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開催まであと1週間! ICC サミット KYOTO 2018第2回プレイベント、鉄板ブランド論&未来を変えるリアルテックが鮮烈プレゼン!!

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ICC サミット KYOTO 2018まで2週間を切った8月22日、Nagatacho GRID 6FのAtticにて、ICC KYOTO 2018 第2回プレイベントを開催しました。 恒例のパネルディスカッションではヤッホーブルーイングの井手 直行さんやクラシコムの青木 耕平さんがブランド論を語り、ユーグレナの永田暁彦さんが紹介したリアルテック・カタパルトでは衝撃のプレゼンありと、今までのイベントとは別次元の盛り上がりを見せた夜の模様をレポートします。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。

みなさんこんにちは、ICCの活動をつぶさにレポートする浅郷です。ICC サミット KYOTO 2018本番前の最後のイベントであるこの夜、高まる期待を反映するように、今回は登壇者・参加者・スタッフ合わせて143人が大集合。みなさんの熱気あふれる会話が、ものすごい音圧でした……。この日、残念ながらお越しいただけなかった方にも、その熱気を少しでもお伝えできればと思います。

無駄に見えることを、なぜブランディングでやるのか

ほぼ満席状態でパネルディスカッションがスタート

パネルディスカッションはICCパートナーズ小林 雅がモデレーターを務め、テーマは「愛され続けるブランドを創る」。ICCスタッフも大好きな”よなよなエール”のヤッホーブルーイングの井手さんと、ブランド作りのカリスマとして経営者の間でもファンの多いクラシコム青木さん、そしてさまざまな企業のブランディングをサポートするインサイトフォースの山口 義宏さんが、お二人の話を汎用化して伝えるという役回りで登壇してくださいました。

はじめに「ブランド」と「ブランディングの定義」を山口さんにうかがいました。

インサイトフォース 代表取締役 山口 義宏さん

山口さん「ブランドとは記号と価値が一貫性をもって伝わるもの。ブランディングは、その記号が覚えられて、それを聞いたら好もしい気持ちが想起され、愛される、買ってもらえることに有利な価値を埋め込むために、プライス、プレイス、マーケティングなどの顧客体験に時系列の接点から一貫性をもたせることです」

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女性に人気のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営する青木さんは「自分たちが描くイメージと想起されるものの溝を埋めていきたい。そのために『こう思われたい』ということに、矛盾のないエピソードを作っていく」と答え、そのブランディングの過程を語ります。

クラシコム 代表取締役 青木 耕平さん

青木さん「以前はECサイトだというのに、サイトに記事を山ほど作っていました。今は女優の西田尚美さん主演のドラマを作って公開していて、約50万回再生されています。

記事を作っていたときも、お客様に楽しんでいただくために、この人達狂っているぐらい頑張っていると思われたくてやっていましたが、それが次第に当たり前になってきました。そこでより大きい狂い方をしなければいけなくなったのがドラマを作った理由です。ドラマも映画も積極的に投資して、明確にブランディングを視覚化していきたい」

主演・西田尚美「北欧、暮らしの道具店」オリジナル短編ドラマ『青葉家のテーブル』 第1話「トモダチのつくりかた」

井手さん「ICCに来ると毎回『よなよなエールいけてる』と誤解しちゃうんです! ここでは100%の認知度と飲んだ経験があるから。でも実は首都圏でお酒が飲める人の間でいうと、まだたった◯◯%(秘密)なのです。僕らのコアターゲットは『知的な変わり者』。そういう人がICCには集まっているんですね。

ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行さん

コアターゲットを意識してブランディングを続けていたら、会社にもそういう人がだんだん集まってきました。それで日本のビール文化に革命を起こしていきたいと思っています」

いきなり核心に迫るトークでスタートです。井手さんは、そのブランディングのために「先輩風壱号」という特別なマシンを何百万もかけて作り、それがYouTubeで大受けしていると紹介します。

先輩風壱号|チームビールディング Product#1 by よなよなエール

日清にはブランドの定義がない!?

どちらの企業も順調に成長を続けており、ブランディングも着々と進んでいますが、山口さんの目からはどう見えるのでしょう。

山口さん「マーケットシェアが一桁のときは、お二方のようなコアターゲットにぶつける啓蒙パターンが効く。ある程度まではそれでいけます。でも二桁になると、そのブランディング方法が苦しくなるタイミングがあって、客層が変わってくる」

井手さん「アップルにできて、よなよなエールにできないことはないと思っているんです。大きくなってもこのブランドはすごいということにしたい。いくら大きくなっても、そのためには革新性が大事だと思っています」

青木さん「もうかっているところを応援したいという人はあまりいませんよね。アップルも今は、昔のようにただいいプロダクトを作っているだけではないと思う。革新性の構造をどう拡大生産していくかを、僕はずっと考えています」

