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「組織単位を小さくし、社員の当事者意識を作り出せ」新規事業を生み出し続ける組織づくり【F17-4A #6】

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「新規事業を生み出す人材はどのように育成するのか?」【F17-4A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その6)は、新規事業を生み出す人材の育成の仕組みについて、オールアバウト江幡さん、ビズリーチ南さんにお話しいただきました。オールアバウト江幡さんが話す、新規事業に必要な2つのチカラのお話しも勉強になります。是非御覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 4A
新規事業を生み出す人材はどのように育成するのか?
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)
江幡 哲也
株式会社オールアバウト
代表取締役社長兼CEO
オールアバウトグループ代表

小渕 宏二
クルーズ株式会社
代表取締役社長

南 壮一郎
株式会社ビズリーチ
代表取締役社長

山口 文洋
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
代表取締役社長

(モデレーター)
伊藤 羊一
ヤフー株式会社
コーポレート統括本部
Yahoo!アカデミア本部長

「新規事業を生み出す人材の育成」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】新規事業を生み出す人材をどのように育成するか?【F17-4A #1】

1つ前の記事
人材を育てるのは、経営者ではなく、事業である【F17-4A #5】

本編

伊藤 江幡さん、いま山口さんから日々の事業改善を文化にしていくこと、小渕さんから市場や事業の勝ち筋を経営側で見極めて、現場に全てやらせる等、それぞれのスタイルをお伺いしましたがいかがでしょうか?

江幡さんは、リクルートでのご経験もあるでしょうし、評価の面でもサポートしながら文化になっていくような動きをされている、そのような感じでしょうか?

江幡 僕が先に申し上げたのは過去の話で、いま自分の会社ですべてできているかというと、事業構造も会社の規模も違いますので異なる部分もあります。

やはり採用力も異なりなす。また、環境要因として20年前と今を比べるとビジネスモデルや、事業を考えるうえで必要な情報の流通は非常に速く、事業アイディアのレベルは多くの人が模倣できます。アイデアより実現力です。

新規事業には0→1と1→10、2つの力が必要

江幡 0から1を実現するチカラ、そして1を10にするチカラの2つが必要です。事業領域で勝てるかを徹底的にリサーチし、オペレーション設計にこだわり、徹底的に磨き上げることが重要です。まったくの新規事業を立ち上げるのは現場まかせでは難しい部分もありますね。

オペレーションを磨き上げるためには、一人ひとりが「圧倒的な当事者意識」と「目的意識(何のためにやっているのか?)」を持つカルチャーが必要です。

自分のところではどうしているかというと2パターンあります。

ポテンシャルと勝ち筋があると思ったものは、これをやりたいと社員が自分ごととして言ってくるような環境や機会を大切にして、そのうえで例えば自分や0を1にすることが得意な人間が関わる部署にある期間おいて0を1にするフェーズに一緒に取り組みます。そして乗り越えなくてはいけない最初の壁を超える実感を得られれば、組織化して任せる様にします。これを1回転マネジメントと名付けてます。これが1パターン目。

もう1パターンは、先程お二人がおっしゃった様な、現場での日々の改善は僕も非常に重要だと思います。これを生むのも現場の「圧倒的な当事者意識」です。

それがなにより重要だと思っているので、そうしたカルチャーを創りやすくするために、6年前くらいから事業部でいい事業単位をあえてすべて別会社化しました。そして各会社は親会社子会社という概念ではなく、グループにおいて事業領域別に責任を持つコア会社という位置づけにしました。

小さい単位にすることが、一番簡単な「当事者意識」カルチャーを生む手法です。併せて社長のポジションができますね。事業部長ではなく、社長です。社長は役員含むすべての職責とはまったく異なるものです。やってみなくてはわかりません。

伊藤 責任を負わせるということですね。

江幡 はい。この6年くらいやってきた結果が出てきていて、とても良かったと思っています。

伊藤 それは小渕さんがおっしゃっている、やらせるということに近いですね。

江幡 はい、似ていると思います。

伊藤 一番初めは江幡さんが一緒に伴奏しながらというところはありますが、とにかく事業部に分けて任せてやっていくという。経験が人材を作っていくということですね。

江幡 僕の得意分野は0から1の方で、1から10の方が得意な人はたくさんいるので、その組み合わせでやっています。

伊藤 江幡さんは様々な経験をお持ちのため、社長を置いても彼らが困ったらコーチングやフィードバックという形でサポートをしたくなられるのではないかと思いますが、その辺は如何ですか?

