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米IT企業が次々と買収!身ぶりで家電を操作する”ジェスチャーUI市場”がアツい【KT16-1B #5】

ICC TECH 2016 Session1B

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「技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」」【KT16-1B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その5)は、エクスビジョンの森本さんにジェスチャーUI市場での各社のM&A競争についてお話頂きました。 是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。

 


2016年9月8日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC TECH」
TECH Session 1B
技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」

(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表

森本 作也
エクスビジョン
COO

(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役

技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」の配信済みの記事一覧

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【本編】

森本 エクスビジョンは石川渡辺研究室を母体としており、同研究室で生まれた知財を独占で商品化する契約を結んでいます。

研究室で開発された技術がすぐに商品化されるように考える人もいますが、実際にはコンセプトができてプロトタイプまで数年、更にビジネス化に数年かかります。

この最後の3ステップ目をエクスビジョンが担っているという関係です。

ハイスピードビジョン技術の実用化「スマートテレビ」

森本 実証されたコンセプトが多くある中で、我々が今最初に商品化しようとしているのが、スマートテレビの分野です。

スマートテレビというのは、日本ではあまり注目されていない気がしていますが、アメリカ、中国では、台風の目になりつつあります。

スクリーン上、一番上には伝統的なテレビメーカーの名前、左側にはストリーミングデバイスである、ROKU、Apple TV、fire TV、chromecastなどの名前があります。

ご存知の方も多いと思いますが、アメリカではどんどん、ケーブルテレビや普通の放送局の放送がこのようなデバイスを通じてインターネットで見られるような世界になってきています。

次は誰がリビングルームの覇権を奪うのかというのが、非常に注目されています。

中国では年間6,000万台くらい売れているテレビの半分、約3,000万台がアンドロイドベースのスマートテレビです。

どういうことかというと、テレビの中にスマホのアプリケーションをダウンロードして、ゲームをしたり、インターネットをしたりということが、当たり前になっています。

テレビをジェスチャーだけで操作する全く新しいUI

森本 中国とアメリカでは、日本と全く違うダイナミズムが生まれています。

日本では地デジで6ないしは7局ですが、アメリカにはそもそも数百のチャンネルがあり、そこにNetflix、Hulu, YouTubeが入りと、恐らく数千ものコンテンツから選ぶという時代になってきています。

とても、現在のハードウェアベースのリモコンでは操作しきれません。

そこで、テレビのUIを根本的に変えようという動きがあります。

それに向かって我々は、高速ビジョンを使ってジェスチャーコントロールということをやろうとしています。

これが最初の製品である、「ZKOO」です。

ICC TECH 2016 Session1B資料:ZKOO Webサイトから引用

ぜひ、動画もご覧ください。

ICC TECH 2016 Session1B

これは、テレビの上にカメラがひとつ置いてあって、そのカメラが手の動きを見て、このゲームをプレイできるような仕組みになっています。

テレビの中にインストールされたゲームを操作できるカメラを作りました。

そして、ゲームをしない人もたくさんいますし、テレビを操作したいというリクエストがあったこともあり、テレビ用のUIも作ってみました。

これはテレビをジェスチャーだけで操作する技術です。

他の技術をご覧になったことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、非常に小気味よく、サクサク動くというのが最大の売りです。

高速画像処理技術により、人間の手の動きを非常に正確に認識することができます。

これも、テレビの上に載っているカメラ1台の中で全てを処理し、テレビのインターフェースを全部ジェスチャーで操作できるようにしています。

現在、このような技術を、順に事業化していこうとしています。

ここに至るまではかなりの変遷がありましたので、その辺りを市場の動きと絡めてお話しします。

「ジェスチャーUI市場」の歴史とプレイヤー

森本 ジェスチャーUIというのは実は歴史が古く、今はいろいろな会社から発表されていますが、黎明期、最初のジェスチャーUIは何だと思いますか?

想像つく方いらっしゃいますか?

小林 WHILL杉江さん、どうですか(笑)?

杉江 ちょっとわかりませんが、メジャーになったのはKinectでしょうか。

森本 Kinectですよね。その前に実はWiiがありましたね。

誰もがWiiを思い浮かべると思うのですが、実はその2年前に、ソニーからEye Toyという製品が発表されています。

これが2004年です。

それが実はジェスチャーUIの最初です。

プレイステーションのコントローラーとしてカメラが出て、ヨーロッパでは結構有名になったのですが、日本ではあまり売れませんでした。

しかし、これを見た任天堂が……実は任天堂の方からEye Toyが最初のジェスチャーUIでしょうと言われたことがあったので、相当意識はされていたと思いますが、2006年にWiiを発表しました。

実際はどうか分かりませんが。

この辺りから、コンシューマーエレクトロニクスのUIを変えようという動きが出てきました。

それから間もなくして、2009年にエクスビジョンが創設されました。

この頃はまだジェスチャーの事業はやっておらず、高速ビジョンを使った様々な技術、例えば顕微鏡などを受託開発で作っていました。

その後大きな動きがあり、まず任天堂Wiiの大きな成功を見たマイクロソフトが、3DV Systemsというイスラエルの会社を2009年に買収しました。3次元センサーを作っていた会社です。

▶Venture Beat「Sources confirm Microsoft is buying 3DV Systems

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次に2010年10月、マイクロソフトがCanestaという会社を買収します。

CNET「マイクロソフト、身ぶりによるコントロール技術を手がけるCanestaを買収へ」

これも3次元センサーを作っていた会社で、実は、これは私が前にいた会社です。

小林 Canestaという会社の名前を聞いたことのある人はいますか?

