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大学発技術ベンチャーのチャンスとリスクとは?【KT16-1B #6】

ICC TECH 2016 Session1B

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「技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」」【KT16-1B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その6)は、エクスビジョンの森本さんにテクノロジーベンチャーと大学発ベンチャーの可能性についてお話頂きました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


2016年9月8日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC TECH」
TECH Session 1B
技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」

(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表

森本 作也
エクスビジョン
COO

(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

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【本編】

森本 次に技術シーズベンチャーのチャンスとリスクについてお話ししたいと思います。

大学発の技術ベンチャーの可能性

サービスだとユーザーの文化や消費者行動などが重要になってきますが、技術ベンチャーのシーズというのは我々も含め、技術面の強みがあるとグローバル展開がし易いというチャンスがあります。

それから、インパクトが大きい。

これは、例えばインテルやマイクロソフトなどの会社に採用されると、あらゆる部品に組み込まれたりするので、非常に大きなインパクトを与えることができます。

また、技術優位性が武器になっているケースが多いので、参入障壁が高いというメリットもあると思います。

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一方で多くの場合、グローバル化のための人材が不足しているということをよく感じます。

ベンチャーに入る、グローバルの視点をもった技術人材、ビジネス人材というのはめったにいません。

技術も分かる、ビジネスも分かるという人材もなかなかいません。

また、今ご覧になってお分かりになると思いますが、製品開発やビジネスモデルの確立に非常に時間がかかります。

社外のトレンドを見て、自分たちの技術を見て、その上で何を作るべきかを決めなくてはならないので、この部分に非常に時間がかかります。

それからもう一点は、国内の成長余地、エグジットです。

これまでに、技術ベンチャーが日本メーカーに採用され、買収にたどり着いたケースは残念ながらあまり多くはないです。

これはいろいろな理由がありますが、技術的に「Not-invented-here」である、つまり自分たちで作ったものでないから採用しないとか、前例がないから採用しないとか、あるいは新たに市場を作っていくという意識が希薄であるとか、様々な理由があります。

ですので、国内における成長余地や、エグジットの機会が限定的だというのがあります。

これが技術シーズベンチャーのチャンスとリスクだと思います。

大学教授・研究室と近いことで得るメリット

森本 それをもう少し絞って、大学発のベンチャーのチャンスとリスクについて述べますと、今度は、参入障壁が極めて高い。

更に高くなります。

なぜかというと、我々の例を挙げれば、石川研究室で20年蓄積された技術を持っています。

ひとつのことを20年やり続け、振り返れば誰もついてこなかったという状況で、高速画像処理という技術が、他の会社でうまく実現されているのを私は見たことがありません。

圧倒的な力を持っており、他社が同じことをやろうとしても、優に4、5年の時間差があります。

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それから大学の教授というのは、いろいろな大学と交流をしたり、学会で論文を発表したりして、自分の技術が常に世界のピラミッドのどこに位置するかということを分かっている場合が多いです。

自分の技術はMITのどれどれより優れている、シカゴのあの技術よりも、グーグルのあれよりも優れている、というのが分かっているわけです。

そして、いろいろな会社と共同開発をしているので、個別企業の課題に非常に精通しています。

この技術はあそこに使えるのではないか、というようなことをよく分かっています。

それから、研究室なので優秀な人材を採用し易いです。

我々の場合は、東大の石川研究室に所属する50人のマスターとPhDの学生が、我々の基礎研究所のような役割を果たしているので、多くの優れた研究者を持っていると言っても過言ではありません。

それから当然、企業とのネットワークも作り易いです。

リスクとしては、個別の会社の課題は分かる一方で、産業全体としてその課題がどれだけ影響するのかということについては分かりにくい。

余りにたくさんの技術を使っているために、なかなか事業にフォーカスしにくいという点が挙げられます。

そしてビジネス系の人材が不足しています。どうしても、技術系の人材に偏ってしまいます。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

続きは 大学発技術ベンチャーは世の中の情報から孤立している をご覧ください。

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【編集部コメント】

技術とビジネスの両方が分かる人材は社会に求められていますよね。けれど例えば、「技術を分かる」っていう言葉の意味って難しいですよね。「製品を作れる能力がある」ってことまで指しているのか「製品を見てどんな仕組みで動いているか分かる」程度の意味なのか。続編では、技術系の人がビジネスに疎い点についても議論します。ぜひご期待ください。(横井)

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