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「モバイル広告はどのように進化するのか?」【K16-1C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その6)は、国内の広告配信事業者の強み・グローバルプラットフォームを持つ事業者の強み等を議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 1C
「モバイル広告はどのように進化するのか?」
(スピーカー)
菅野 圭介
ファイブ株式会社
代表取締役
二宮 幸司
株式会社ファンコミュニケーションズ
取締役
林 宣多
AppLovin Corporation
Country Manager, Japan
(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin Corporation
Director Sales, Japan
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【前の記事】
【本編】
坂本 では少し話題変わりまして、今ちょうど国内広告事業者であるファンコミがいて、一方で海外からAppLovinというプロダクトも入ってきています。
菅野さんは元々Googleにいらっしゃって、今はご自身の会社を経営されていますが、海外の広告周りの事業者が日本にやってきたり、FacebookやGoogleのようなプラットフォームもある中で、どう付き合っていくかについてお話できればと思っています。
早くはAdMobなど、海外広告事業者がどんどん日本のマーケットに入って来ていますよね。
二宮さんはずっとnendをやっていらっしゃいますが、そういったところとどういう風に戦ってこられたのかや、日本の会社の強みについてお聞かせ頂けますか?
日本の広告配信事業者の強み
二宮 僕達としては、とにかく選択と集中を繰り返すということだったと思いますね。
やはりGoogleなどは、広告主もパブリッシャーも、基本的に全ての領域・カテゴリに対してアプローチをしてくる感じだと思います。
僕達はそこで選択と集中をして、ある程度顧客を絞ってアプローチをし、そこで新しい価値観を顧客に提供できたと思います。
坂本 なるほど。
二宮 ただ、非常に急激に成長できて、2013〜2014年はものすごく伸びた時期でもあったのですが、売上面ではなくプロダクト面でいうと、その2年間で海外の広告事業者が僕達を追い越していきました。
2012〜2013年には海外から海外の広告事業主がよく来て下さって、色々なお話をさせて頂く機会がありました。
PCだとアドテクノロジーというものに対して勝てるイメージが全くなかったのですけれども、ことスマートフォンに関しては、僕達もかなり最初から投資をして色々やっていたので、お話していても僕達が先を行っている感のようなものがすごくありましたね。
でも、売上が一番成長した2014年は、プロダクト的な成長というのは多分止まっていたんですよね。
本当なら新しい技術やソリューション、それこそAppLovinがされているようなものをもっと早くできたかもしれないし。
そういう意味では非常に反省しているところですね。
少し領域を広げようと、色々なカテゴリのお客さんを対象にサービスをやっていこうという時期があったのですが、それによって力が分散して、GoogleやFacebookが本気で来るとなかなか勝てないという状況になっています。
坂本 では、国内事業者として勝つ方法としては、領域を決めてその一点突破で海外の事業者に負けないようなプロダクトを作っていくということですね。
二宮 そうですね。
グローバルプラットフォームにできないことを早くやる
林 初期に苦労した話や、Googleなどの大手に対して自社が有利だと思ったことなどはないですか?
二宮 バージョンアップなどのスピード感というのは、大きい企業よりも僕達の方があると思いますね。
それからうちの会社としては、アフィリエイトなどはすごく個人のメディアを大事にしますし、そういう企業としてのDNAみたいなものはやはり今うちのスタッフにもあるんですよね。
例えば報酬アップのキャンペーンをやったりすることには結構慣れていたので、個人ディベロッパーが全盛だった時代に、そういうところでスピード感や、個人ディベロッパーの囲い込みという点では勝てていたかなと思いますね。
林 もしかしたら、その時に海外に展開していたら、海外もいけたかもしれませんね。
二宮 そうですね。
林 そういう議論はなかったのですか?
二宮 やはり目の前のことで精一杯になっていたので。
今でも思っていますけれども、少しやり方を間違っていたなと思いますね。
坂本 なるほど。
菅野さんは逆に、nendからそういう風に攻められていたAdMobの中にいらっしゃったこともありますし、今はご自身で日本の事業者としてやられている中で、国内の事業者としての強み弱みや、海外の事業者としての強み弱みはどういう風にご覧になっていますか?
