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福岡っ子が愛する地元の日本酒、白糸酒造「田中六五」の酒蔵を見学してきました【活動レポート】

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ICC FUKUOKA 2020では、招待制の特別企画として、「田中六五」で知られる福岡県糸島市にある白糸酒造の見学ツアーを予定しています。全国的にも入手困難な、人気の日本酒が生まれる酒蔵を、ICCチームが一足先に見学してきました。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


ICCサミット FUKUOKA 2020の準備にあたり、福岡の下見に行った際に、JR九州の小池 洋輝さんからご紹介いただいた、住吉酒販の庄島 健泰さん。店舗にうかがい、日本酒の魅力やCRAFTEDなモノづくりなどを話していたところ、とくに盛り上がったのが、いま、福岡で人気の日本酒「田中六五」の話題でした。

福岡という都市の個性を「上質なカジュアル感が魅力」と定義して、それを純米酒で表現した「田中六五」。白糸酒造という糸島にある酒蔵の8代目蔵元、田中 克典さんと、庄島さんが生み出し、常に品薄状態になるほどの人気を誇っています。

開催まで1ヵ月となり、福岡を再訪した我々ICCパートナーズは、庄島さんのご案内&運転のもと、白糸酒造を訪問して酒蔵を見学させていただくことになりました。このレポートはICCサミットFUKUOKA 2020のDAY3、午後に行う白糸酒造酒蔵見学ツアーのご紹介も兼ねてお送りします。

糸島市の白糸酒造に到着

福岡空港から約30分の道中は、庄島さんの九州・地元のお話を聞きながらあっという間に過ぎました。途中博多湾が見えたり、田園風景が見えたりと、市街地から10分も走ると自然いっぱいの風景が広がります。

庄島さんは福岡でお正月明けて最初の博多商人の祭り、十日恵比須の世話人を担っており、この日が初日とのこと。境内で行われる福引きの係だそうで、4日間が終了すると疲労困憊になってしまうのだとか。5月のどんたく、7月の山笠を含め、福岡の祭りは熱いらしいです。

白糸酒造外観。右手が酒蔵

予定よりも早く白糸酒造に到着しました。早速敷地内を探検してみましょう。

庄島さんのご案内で、いまの白糸酒造らしさを見られるという場所をご案内いただきました。

古い酒蔵の横道を入っていきます

ところどころ、壁面の木材が剥がれほど古い建物を通り過ぎて振り返ると……。

手前にモダンなコンクリート打ちっぱなしの建物と、奥に築120年という旧社屋がつながって並んで見えます。中央には「シライト」と書かれた、銭湯のような高い煙突が見えます。

案内してくださった庄島さんによると「新しいものと旧いものの融合の象徴」とのこと。田中さんにお話をうかがうのが楽しみになってきました。

8代目蔵元 田中 克典さんに会う

8代目蔵元の田中さんは、初対面のためか非常に言葉少なく、シャイな方でした。今回CRAFTED カタパルトでの登壇を予定していますが、「醸造を主眼にした業界向けのプレゼンしかしたことがない」といいます。

そこで、酒づくりにまったく素人のICC一行が酒蔵を見て、素人目にみて面白い、知りたいと思ったことを伝えるプレゼンにすればいいのでは、ということになり、話より先に酒蔵を見学ツアーとなりました。

田中六五=田ん中の磨き65%のお酒

見学ツアーで、田中さんは豹変しました。CRAFTEDな人に共通する、モノづくりを饒舌に語る、とにかく熱い人に変身したのです。

リノリウムの床の旧社屋の酒蔵に入ると、田中さんは布が被せられた大きな台の前で立ち止まり、解説を始めました。

田中さん「日本酒の原料はお米ですが、食べる用の飯米と、酒に適した酒造好適米というのがあります。

酒造好適米の代表格、山田錦は糸島が産地で、全国1位の兵庫県に次ぐほど生産量があった時期もありました。その糸島の山田錦を主に使っています。

田中六五の由来は、山田錦の田んぼの真ん中にある蔵が、精米65%にしたお酒、田ん中の65%のお酒という意味です。僕の名字も田中ですが、それよりも山田錦から始まっています。