江幡 サポートはします。ほったらかしには出来ないので。どちらかというとこちらからこうしなさいと指示する事は無く、相談に来てもらって、まずは「で、お前はどうしたいの?」と問い詰めつつコミットを引き出します。

もちろん誰かを紹介したり、やり方についてアドバイスしたりします。一緒にやってみることもたくさんあります。

また、会社に分けて良かったのは明朗会計になったことです。

伊藤 逃げ場がなくなりますね。

江幡 管理コストも増えますし、スタッフは大変ですが。グループ横断で支援する共通機能スタッフもとても重要です。一緒に支えてくれるスタッフには本当に感謝しています。

小渕 僕もほったらかしというよりは、キードライバーとなるものは何か、その数値目標だけを握ります。

後は1ヶ月毎等にその数字がどうなっているか確認し、売上に繋がっていれば良いですし、その様に追いかけ、江幡さんがおっしゃっていた様に誰かを紹介したりとか、どこを狙うかについて等も話します。

伊藤 あくまでコーチとしてやっていくということですね。

伊藤 ビズリーチさんは如何ですか?

成功する新規事業のパターンはある

 今のお話は大変勉強になりました。そして、企業の成長フェーズによってマネジメントの仕方を皆さん変えていらっしゃるところに興味を持ちました。

ビズリーチは、現在8年目ですが、さまざまな新規事業に挑戦してきました。そして、皆さんと比較して、成功事例はまだまだ少ないので参考になるか分かりませんが、成功する新規事業のパターンはあると思います。

その領域の中での勝ち筋や、その業界の中ではどのくらい利益が出るとか、きちんと情報収集すれば見つかります。例えばITの世界においては、日本よりも、圧倒的にアメリカの方が進んでいると感じているならば、アメリカの成功事例を徹底的に調べるべきです。

ありがたいことに、自分は金融やスポーツ領域、そしてITの世界でもHRテックやECの新規事業に携わらせてもらいましたが、色々やってみた結果、新規事業の立ち上げ時の打ち出し角度や考え方というのは、全てが同じではないにしろ、大体皆さん共通点があるように感じました。

ですので、自分が何をやってきたかというと、先程山口さんのお話にもあった様に、事業の財務モデルを一度自分でも作り、そうすると、大事な事業上のパラメーターは大体分かるので、その作業を通じて、頭の中で事業を構造化しています。

その後、担当者が各自予算を作ってくるので、その予算にピントが外れているかどうかすぐ気付けます。また事業の進捗について報告を受けた際も、重要な数値とパラメーターばかり見ていきます。

事業の方向性や勝負のポイントを外していないかの確認以外は、あと事業の責任者が実際一番事業のことを見て、考えているはずですので、とことんやってもらうためにも、なるべく無駄な口出しをしないようにしています。新規事業については、このような傾向がさらに強く、スタート時の打ち出し角度と初期の勝負ポイントを明確にして、あとはとことんモガき続けることです。

偉そうに色々と言っていますが、自分もたくさんの失敗をしてきましたし、全ての新規事業が当たるということは絶対にありません。そのような気持ちの持ち方も大事かもしれません。

失敗や逆境に強いこと、胆力をもっと事業を推進することが、ひょっとすると新規事業で一番大事なことかなと思います。

(続)

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続きは 新規事業を任せる人材をどう選び抜くか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

事業を社員に任せきる胆力は、ビジネス構築に自信のある創業経営者にとって、「自分がやれば」「いやいやそれでは人は育たず」の葛藤になりそうですね(榎戸)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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