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「自分のために生きている」ミャンマーで多くの命を救う吉岡医師のモチベーション【K16-1D #3】

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「何のために生きるのか?使命感とは何か?」【K16-1D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)は、各登壇者とともに、ジャパンハート吉岡さんが人生と生きるモチベーションの源泉について語りました。命を救う活動を「自分のためにやっている」と断言する吉岡さんのメッセージが印象的です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 1D
「何のために生きるのか?使命感とは何か?」

(スピーカー)
吉岡 秀人
特定非営利活動法人ジャパンハート
代表

山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社(ファクトリエ)
代表取締役

吉川 雄介
特定非営利活動法人e-Education
海外事業統括

(モデレーター)
南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役

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【本編】

 聞き入ってしまったので、質問するという立場を完全に忘れてしまいそうですが、ちょっと今聞いていてびっくりしました。

僕は少し誤解をしていたんだなと思いました。最初に聞きたかったのが、何故そんなに若くして一生の仕事を決められたのかという点です。

今の話を聞き似ている話を思い出しましたが、(Appleの創業者の)スティーブ・ジョブズがコネクティングドッツ(Connecting the Dots)という話をしたときのスピーチです。

スティーブ・ジョブズの伝説的スピーチ “Stay hungry, Stay foolish.”

これは将来を見据えて点と点、出来事を結びつけることはできなくて、後で振り返った時に初めて過去の点が繋がって線になっていた、だから今を信じて目の前のことをやるしかないんだ、という話で、私はその話との違いを考えていました。

何故そんなに早い段階に未来を見据えて、そこの自分との約束を守り続けられてきたのかな、というのが実は一番聞きたかったことだったんです。

今のお話を聞くと、その時点でも過去があった上での決断だし、その時に決めたこととその後振り返ってみて結果としてこうなったという部分と両方あるということなんですよね、恐らく。

その時どこまでビジョンが見えていて、その通りになっている部分がどれぐらいで、逆に目の前のことをやってきただけだけど振り返ってみたら繋がっていた要素がどこで、というのを切り分けようとするとどういう感じでしょうか?

その時に何が見えていたのか、というのをすごく知りたいです。

人生は山登り。高いところに行けば見える景色が変わる

吉岡 本当によく聞かれるんですね、「将来のビジョンは何ですか?」とか「夢は何ですか?」とか聞かれるんですか、僕は「よく分かりません」と言うんですね。

今のビジョンとか夢はあるかもしれないけど、将来は分かりません。

それはなぜかというと、「人生は山登り」だと思っているんです。

山を地上ゼロメートルから見ていると林しか見えないですよね。

ですが100メートル、500メートル、1,000メートル登ると見える景色が違いますよね。

100メートル登れば更に見える、1キロ登れば遠くまで見える、この見えるところが自分のビジョンであり夢になると思うんです。

ですから、地上にいたら見えないんです。

だから僕が登り続ければ恐らく夢は1年後には変わるはずなんです。

もっと言うと、それは今の延長線上にあるかもしれませんが、登り続ければ遠くまで見えますから。
でも日々やることは一緒なんです。

山を登る時は足元を見て登るじゃないですか、上を見て登る人はいないので。

日々というのは毎日の出来事ですが、これに一生懸命取り組む。

山登りは必ずG(重力)がかかります。重力に逆らって登るわけですからしんどいんです。

もし今日しんどくない、明日しんどくなければそれはGがかかってないからで、同じ場所で足踏みしてるということになります。

しんどいけれど毎日一歩一歩積み重ねて、ふと見上げた時に見えるものがビジョンだと僕は思っています。

人生は副作用で満ちている

吉岡 今の話をお聞きしていてもう1つ浮かんだキーワードは、「人生は副作用で満ちている」ということです。

それはどういうことかというと、僕は医者になろうと思って医学部にいきました。

医学部に行く目的は医師免許を取ることですね。

ところが、途中で挫折したりして医師免許を取れなかった人たちもたくさんいるんです。

でも大学時代に得たものはすごく大きいですよね。

将来の伴侶を見つけるかもしれないし、クラブ活動で色んな経験をするかもしれない、友達と色んなことを経験してそれが人生の糧になります。

実は人生というのは、目指した目的地よりもそのプロセスで得られるものの方が遥かに多いと思います。
例えば何か事業をやって失敗したとします。

ところが、事業を成功させて得られる果実よりもむしろそのプロセスで得られるものの方が圧倒的に多い。

これは本来目的としないものですから副作用です。

ここから得られるものの方が圧倒的に多いんです。

ですからチャレンジしないということは、果実だけではなく副作用の法則のものも全て得られないということです。

失敗というのは、本質的には目的を得られなかったことではなく副作用を得られなかったことを失敗というので、チャレンジしないといけないのです。

チャレンジというのはつまり行動することです。

行動してその過程で得られるものを全部吸収していく、そうすると目的の例えば医師免許を取れなくても、次の人生は大きく展開していきます。

どうせ自分の人生の才能に重なってないものなんて、いくらやっても残りません。

そんなものは失敗してもどうでもいいんです。

ですが、この副作用の法則を得られないということは、人生において究極の損失を生むんだろうと思います。

 僕は学生の前で話す機会が多いんですが、よく「取り敢えず本気になるものを見つけろ、なければ目の前のことを取り敢えず本気でやってみろ。本気でやっていると愛か怒りかどちらかが湧いてきて、それに気付いた時にちょっと生き方が次の日から変わり、その結果自分の生き方が見つかる」とか「本気でやらないと愛も怒りも湧いてこないから何も起きない」という話をしてドヤ顔をしているんです。

