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1. “産業のAI化は国策レベルの取り組みであり、その変化は不可逆である”――『AI白書』に見る世界のAI動向

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「AIやデータの活用が企業経営のあり方を大きく変える」のセッション書き起こし記事を全9回シリーズでお届けします。(その1)では、モデレーターを務めるHAiKの山内宏隆さんが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)編集の『AI白書』を手に、世界のAI動向を分かりやすく解説します。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 4B
AIやデータの活用が企業経営のあり方を大きく変える
Supported by IBM BlueHub

(スピーカー)

安宅 和人
慶應義塾大学 環境情報学部 教授
ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)

森本 典繁
日本アイ・ビー・エム株式会社
執行役員 研究開発担当

矢野 和男
株式会社 日立製作所 フェロー、理事 / 博士(工学)
IEEE Fellow
東京工業大学大学院 情報理工学院 特定教授

(モデレーター)

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役社長

「AIやデータの活用が企業経営を大きく変える」の配信済み記事一覧


本編

山内 宏隆さん(以下、山内) 皆さん、こんにちは。


山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役社長

1975年大阪にて自営業の家に生まれる。東京大学法学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。2000年ドリームインキュベータ(DI)の創業に参画、2006年東証一部上場。執行役員として、IT・通信・メディア・コンテンツ・金融・商社・流通等の業界を中心に戦略コンサルティング・実行支援を行うと共に、スタートアップ企業へのプリンシパル投資・戦略構築・組織構築を手掛け8社のIPOを達成。15年以上に渡り一貫して「競争優位性の構築と成長の実現」を追求してきた。投資先であるアイペット損害保険株式会社代表取締役社長(日本損害保険協会理事を兼任)を経て、2016年株式会社HAiKを設立、現在に至る。

さて、今回のセッションは、「AIやデータの活用が企業経営のあり方を大きく変える」ですが、相当大きなテーマだと思います。

先ほどFacebookか何かを見ていたら、プーチン大統領が次はAIを制した国が世界の覇権を握るんだというようなことを言っていて、それに対してイーロン・マスクが、そんなことをやったら第3次世界大戦が始まるぞ、と返すような、何だかよく分からない空中戦がネット上で繰り広げられていました。

▶参照:イーロン・マスク氏「AIが第三次世界大戦を引き起こす」——その真意とは?(BUSINESS INSIDER )

要するにAIというのは、社会全体の変革なので、企業経営の範囲に納まる話ではないんですよね。

今回は、せっかくこのお三方にスピーカーとして登場していただけますので、できるだけ自由に、かなり幅広く、好きに語っていただこうと思っています。

そもそもこのお三方のIQを足すと800か、900くらいあるので、制御不能です(笑)。

さて、本日は皆さまの中でも関心や基礎知識にバラツキがあるかと思いますので、まず最初に1分だけ時間をいただき、土台ならしをやらせていただければと思います。

AIの「技術動向」「利用方法」「制度」「政策」

山内 ちなみに、ここに『AI白書』という本があるのですが、これを個人もしくは会社でお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか。

かなり分厚く400ページくらいある本で、KADOKAWAから3,300円(税別)で出ています。

▶編集中:上記では2017年7月に出版された『AI白書 2017』(全360ページ)について言及されています。最新版は、2018年12月に『AI白書 2019』(全496ページ)として出版されています。

ちなみにこの400ページの本を読んだことがあるという方はどのくらいいらっしゃいますか?

ありがとうございます。

では、この400ページを1分に要約したいと思います。

AIを語る時というのは、議論がいろいろと錯綜しがちなのですが、本書は4章立てになっています。

1章が「技術動向」です。AIの技術の話ですね。

2章が「利用方法」について書いてあります。

皆様ご関心があるところかもしれませんが、たとえば、企業でこのように使っているとか、そのような話になります。

3章目が「制度」ですね。例えば法制度だと、自動車が人をひいたら誰の責任になるのか、といった話です。

4章目が「政策」の話です。

AI化は国策レベルの取り組みであり、その変化は不可逆である

山内 第1章の「技術」について言うと、ハードだ、データだ、アルゴリズムだと、技術動向についてたくさん書いてありますが、これらは「不可逆的な変化」だと書かれています。

技術は進歩し続け、ハードとしても量子コンピューターが出てくるかもしれない中で、アルゴリズムもどんどん洗練されて、公開されていく。

もちろん多少は過大評価のところもあるのですが、10年、20年という単位で見ると、これらは技術的に不可逆であるとしています。

第2章のAIの「利用方法」に関しては、自動車の分野でこうだ、医療の分野でこうだ、というように例が挙げられていて、「AIはあらゆる分野で利用される」と書いてあります。

第3章の「制度」については、これは様々な捉え方がありますが、「現状の法制度や社会の仕組みは、AIのことを想定せずに作られてしまっている」ということが書かれています。

ですからここから直していく、調和させていく必要があるということです。

第4章の「政策」ですが、日本や中国、アメリカ、ドイツなどの例が挙げられています。

ここで大事なのは、「全ての国が国策レベルでやっている」ということです。

日本の場合は……国策と言ってもパッとしないのですが、各国の国策レベルの取り組みが書いてあります。

以上をまとめると、『AIは技術的には不可逆で、あらゆる分野で利用されていきます。しかし、制度としては想定していなかったので直す必要があり、政策としては国策レベルで各国とも取り組んでいる』ということです。

ですからプーチン大統領もいろいろな発言をするというような話ですよね。

地ならしは以上です。

本日お三方には、「AIとデータの最先端の活用事例」をお話しいただきたいと考えています。

それでは、安宅さんからお願いできますでしょうか。

(続)

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続きは 2. 企業価値は「目先の利益」ではなく「未来を創り出す力」にシフトする をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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