とれた山田錦の玄米を、精米してもらい、65%に磨かれたものが、白米として入ってきます。

それを洗って、食べる米は炊きますが、酒づくりの米は、せいろのようなもので蒸します」

田中さんの背後にある、布のかかった大きな台車のようなものが、そのせいろです。

田中さん「蒸す前日にお米を洗い、一定の水を吸わせたあとに蒸します。これは昨日洗ったお米です」

と言うと、田中さんは布を開けてお米を見せてくれました。

じゅうぶん吸水した白色のお米がぎっしりと入っていました。

田中さん「今年の米は割れやすい。水を含んでふくらむと、そのままぱかっと割れてしまうほど、もろい。そうするとやりにくくて、今年は難しい年なんです」

2019年の夏は雨が多かったため、全国的にお米の出来上がりの状態がよくないそうです。

ICC小林「山田錦は、ご飯として食べられるのですか?」

田中さん「普通に食べられます。酒造好適米と普通のお米の違いは、タンパク質が少ないことです。

普通のお米は、甘いなど、いろんな味がありますが、それはタンパク質があるからで、酒にとってタンパク質はアミノ酸になります。

アミノ酸は味の一つなのですが、苦味などもあります。それは僕の酒づくりにはあまり使いたくありません。

僕はきれいなお酒を作りたいので、味があるよりも、むしろなくしていきたい。

極端にいうと、水のようなお酒を作りたいんです。

飯米もお酒づくりに使えるのですが、僕の理想とは違う」

放冷機。100度くらいになったお米を適温になるよう冷やす装置

田中さん「うちの建物は3棟あってつながっています。昔の酒蔵は継ぎ足して継ぎ足して蔵を作っていきました。新しい棟に行きましょう」

障子の扉や、深い茶色の梁や柱が目立つ旧社屋を出ると、洗米するシンクのスペースがあり、コンクリートの打ちっぱなしがモダンな新棟に入りました。

田中さん「蒸したお米をある程度冷ました時点で、工程は2つに分かれます。酒づくりや発酵に欠かせない麹(こうじ)を作る工程と、蒸しただけの状態です。最終的にはその2つを一緒にします。

先に麹を作って、麹と蒸したお米と、水と酵母を足して発酵が始まります。

麹造りには3日かかるため、先に麹を作ります

先程見せたお米は、麹を作るためのものです。それが3日後に出来ます。それから蒸しただけのお米と麹を混ぜる発酵の工程へ行きます」

と言うと、田中さんは神社のお守りが貼られた木製のドアを開けました。

田中さん「ここは麹室(こうじむろ)といって、お米に菌、カビをつけるところです。室内は約30度に保たれています」

田中六五の麹室

映像などで酒蔵の仕事としてよく見られるのが、杜氏さんがお米を手で揉み込むようにしている作業。それが行われるのがこの麹室です。

田中さん「カビ麹菌とは、カビなのですが、麹のなかで菌が繁殖して、酵素を作ります。その酵素が大事です。

麹菌もいっぱい種類があります。それと酵母との組み合わせはたくさんあるのですが、その両方の組み合わせがキーとなります。

どういう酒質(しゅしつ)にしたいかで、どういう麹を作るのか、どういう酵母を使うのかが決まる。

ただ香りがほしいのか、香りがあってどういう味にしたいのかとか、味の部分は麹が担います」

つくるときに最も大事な「蒸し」の過程

田中さん「昔から酒づくりに重要なのは、1に麹、2に酒母(しゅぼ)3に発酵のもろみ、といわれています。

その過程で、うちとしては『蒸し』が一番大事です。

なぜなら、蒸し上がったお米が80点であれば、80点以上にならない。60点になったお米が100点になることはない。だから『蒸し』で100点を目指さないといけません。

