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【新】「日本から世界ブランドを作る」ファクトリエ山田氏のグッチ・パリ店での決心【BBT-FCT #1】

ビジネス・ブレイクスルー大学大学院の「アントレプレナーコース」が2016年4月に開講しました。ICCパートナーズ小林雅が担当した「スタートアップ企業のビジネスプラン研究」全12回の映像講義について、許諾を頂きまして書き起し及び編集を行った内容を掲載致します。今回の講義は、ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役 山田 敏夫 氏にゲストスピーカーとしてお話し頂きました。60分の講義を7回に分けてお届けします。

(その1)は、ライフスタイルアクセント(ファクトリエ)創業に至るまでの山田さんのキャリアについてお話し頂きました。文無しで飛び込んだグッチ・パリ店での修行時代に注目です。是非ご覧ください。

登壇者情報
ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」
スタートアップ企業のビジネスプラン研究
「ライフスタイルアクセント(ファクトリエ)」

(講師)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
ビジネス・ブレークスルー大学大学院 教授
 
(ゲストスピーカー)
山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役
 
(アシスタント)
小泉 陽以

小泉陽以 氏(以下、小泉) ビジネス・ブレイクスルー大学大学院「アントレプレナーコース」スタートアップ企業のビジネスプランのお時間です。

この講座のアシスタントを務めます小泉陽以です。よろしくお願い致します。

それではさっそく講師をご紹介いたします。

ビジネス・ブレイクスルー大学大学院教授、小林雅さんです。

小林さん、よろしくお願い致します。

小林雅 氏(以下、小林) よろしくお願い致します。

小泉 今回はどのような内容になりますでしょうか。

小林 今回はライフスタイルアクセントという会社名なのですが、ファクトリエと言った方がみなさんご存じでしょう。

メイドインジャパンを世界へということで、アパレルブランドを日本の工場と一緒に作り上げていこうという起業家です。

今はテレビなどでも特集されるほど注目されて、格好良いなと思われる方もいらっしゃると思いますが、その立ち上げは非常に泥臭くて、今もやはり泥臭い。

そういうところが起業においても重要なのです。

ですから今日は、それだけ意志を強く持ってやるということが重要なのだということをお伝えしたいと思っております。

小泉 それでは改めましてゲストをご紹介いたします。

ライフスタイルアクセント株式会社の代表取締役で、山田 敏夫さんです。

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山田さんよろしくお願いいたします。

老舗の呉服店の息子

山田敏夫 氏(以下、山田) よろしくお願いいたします。

小泉 それでは山田さんのプロフィールを紹介いたします。

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小泉 山田さんは1982年、熊本県にお生まれになりました。

そして、1917年創業の老舗婦人服店の息子として、日本製の上質で豊かな色合いのメイドインジャパン製品に囲まれて育ちました。

小泉 やはり最初、お子さんの時分にお家が婦人服店をやられていたというのが、起業の原点になったというところはあるのでしょうか。

山田 はい。ひとつは、ずっと家系として商売をやっていたということがあります。

もうひとつは、商店街の店の上に家があったということです。

毎日店を通って階段を上っていくわけですから、その中で「上質な服」というものを自分のアイデンティティ(自己同一性)として持っていったのでしょう。

それが起業のキッカケでもあると思っています。

小泉 ちなみに、その婦人服店はどのようなお名前だったでしょうか。

山田 マルタ號という名前でした。

婦人服店であり、ある意味セレクトショップではないのですが、女性モノで熊本の地域の方々にずっと愛していただけるようなお店です。

メイドインジャパンが多いので少し値段も高いのですが、それでも永く続いていく。

そこは、僕の今のスタイルにもすごく影響を及ぼしています。

グッチのパリ店で修行する

小泉 そして、大学在学中、フランスへ留学しグッチ・パリ店で勤務されました。

山田 ちょうど大学に交換留学の制度がありまして、フランスの現地の学校の枠があったので、そこに決めて行きました。

小泉 そして、グッチのパリ店に勤務されたということですが、これはどういうことだったのでしょうか。

山田 聞こえは良いのですが、あらましとしてはこうです。

シャルル・ド・ゴール空港というパリの空港へ着いて、市内へ行く地下鉄の中で荷物をたくさん持っていたのですが、ボーっとしていたこともあり、スリにあってしまいました。

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一文無しになったので、どこかで働かなければならなかったのでいろいろ探したのです。

たとえば、観光案内所へ「日本語を喋れるから観光客用に使ってくれ」と言ったのですが、「お前、パリのことなにも知らないだろ。ならば案内できないではないか」とごもっともなことを言われました。

