)では、「愛される会社を創る」というテーマでの本セッションで感じた学び等を登壇者同士シェアしました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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