そこのなかで麹がどう繁殖するかという温度管理が、僕らの仕事です。

麹の温度は携帯で見ることができますが、操作するのは人間の手です。

酒づくりは微生物相手なので温度管理するだけ。上げるのか、下げるのか、キープするのか、それだけなんです。

ここに転がっているのは酒母(しゅぼ)、酒の母といって、これも発酵しています」

酒母の樽の上は、ビニールシートと毛布に覆われている。田中さんが左手に持っているのが酵母のアンプル

田中さんが覆いを外すと、ビニールシートにはびっしりと水滴がついていました。よく耳を澄ますと、活発に発酵しているプチプチとした音が聞こえます。

乳白色で甘酒のように見える酒母

田中さん「この工程は、酵母を拡大培養してあげるためです。のちほどご案内するタンクに見合った量の酵母数をここで作ってあげます。

入れる中身は、麹と、蒸した米と水、アンプルの酵母です。1週間〜10日ほどで出来上がります」

酵母は入れるタイミングを変えたり、混ぜたりしても使うそう。2種類の酒母を立てて、タンクに入れるときに混ぜたりすれば、また味の趣きが変わってくるそうです。

タンクが並ぶ冷蔵蔵へ

さて、そのタンクが並ぶ冷蔵蔵へ入っていきましょう。

室温が約5度に保たれた醸造室

見上げるようなタンクに囲まれた部屋は整然としています。ひんやりとした部屋に並ぶタンクの中では発酵が進んでいき、田中六五が作られていきます。「上へどうぞ」と誘われ、私たちは階段を登ってタンクのそばまで近寄ってみました。

巨大な漬物樽のような? でも無臭です

カバーをめくると、中にぐつぐつと煮え立つように泡立つ、白いおからのような物体が

見ている間でも、泡がブクブク上がってきます

田中さん「樽ごとに、全部状態が違います。今見ているのは、仕込んだばかりで、米粒がはっきり見えると思います。

この米粒がだんだん溶けていきます。ポコポコしていくのはガスです」

全部状態が違う? ということで、隣の樽を見てみると、だいぶ液状化が進んでいます。

10日目に入ると液体のほうが多くなってくるそうです

田中さん「発酵にとって酵母が主体になります。食べ物が食べないと人間が活動できないように、酵母にも栄養がないと発酵できません。

そのときに、麹の役割が大事です。蒸したお米の状態はデンプンで、主成分は鎖状になったブドウ糖です。

蒸した米と麹、水を入れることで、酵母はエサを得ます。

デンプンは非常に大きなものなので、酵母は食べることができません。

でもブドウ糖は小さいので、食べることができますが、鎖状につながっています。

そこで、麹を入れるとハサミの役割をして、ブドウ糖の鎖をハサミでチョキチョキと切っていきます。すると、酵母が食べることができます。

食べたときに、二酸化炭素とアルコールが出るというのが、発酵のメカニズムです」

「単発酵」のワイン、「単行複発酵」のビールと違い、「並行複発酵」の日本酒は、「糖化」「ブドウ糖を作ること」「発酵」を同時に行うのが日本酒の技術。「すごく大変です」と言いながらも、田中さんは、どこか楽しそうです。

田中さん「ものによって、温度を変えています。そうすると発酵する(米粒が分解されて溶ける)スピードが変わってくるので、味も変わってきます。

ハイクラスのものだと、低温で作って長期で発酵します。

それをあまり磨いていないお米でやると、逆に苦味、えぐ味が出てるので適温があります。

酵母も甘やかすのではなく、ちょっと厳しくしないといけない。それが今の酒づくりですね」

蔵によって作り方は違うのでしょうが、これが白糸酒造の酒づくり、田中六五を作り出した酒づくりなのでしょう。

田中さん「発酵のピークは、見た目で泡がかぶらなくて、マグマがわきでているような状態。そのときに温度が一番高くなります。ちょっとこちらの樽に顔を近づけてみてください」

1つの樽のカバーをめくって、田中さんが手招きします。

おそるおそる覗き込むと……

「うわっ!」

田中さん「ガスが充満しているので、もし落ちると一気に酸欠になって死んでしまいます」
ICC小林をはじめ「やばい!」「お酒が弱い人はやめたほうがいい!」と口々に声を上げるお酒好きチーム。下戸の筆者は、近寄らないほうがいいということで、おそるおそる望遠で撮影しました。

見た目は危険にはまったく見えませんが、二酸化炭素が大量に発生中

データを管理するラボスペース

次に私たちが見学したのは、ラボのような実験室のようなスペースです。

田中さん「下で発酵したタンクの中のものを、液体だけにして数値を測ります。
日々どういうふうに変化しているかを計測して、それによって温度を上げるのか下げるのかなど、対応をします。