菅野 正直に言って、やはりすごく怖いですよね。
モバイルだとFacebookに勝るデータは存在していないという点では、普通にやっていったらFacebook的なグローバルプラットフォームが強いというのは割と明白かなと思っています。
僕がAdMobにいて、nendや国内のアドネットワークの事業をやっていらっしゃる方も沢山いらっしゃった中でも、すごく伸びている感覚があった頃、言っていいのかどうかは分かりませんが、システムのマイグレーションがあって…
坂本 (AdMobは)買収した会社なので、Googleの既存のシステムと統合しましょうといったことがありましたね。
菅野 はい。
それは買収の目的の一つだったので、必要なプロセスだったのですけれども、それによって否が応にもスピードが落ちる訳ですよね。
その時に、やはり結果としてnendをはじめとして、色々な国内の事業者の方のシェアがグッと上がったので、それを見ていて僕は結構悔しかったんですよね。
坂本 分かります。
僕も同じタイミングでいたので、自分たちはシステム統合のために新規開発ができないという状況下、他社がどんどん伸びていき、そこで一気に差をつけられましたよね。
菅野 結果としてそういうレース展開というのもあるのだなと思ったりもしましたし、逆に僕の今の立場で言うと、チャンスがあるということなのかなと思っています。
やはりグローバルなプラットフォームは、いいところもあれば、一方で、全世界基本的には同じプロダクトの志向でいこうという力学もあるので。
例えば今僕達はクリエイティブと言っているのはそういうところで、プラットフォーマーというのはなかなか「自分達でコンテンツを作ろう」という発想にはならないのです。
ただ、動画広告の良し悪しに対して、映像クリエイティブが占める割合はすごく高いだろうという仮説の下、だからこそそれを自分達でやってみようというのが今の考え方です。
やはり二宮さんがおっしゃった通り、他社にできないことを早くやるというのを続けていって、そこを深堀りできたらひょっとしたら大きな価値になるかもしれないと思ってやっています。
坂本 なるほど。
逆に林さん、AppLovinは昨年から日本に攻めてきていますよね。
攻めてという言い方は変ですけれども。(笑)
日本市場を攻略しようと頑張られているところだと思うのですが、海外の事業者からご覧になって、日本に展開する時の大変さや、逆に、グローバルな会社だからこその強みについてはどうお考えですか?
グローバルな会社の強みとローカライズ
林 強みであり弱みであるのですが、海外から日本に来るという時点で、USなりどこかで一定の成長を遂げて入ってきていて、プロダクトの完成度という意味ではある程度完成された状態なので、多少有利だと思います。
一方で本社は、例えばUSでこのやり方でこのプロダクトで上手くいったのだからこれでやってくれよ、なぜそれで成績が上がらないんだといったスタンスで最初は来ると思うのですよ。
なので、一定の成果をあげながら徐々に文化の違いや必要なプロダクト機能を本社側に丁寧に説明して行く必要があるのかと思います。
似たようなマーケットに見えても、各国にそれぞれ違う事情というのがあって、例えば先ほどの代理店直取引の話で、弊社(AppLovin)であればもう90パーセントが直取引なのだから、なぜいちいち日本では代理店にマージンを抜かれなければならないのだといった議論がある訳です。
でもやはりそれには良い面も悪い面もあって、代理店がその気になって売ってくれれば、こちらが営業リソースを使わなくてもプラットフォームがどんどん広がるというメリットもあります。
ローカルのマーケットの現場を含めて理解している人に任せて、数字を作って、本社を説得していくという、そういうプロセスというのはどうしても必要になってくるのかなと思います。
坂本 なるほど。ヘッドクオーターからの理解を得るための努力と、そのためにある程度の実績を出すことが大事ということですね。
林 それから、すでに出来上がったプロダクトを持ってくるわけなので、ランダムに色々なクライアントに営業しても上手くいかないと思っています。
いかにそのプロダクトに合った顧客を探して、それできちんと成功する環境でキャンペーンを回して、成功事例を作る。
それによってそこから一気に拡大できる、というのがあると思います。
僕はそういう考えで、とにかく最初は数ある日本のキャンペーンの中でも弊社のプロダクトにはまりそうなクライアントを探して、代理店と一緒にまずはここを伸ばしましょうというように進めてきました。
リソースも限られているし、あまり闇雲にキャンペーン数を広げるのではなくて、とにかく成功事例を作ることが大切だと思っています。
成功事例を作ることでクライアントに興味を持たれることも多くなるし、本社も説得し易くなるのではないかと思います。
坂本 そうですね。
実際、日本だと「どこか他で使っているところがあるのですか」とか、「成功した事例があるのですか」と聞かれますよね。
(続)
続きは “代理店との連絡係”はもう要らない!広告チームに求められる経営的人材とは をご覧ください。
https://icc.dvlpmnt.site/industry-trend/9521
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子/坂本 達夫
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【編集部コメント】
続編(その7)では、経営思想を持って広告を運用できる企業や人材の在り方等について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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