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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 から、「ビッグ・ベンチャーの作り方」を8回に再編集してお届けします。8回シリーズその(6)は、新規事業をどう生み出していくか?また、その担い手を誰にするか?といった点を議論しました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。参加者の募集を開始しました。
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登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 1A
「ビッグ・ベンチャーの作り方」
(スピーカー)
井上 高志
株式会社ネクスト(当時)
代表取締役社長
*株式会社ネクストは2017年4月1日に株式会社LIFULLに社名変更
鉢嶺 登
株式会社オプトホールディング
代表取締役社長CEO
松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役
吉田 浩一郎
株式会社クラウドワークス
代表取締役社長CEO
(モデレーター)
南 壮一郎
株式会社ビズリーチ
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
南 ホームズやオプトでは、新規事業の規模が結構大きくなりつつありますよね。その定め方や、誰が新規事業をやろうと決めているかについて教えていただきたいです。
鉢嶺 弊社では1兆円と決めましたが、広告代理店だけですと、1兆円いかないと分かります。
これは頑張っても3,000億円だなって。「残りの7,000億円をどうやって作ろうか」となると、新規事業をやるしかないので、今はもう、シェアリングエコノミーと、ダイレクトトレーディングという、売り手と買い手を直接繋げるというビジネスモデルにターゲットを絞って、そこに外部への出資や、自社での立ち上げや、買収という形で作っていっているという感じです。
新規事業をどう生み出していくか?
南 その1兆円ということを考えた時、大企業になると必ずこうなっていくと思うんですけれど、一つ一つの事業を大きくしなければならない、もっと大きな機会を狙っていくビジネスしかやる意味がないという風についつい思ってしまいがちですよね。
こんなに面白い、5億円絶対儲かるチャンスがある。だけどこれ、5億円しか儲からないよねというような気持ちになってしまうと思うんですよね。そこはどういった考えでやればいいのでしょうか?
鉢嶺 それはそれでいいじゃないですか。100人100社、100社でやるので、一社一社は5億円でもやる価値はあります。
吉田 新規事業における、社長の発案と現場発案の比率はどれくらいですか?
鉢嶺 管理職発案のほうが多いんじゃないかな。
吉田 管理職発案ですか。
鉢嶺 僕発案のものは、役員会でほぼ否決されます。(笑)
井上 いい会社ですね。(笑)
南 井上さんは、結構M&Aもされていらっしゃいますよね。
井上 はい。両方ですね。内部から生み出すのと、M&Aと。新規事業は、メンバーからくるのが大体年間150案件位で、役員に関しては、執行役員が10人いますが、ノルマは一人7案件なので合計70案件出てくるんですね。
結局、年間二百数十案件くらいの中から、どれをどういう風にやっていくかというのを、一応アンゾフのマトリックスの4象限で、中期的に5年で、ここには何十億、ここには十数億、ここには何億という風にポートフォリオを作っています。
成功確率を振り返ると、ホームズに関連する染み出し型の周辺事業だと、大体50パーセントくらいです。打率としては悪くないですよね。
完全に多角化のド・新規になると、10パーセント位なんですよね。ただ、ド・新規でもちゃんと張りますので、それを内部でやるのか、出資なのか買収なのかということはちゃんと考えていますよ。
南 今隣で、吉田さんが必死にメモを取っていらっしゃいます。(笑)
役員の方が出してくるノルマですが、一つ一つの事業計画の精度はどの程度のものなのでしょうか?
井上 これもいろいろとトライアンドエラーしたんですけれど、最初はかなり精緻に、PL持ってこい、キャッシュフロー計算書を持ってこいというような感じだったんです。
そうすると案件が少なくなるんですよね。だからそれをやめて、取り敢えずアイディアレベルでよいということにしました。
フォーマットは、役員もメンバーも一枚。たった一枚だけ書いてくればいんです。リーンキャンバスに、その業界の何を変えるのかというのを1から10まで書き出して、簡単な計算式を入れて、ビジネスの規模を書くのです。
そういったものを、これいけそうとかこれ厳しそうとかいう風に、年間ざっと二百数十見ているという感じです。
南 井上さんが全部見ていらっしゃるのでしょうか?
井上 はい、全部見ています。
鉢嶺 そこから事業化されるのは何件位なのですか?
井上 そこから事業化されるのは、現実的に、年間3件から4件くらいなんですね。このペースだと、10年で100社間に合いません。
今は出資先も含めて、子会社13社、投資先が4社で合計17社の状態なんですけれど、残り9年間で86社作るので、このペースでいくと間に合いません。
100パーセント全部生き残るわけでもないですしね。大体、かなり手前味噌で、生存確率70パーセントとみても、年間15社ペースで作っていかないと間に合いません。
新規事業の担い手を誰にするか?
南 新規事業の経営者を、そのプランを出してきた方がやるケースが多いのでしょうか?
井上 原則、言いだしっぺが情熱リーダーで、その人に任せます。一番早い場合だと、新卒2年目の子が提案してきて、始めた時はその人は3年目になっていたんですが、4月1日に会社ができて社長をやっています。
ただ、まだまだ経験も能力も足りない部分があるので、役員がメンターとして付きますけれどね。
南 そのメンバーは、社内からリクルーティングしてもいいルールなんでしょうか?
井上 新規事業ができると、常に、公募案件としてメールで流れてきます。海外戦略でこんなのやるから手を挙げる人とか、今度トラベル系の事業をやるけどやりたい人とか。
吉田 それは、いつ頃からされていますか? 要するに、基幹事業というのがありますが、その基幹事業のキーマンが公募に流れたら困るということはありませんでしたか?
井上 ありました。現場の人間からすると、せっかく5年もかけて育てたのに、これからという時に持っていかれるみたいなことは、往々にしてあるんですけれど。
内発的動機を重要視するかどうか、つまりその本人がやりたという情熱を重要視して、それを正とするのか、目先の売り上げとポテンシャルの方を取るのかでいくと、前者の方に舵を切ったんですよ。
これで売上が下がるんじゃないかとか、年間5億円や10億円 売っていたエース級の営業マンがどうなるか分からない新規事業をやるとか、やっぱりロスや恐れはありますよね。
でも、本丸の事業部の方は、人材輩出部署だという風に割り切ってやってみると、組織の蘇生能力、再生能力が想像以上にすごいなというのが見えてきます。
やはり誰かがいなくなるとそこを埋めるように成長してくるので、そちらのほうが活性化してくるなというのが結論です。
吉田 事業の管掌役員は、今、何人くらいですか?
井上 執行役員が10人で、取締役は4人です。
吉田 事業に関する人に限定するとどうでしょう。バックヤードを除いて。
井上 バックヤードを除くと、僕も入れると3人くらいですね。
吉田 取締役がですか?
井上 はい。執行役員は10人中8人がフロント系ですね。
吉田 なるほど。
(続)
続きは 「資本のレバレッジをかけなきゃ損」ビッグ・ベンチャーのファイナンス戦略 をご覧ください。
https://icc.dvlpmnt.site/special/12155
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
【編集部コメント】
続編(その7)では、ビッグ・ベンチャーになる為の資金調達をテーマに議論しました。鉢嶺さんが語るソフトバンク孫さんのスケールにも注目です。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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