実際、江戸時代と今の酒づくりはほとんど変わりません。温度計があったかどうかくらいですが、そのころは”ベロ”(舌)メーターですよ。

酵母によっては、発酵時に泡が立つものがあります。昔はその泡の状態を見て、発酵具合を判断するというのがあったらしいです。

雲のように泡が上ってくるとか、上がり方を見たり、パンがちぎれたように見えるとか、いろいろ見て判断していたらしいです。だから、昔の人は泡あり酵母じゃないとやらなかったそうです」

醸造中の液体のデータを味の管理に活用

続いて訪れたのは、できあがった麹が保管されている部屋です。田中さんは、少し取り出して私たちに食べてみるように勧めてくれました。

白色のもろもろとした米粒で、噛んでみると甘い

田中さん「これをお湯に入れて、55度で6~8時間保存すると甘酒になります。噛んでみると甘いと思いますが、それが酵素です」

ちなみに白糸酒造の横にあるショップでは、ここで作られた麹をもとにしたノンアルコールの甘酒を買うことができます。

搾りたての田中六五を試飲!

いよいよ見学もハイライト。入り口の「ハネ木搾り」の理由が明かされることになりました。

大きな長い棒が部屋いっぱいに渡っています。これがハネ木で、建築の補強構造部として使われる堅い木材です。白糸酒造の象徴的かつ特徴的な酒づくりの道具であり、味にも影響し、CRAFTEDの精神を表す部分でもあります。

冷蔵蔵でタンクに入っていたお酒を酒袋に詰め、ハネ木で圧をかけて搾るのがハネ木搾り。500キロ〜1トンの川石をハネ木の片方の先に結びつけて圧をかけるそうです。

この日は石は使っていませんでした

酒袋がこの下にあります

圧がかかる木の下で酒袋が搾られて……

このタンクに搾られたばかりの田中六五がたまっていきます

搾りたての一杯をいただきます!

「おいしいっ!」

「うまいっ!」

あまりの口々の大絶賛に、下戸でもどうしても飲みたくなり、思わず一口飲んでしまいました。水のようなのに口当たりが軽く、アルコール15度というのをまったく感じさせません。あまりの滑らかさに、口に入れようと思わない量のお酒を含んでしまいました。

フルーツのような甘い香りがして(酵母によるものだそう)もっと飲みたいと思ってしまったほどです。ちなみに、お酒一口でじゅうぶん酔ってしまう筆者ですが、まったく酔いませんでした。

庄島さん「今の搾り方は、酸素に触れない方法が主流ですが、それだときれいになりすぎる。

圧をかけるタイミングなどが、どこまで味に影響しているか数字には出ていないけれど、他の酒と違う認識をされるところは、吟醸仕込した酒が、最後にここで仕上がっているところ。

このハネ木搾りが田中六五のアイデンティティを作っている最終地点だと思います」

そう言うと、庄島さんと田中さんも一口グイッ。目を見合わせて、「45くらいかなぁ……?」と言い合っています。そのぐらい磨いた米の味、ということでしょうか?

田中さん「僕が伝えたいのは、65%でもこのぐらいのクオリティができるということです」

「瓶で飲むの田中六五とは、味がまったく違う!」とICCチームが口々に言うと、

庄島さん「搾ってから飲むまでの距離が1mぐらいだからでしょう。

他のメーカーさんは、酸化を気にして、圧搾するときに空気に触れないし、搾っているところで冷蔵もします」

田中さん「うちは酸化バリバリです(笑)。

作る時点ではすごく磨かれているのですが、搾るほうでふくらませる。そのバランスをここで表現しています。

これが機械搾りになると、硬くなりすぎて、口の入り方、スムーズさが全然違う」

庄島さん「締めて作ったものを、搾りでおおらかにする。そこに福岡らしさ、上質なカジュアル感が生まれているのではないかと思います」

田中六五の「蒸し」現場に遭遇

ICC小林「こっちがすごいことになっているよ!」

と、小林が声を上げたのは、最初に吸水したお米を見学したところ。見ると、上に被せられていた布が蒸気とともに膨らみ、その蒸気は天井にまで上がっています。

さきに「一番大事な過程は蒸し」が大事で、100点を目指すと言っていた、その現場がラッキーなことにこの日、見られることになりました。

田中六五のキーポイントとなる「蒸し」工程

高い天井の梁まで蒸気が上がっていきます

残り一時間くらいで蒸し上がるということで、地元のちゃんぽん屋さんの昼食@長崎亭を挟んで(田中さん、ごちそうさまでした!)、白糸酒造へ戻ってみると、蒸したあとの作業が始まっていました。