森本 いないですね。また次のステップでお話しします。

その後に、マイクロソフトが2010年11月にKinectをリリースしています。ここに至るわけです。

これでマイクロソフトが3社買収しています。2010年当時、世界で3次元センサーあるいは実写認識技術を持っていた会社は(これらの)3社なんです。

つまり、これをマイクロソフトが全部押さえたわけです。

これはもう王者の戦略というか、潤沢な資金を持つ会社ならではの戦略なのですが、ここで投資された額は恐らく1,000億円は下らないと思います。

マイクロソフトはKinectをプロモーションするために500億円ほどの資金を使ったと言われています。これが世の中のトレンドを作ってきたと判断しています。

これを見たエクスビジョンは、ご覧の通り、マイクロソフトとの縁が深い会社なので、2010年にテレビをジェスチャー操作する方向へ舵を切ったという流れです。

ジェスチャーUIの動きは更に速まっていき、次にインテルがInVision Biometricsという会社を2010年11月に買収しました。

非常にマイナーな買収でしたので、これはご存知の方は少ないと思います。

ICC TECH 2016 Session1B

次に、QUALCOMM社がGestureTekという会社を2011年7月に買収しました。

これもマイナーな買収でしたが、マイクロソフトという完成システムを作っている会社が、ジェスチャーの技術を蓄えたので、今度は半導体メーカーがそれに対して反応したという感じです。

そしてこの頃今度は、Leap Motionというイスラエルの会社が、The Leapを2012年5月にリリースしました。

これはご存知の方も多いのではないかと思いますが、最近では、ヘッドマウントディスプレイなどに搭載されているものです。

このようにジェスチャーも段々とリビングルームだけではなく、パソコンや新しいデバイスに入ってくるという動きが見られるようになります。

我々はこのような動きを横目に焦りつつも、テレビ向けのジェスチャーUIのプロトタイプを完成させました。

当時のビジネスモデルというのはASIC、つまり専用の半導体を作ってハードウエアを売るというモデルでした。その前段階であるFPGA(論理回路をハードウエアで実現するもの)、そこからチップであるASICに落とすのですが、その前段階であるハードウエアを作りました。

それを実際にいろいろなところに、チップとして作らないかと打診していたのがビジネスモデルでした。

ただなかなか上手くいかず、迷いがありました。

そうこうしているうちに、マイクロソフトがKinect2をリリースします。

これが、実は先ほど説明した、Canestaを買収することによって得たテクノロジーを使って、買収の3年後にマイクロソフトが出した製品です。

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それからKinect1 を出した Prime Senseという会社をアップルが買収します。

これが2013年ですね。やはり、3年かかっていますね。

アップル、3DセンサのPrimeSense買収を認める。初代Kinectの奥行き認識技術のメーカー

Prime SenseがKinectを出したのが2010年です。3年後(2013年11月)にアップルがPrime Senseを買収しています。

それから、2010年にインテルが買収したInVision Biometricsが、Real Senseという名前で2014年1月にリリースされています。

この辺りはご存知の方が多いのではないかと思います。

ジェスチャー認識から空間認識へ

森本 今度はジェスチャーだけではなくて、空間を認識するという技術に変化しています。

ちょうどそのころ我々はMovidiusという高速で消費電力の低いプロセッサーに出会ったことを契機に、我々はビジネスモデルをASIC開発からソフトウエアライセンスの提供という方向に転換しました。

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その後ジェスチャーUIを取り巻く環境はリビングルームからHMDへと段々変わってきて、oculusが、2015年5月にPebbleというテクノロジーを買収して、ここで初めてVRとジェスチャーUIが融合しました。

実は、我々もHMD企業からずいぶんお誘いがありHMD向けのジェスチャーUIも作ったのですが、我々の技術はどちらかというとスマートテレビに適したものだということで、今はHMDからは少し距離を置いています。

更に、2015年6月にはBMWがSoftkineticという会社の技術を使って、7シリーズにジェスチャーUIを搭載しました。

この時も自動車メーカーから様々なお話があったのですが、自動車というのは、以前の経験からも結構足が長いことが分かったので、少し距離を置いています。

そうこうしているうちに、このSoftkineticは2015年10月にソニーに買収されます。

今度はプロセッサーメーカーではなく、CMOSセンサーメーカーが動きました。

ソニーは世界のCMOSセンサーマーケットにおいて40%のシェアを持っているのですが、そこが3次元センサー技術の取得にと動いたということです。

このように市場は激しく変化しているのですが、我々としては、HMDでもなく、車でもなく、ターゲットは、あくまでもリビングルームのゲームなのだ、とフォーカスしてビジネスを進めています。

その結果として、Movidiusのソリューションを使って我々は2016年1月に、先ほど映像でご覧いただきましたカメラ、「ZKOO」(ジクウ)という名前を付けていますが、ZKOOのクラウドファンディングを実施し、そのサンプルを2016年5月に出荷を開始しています。

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実は、先週飛び込んできた発表(2016年9月)ですが、我々のプロセッサーを作っているパートナーであるMovidiusをインテルが買収しました。

価格は発表されていませんが、インテルが画像処理の世界へ積極的に進出する意思の現れです。

非常にエキサイティングな市場です。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵

続きは 大学発技術ベンチャーのチャンスとリスクとは? をご覧ください。

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【編集部コメント】

ジェスチャーUI市場の歴史、いろんなプレイヤーが出てきて面白かったですね。あと数年した時に現れている新プレイヤーはどこの会社なんでしょう。日本の会社もいてほしいですね。(横井)

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