そうやっていろいろなところをあたって行く中で、グッチが面白そうだと思い行ったのです。

すると、「では、今 地下のストック(在庫)の整理がひとりいないから、ストックの整理の仕事をやれ」と言われました。

そこからのスタートだったのです。

小泉 その時はフランス語はお話しできたのですか。

山田 いいえ。フランス語は単語帳で覚えたくらいの言葉しか操れず、喋ることはできませんでした。

お金がなかったので、その時に住まわせてもらっていたお婆さんがいたのですが、その何カ月間の生活の中でフランス語は覚えました。

小林 ハングリーさが良いですね。

山田 親に電話した時は「何をやっているんだ」と言われましたけれども。

小泉 そして、2006年ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社に入社されました。

この会社はアパレルではないですよね。

経営者になるため営業力を磨く

山田 はい。最初に「経営者になって何か事業をやりたい」と思った時に、何が大事なのか考えて選びました。

就職活動でいろいろな方にお話を伺うと、「経営のためには営業力を磨け」というお話をされましたので、それにすごく感化されたのです。

そして、すごく大きな会社はいくつもあったのですが、そうではなくてやはりできたばかりの会社で裁量も大きく任せてもらえるところでやりたいと思いました。

そこで新卒には、このソフトバンクグループのできたての会社に入ったというわけです。

小泉 その時には、もう起業をしようという決心をされていたということですか。

山田 はい。そうです。

小泉 そして、そのソフトバンク・ヒューマンキャピタルでメディア事業本部営業マネージャーを経て、東京ガールズコレクションの公式通販サイトを運営する「fashionwalker.com」へ移られます。

これは何故移られたのですか。

ファッションの世界に飛び込む

山田 これまでは4年間、営業ということで勉強させていただいて、いよいよファッションというところへ飛び込もうと思ったのです。

当時一番勢いがあったのが、東京ガールズコレクションというイベントと、そのイベントでモデルが来て歩いたモノが携帯で買える「fashionwalker.com」というサービスがすごく流行っておりました。

これは、そのワンステージで何億円もの売上が動くのです。

それにすごく興味があったし、リアルなイベントと、インターネット通販ということが両方学べると思い、そこへ移ったのでした。

小泉 その「fashionwalker.com」では社長直轄の事業開発部にて、最先端のファッションビジネスを経験されます。

そして、2012年、ライフスタイルアクセント株式会社を設立されました。

2014年、中小企業基盤整備機構と日経BP社との連携事業「新ジャパンメイド企画」の審査員。

また、2015年、経済産業省「平成26年度製造基盤事業技術実態等調査事業(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査事業)」を受託。

年間訪れるものづくりの現場は100を超えていらっしゃるとのことです。

山田 はい。工場ばかり回っています。

小泉 続きまして、会社概要を簡単にご紹介致します。

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小泉 ライフスタイルアクセント株式会社、設立は2012年。

本社は熊本県熊本市。

これはご実家の住所になりますか。

山田 はい。実家の住所です。

小泉 東京にオフィスもあり、そちらは東京都中央区銀座。事業内容はインターネット通販「Factelier(ファクトリエ)」の開発および運営。

また、ファッション関連事業(ショールームおよびセミナー運営)となっております。それではさっそく「ファクトリエとは」ということでお話いただきましょう。

山田 はい。最初に自己紹介を致します。

先ほど少しご紹介いただきましたように、私は創業100年の婦人服店に生まれました。

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老舗の次男坊として生まれ育った。ですから、上質なメイドインジャパンの商品に囲まれて育ったのです。

それから、先ほど出ましたグッチ・パリ店にて働いた経験が、今のファクトリエに繋がっています。

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どういうことかと言いますと、グッチ・パリ店に勤務していた頃、彼らに言われた一言が自分の人生を大きく変えたのです。

すなわち、彼らから「日本には本物のブランドがない」と言われたのです。

日本のモノづくりで世界ブランドを作る

「いやいや、あるよ」と言っていろいろなブランド名を言ったのですが、彼らはポカーンとしていました。

何故そうなるのか。

グッチもエルメスもルイ・ヴィトンも、元々工房から生まれて、そこを基盤としている。

私が20歳の頃、13年前は日本ではブランディングとかPRとかマーケティングという言葉がすごく流行っていて、モノづくりはすべてメイドインチャイナへ移行していました。

ただ、そういう表層的なものではなくて、本物のブランドというのはモノづくりからしか生まれないというのが、彼らの言っていたことだったのです。

それで、当時、売り言葉に買い言葉で、「では、俺が日本でモノづくりから世界ブランドを作る」と宣言したんです。

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それが20歳の頃です。

そう言ったからには自分は経営者にならなければならないと思った。

これは、経営者になるためにはどうすればいいかと考えて就職活動をしたのもそうですし、ファッションというものをどういう切り口でやって行こうかということを考えてインターネットを学びたくて「fashionwalker.com」へ入ったということにも繋がっていくのです。

小泉 それではスリに遭ったからこそという話になりますね。

山田 キッカケにはまったく感謝しませんが、人生面白いなと思います。

小林 ほんとうですね。もしかしたら、レストランで皿洗いをしてシェフになっていたかもしれないですから。

山田 観光案内所であのまま通っていたら、旅行会社で働いていたかもしれません。

(続)

続きは 工場のこだわりと息吹を伝える新しい流通”ファクトリエ” をご覧ください。

編集チーム:小林 雅/石川 翔太/榎戸 貴史/戸田 秀成


【編集部コメント】

続編(その2)では、高品質なものを手が届く価格で買えるアパレル通販「ファクトリエ」のビジネスについてお話し頂きました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

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