田中さんに、蒸し上がったばかりのお米を「食べてみてください」と、いただきました。

35%ぶんが磨かれているお米は、普段食べているお米よりも小さく、楕円形というより球体に近い形状。蒸す前は白色だったのが、炊いた後は青味を感じるような、きれいな半透明の白色になっています。

口に含んでみました。見た目は乾いて見えたのに、パサパサではなく噛むと弾力があり、雑味のない甘さがあります。お米よりももち米に近い気もするけれど、粘度はなく、手にもベタベタしたものが残りません。不思議です。

田中さん「口の中でほどける感じがわかりますか? 酒づくりの蒸し上がり米に求めるものは、外硬内軟といって、外は硬いけど、中はや若いのが理想です。かむと弾力がある。これはすごくよくできています」

そう話している横ではどんどん作業が進んでいました。

蒸し上がった米を、だいたい10kgぐらいの量に分けて布にくるみ、熱を冷まして麹室へ運ぶというのが一連の作業のようです。

使い込まれた木製のスコップで、1回に冷ます量を小分けにする。1回で10kg前後

蒸し上がり量を計測するのは、蒸す前からどれだけ水分が増えているかを把握するため

布にくるまれた約10kgの米を2人がかりで広げて……

手で広げて冷ましていく。後ろのピンク色のTシャツの男性は、奥の麹室まで蒸し米を運ぶ

手慣れたルーティーンで冷ました米をまとめる。温度計はないが38度程度

この蒸す過程が最重要なため、蒸し機は特製のもの。蒸気を専門とする研究者と、酒蔵の専門家が組んで開発したものだそうです。

田中さん「環境も大事で、外気や湿度の変化で、圧力を上げるのか下げるかなど、微妙な調整が必要になります。たとえば外気が寒くて冷たいと、圧力が同じでも温度は上がりません」

間仕切りに見える、蒸し機の周りを囲うカーテンは、蒸している間に外に蒸気がもれないためのもので、全部閉める、ひとつだけ開ける、などでも蒸しの仕上がりが違うのだとか。

ほんのわずかな調整が仕上がりに影響する

七代目までは杜氏に任せていた酒づくりを、田中さんは八代目にして自ら担うようになりました。
そこで、伝統と経験則だけではなく、データも活用しながら庄島さんと作り上げたのが田中六五です。

「福岡は、流行りものが東京から遅れて入ってくるだけだったのに、こんなに地元のものが受け入れられて、ムーブメントになっているのは初めて」と庄島さんが言うほど、田中六五は福岡に来たらこれ、と選ばれるお酒になっています。

庄島さん「作り始めたときから変わらぬ目標として、客単価2,000円の大衆酒場から、2万円を超える高級店まで、福岡の街の定番酒として様々な飲食店さまに扱って頂くことをを目指しています」

福岡に新たな三つ星。伝統を守り進化を遂げる「鮨 さかい」(CLUB MICHELIN)

現在その目標よりはるかに広いところへ、田中六五は届いています。

酒蔵のシンボル、杉玉が軒先に

その他、日本酒の値決めの話や、今年のお米の出来の話など、さまざまな話題が出ました。

田中さん「毎年米が違います。ダーツの真ん中が理想とすると、シーズンが進んでいくほど、なるべく真ん中に寄せていくのが酒づくり。

酒づくりは毎年1年制で、米も違うし環境も違う。それをみんな追い求めていきます」

見学が終わって、再び最初の場所に戻り、新旧の社屋をバックにICCポーズをお願いしました。

写真左から、庄島さん、田中さんと

そのCRAFTEDなこだわりは、DAY2のICC FUKUOKA 2020の田中さんのプレゼンテーションで、CRAFTEDな現場は、DAY3の特別プログラム「『田中六五』の白糸酒造 酒蔵見学ツアー」でぜひご体験ください。酒蔵の横には試飲やショップスペースもあり、購入して帰ることもできます。

ツアーはCRAFTEDな体験を増幅するLEXUSで送迎いたしますので、こちらもお楽しみに。

最後になりますが、今回ご案内いただいた庄島さん、田中さん、どうもありがとうございました!以上、現場から浅郷がお送りいたしました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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