(吉岡さんの)ちょっと迫力ある話を聞きすぎて、逆に同じ話を今後しにくくなりました。

こんなにパワフルなんだなと彼我(編集注:ひが。相手と自分のこと)の差にびっくりしましたけど、今のところでもう1つお聞きしたいのが、「続ける」という意味でいうと、モチベーションの源泉の話です。

敢えて2つに分けようとするんですが、何かに向かって行く時に「こんな社会にしたい」というビジョンの方のモチベーションと「自分自身どうありたい」というビジョン、この2つが両輪だと思っています。

社会の方でいうと、医療を受けられない人に医療を届けるとかそういう子ども達が無くなる世の中に少しでも近づきたい、というのが社会的モチベーションとした時に、もう一方の自分の中での日々のモチベーションはどこなのか。

俗っぽい言い方をすると、例えば少しでも影響力、権力を持ちたいという発想でモチベートされる人もいれば、新規性、誰もやっていないことをやること自体が自分を前に進める、または著名になることがそれだったりと色々ありますが、医療とか貧困とかを切り離した時、自分自身の中での日々のモチベーションはどういうワードになりますか。

自分のために生きる

吉岡 全然俗っぽくないかもしれませんが、それは自分のためにやってるという自覚です。

人間は何をしていても、どの分野で働いていても同じなんですが、自分のために生きているんです。

自分のために生きるというのは、究極に自分の存在価値を認められるということですね。

「俺はこの世に産まれて、絶対価値がある。産まれてきて本当に良かった」と思えることです。

そのためには、自分が産まれてきたからには本当はどんな才能があって、何が出来るかを知りたいし、どこまで行けるかも見てみたいんです。

それは自分自身に対する義務みたいなもので、それを知りたいんです。

その時に、人間は鏡が無いと自分の顔が見れないですよね。

人生も同じです。

自分の人生を確認しようとする作業、要するに自分に価値があるか、産まれてきた意味が本当にあったかどうかを確認しようしても、自分では分からないんです。

ですから、社会にあてないといけないんです。

社会にあてた時に、例えば「吉岡さん素晴らしいですね、ありがとうございます」と微笑み返してくれるだけでもいいかもしれません。

そういうものをたくさん寄せ集めて生きてきて、それが産まれた時から母親、父親、そして友達に貰ったものも全部含めて積み重なったきた、それが自分のイメージなんです、人間というのは。

自分が幸せになる方法はたった1つしかないんです。それは世の中に「あなた大切ですよ」と言い続けてもらうことです。

そのためには、世の中に対して利益を与えなければいけません。

何の利益を与えるかは人それぞれで、個性に合ったものを与えます。そうすると僕だったら患者を治すと患者が喜んでくれるじゃないですか。

それはこっちに向けてくれなくてもいいんです。僕は手術しても表には出ていかないんです。

僕は手術室に入った瞬間のみで、その後は全部看護婦さん達が面倒を見るので。患者が僕に直接お礼を言うことはありません。

ただ彼らが帰っていって、或いは治ってベットサイドで親子で笑っている、そういう瞬間を見た時に自分の存在価値を言葉ではなく感覚として理解するんです。

これを積み重ねていって「僕は産まれてきてよかったな」と思うんです。

あらゆる出来事、あらゆる行動、あらゆるものの泉源は、全て人間は自分のためにやっています。

例えば子どもの身代わりになって死ぬ時も「それが自分にとってより幸せだから」という自分の決断です。

僕等が自分のために生きていない行動は1つとしてないと思うんです。

これをいかに寄せ集められるかです。

僕はいつも言うんですが、僕は自分のために生きています。

ですから、僕の所にやってくる病気の人達は僕にそのチャンスをくれる人たちであり、それを自覚させてくれる人たちなので、僕が彼らに対して「よく来てくれた」とお礼を言うことはあっても威張ることは無いんです。

僕は30才の時に1人でミャンマーに乗り込みましたから、技術力も低かったので、本当に申し訳ないと思いながら彼らを診てきたんです。

日本に行ったらもっとレベルの高い人がたくさんいるのに、僕しかいないからこれぐらいしかできなくて申し訳ない、と思って生きてきたぐらいで、彼らに対して威張ることはないです。

多分自分の自覚だと思います、自分が幸せになるためにそれを集めていく自覚です。

 ありがとうございます。

この流れで振るのもあれですが、山田さん、吉川さん何か質問やコメントはありますか、感想でもいいですよ。

このまま僕もずっと話を聞いていたいんですが、一言だけどちらかいただいた上で次にいきましょう。

山田 僕も自分が好きなことをやらせていただいてます。原体験として、僕は創業百年の老舗婦人服屋の息子だったので、Made in japan、日本製の物が良く、日本のアパレル工場を回りました。ただやっぱり、斜陽産業に携わる身としては、これまで光の当たらなかった職人さんたちがどうやったら笑顔になるんだろう、とか、どうやったら目の前の人が僕と一緒に仕事をすることで未来が明るくなるだろう、ということを考えながら事業をやっています。なかなかビジネス上は厳しいことも多いので、自分が好きなことをやっていていいんだな、と思える部分がありました。

 ありがとうございます。では先に進みましょう。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

続きは 発展途上国の医療を草の根で変えるジャパンハートの挑戦 をご覧ください。

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【編集部コメント】

続編(その4)では、吉岡さんが単身ミャンマーに渡ったときから大きく進化したジャパンハートの国内外での活動についてお話いただきました。途上国や被災地での活躍を是非御覧ください。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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