「一生懸命聞き出そうとしたんだけど……」と井手さん

「狂ったまま大きくなった企業」として日清の例を山口さんが紹介すると、井手さんが秘蔵エピソードを語ります。

井手さん「以前に日清の人と知り合って、赤坂の『YONA YONA BEER WORKS』へ連れていき、ブランドの秘密についていろいろ聞き出そうとしたことがあります。でもどんなに聞いてもブランドの定義がないと言うのです。あえていえば『世の中へのカウンターパンチかなぁ……?』と言う。こちらがよなよなの話をしたら、逆にメモられて『僕らも作ったほうがいいかな!?』となってしまった(笑)」

「矛盾がなく難易度の高いこと」がブランド力につながる

討論は、ブランドをどう存続させ、大きくさせていくかにも広がりました。

「情報的なものの価値の割合はこれから増えていくと思う」と青木さん

青木さん「狂っているだけではなく、矛盾がないことが大事です。バレエやスポーツを見た時に、美しさを感じるのは、矛盾なく難易度の高いことを実現しているからだと思います。いろんなプラットフォームなしでは成立しないビジネスをしているなかで、どう生き残るかというと、究極的に美しいものは助けられるのでは?という意見が社内で出てきました」

井手さん「自分の感覚に近いものなら、全力で走れます。期待を裏切りながら走り続けるには、それしかないのではないでしょうか」

「ビジョンとビジネス、2つのOSのタイプがあります」と山口さん

山口さん「お二人は魂ドリブンのタイプですね。ビジョンがしっかりあって、それでビジネスをするから、ビジョンドリブンともいえます。一方、ビジネスのためにブランドをやるという人もいます。自分のOSがどちらかというのは、しっかり自問自答してほしいですね」

小林「会場でビジョンドリブンだと思う人? 多いですね。ではビジネスドリブンだと思う人? 少なめですね」

「ビジョンドリブンの人、挙手ください」

そこで、究極的にビジョンドリブンの井手さんのエピソードです。

井手さん「最初の年はよなよなのファン1000人対象で1泊2日のイベントをして、数100万円の赤字が出たのですが、満足度は90数%でした。だから毎年続けていて、昨年秋は4000人を対象にやったら、なんと数千万の赤字になってしまった。今年は5000人にしたら、さらにすごい赤字に……でも、売上はちゃんとついてきていて、IT企業かというくらいの成長です。イベントは大赤字ですが、それは効いている気がしますね」

「自分の感覚に近いものなら全力で走れる」と井手さん

よなよなエール超宴 ビールとオトナの文化祭

大手メーカーも真似したがるという、よなよなエールのイベントは「全部手作りだから、大手は模倣困難だと思う!」と胸を張っていました。

会場からは「自分が狂うだけでなく、会社全体がそうでないといけないのでは?」など鋭い質問が出ましたが、それは2社とも存続可能で、楽しく無理なく続けられる方法を見出しているとのこと。詳しい内容は、後日の書き起こし記事をお待ちください。

未来を変えるリアルテック2社が登場

次に、9月4日の14:30から開催される「リアルテック・カタパルト」のナビゲーターを務める株式会社ユーグレナ取締役CFO/リアルテックファンド代表の永田暁彦さんが登場し、リアルテックファンドの説明をしました。

ユーグレナ取締役CFO/リアルテックファンド代表 永田暁彦さん

永田さん「リアルテックファンドは、日本の大企業30社が94億円を出資しあっているCVCの集合体のようなファンドです。キャピタルゲインは出るけれどもそれは目指しません。僕たちみたいな研究開発からスタートして、誰からも見向きさされないけれども本質価値が非常に高い人達を、最後まで支え続けることを宣言して集めたファンドです。

僕たちは地球と人類の課題解決に取り組む研究開発型の革新的テクノロジーに絞って投資します。いけてるベンチャーは放っておいてもうまくいくので、僕らでないと救えない、ダイアモンドの原石を探しています」

ユーグレナの創業者、CEOの出雲充さんの18歳、25歳のころの研究者時代の写真を見せながら永田さんは熱く語ります。「このころに、ミドリムシ出来ましたとベンチャーファンドを回っても、誰一人お金を出してくれる人はいなかったのです。僕らは13年前の出雲を救いたいのです」。

そして今回リアルテック・カタパルトに登壇予定の、永田さんが世界を必ず変えると信じている2社を紹介しました。

メルティンMMI 代表取締役 粕谷 昌宏さん

粕谷さん「パネルディスカッションの話に続けると、自分が一番狂っていると自負しています。ロボットやAIではなく、サイボーグ技術で、ヒトの体の制約を破りたいと思っています。

体を動かす司令である、脳からの生体信号を機械とつなげて動かしたり、生体信号を代わりに出すことで、サイボーグ化した足を動かしたり、動かなくなった自分の足を動かすことができます。脊髄損傷で歩けなくなった人が、2016年には自転車レースに出るなどの事例も生まれています。

現在、人間の体は存在している場所に縛られていますが、それすら解放します。地球の裏側にいる自分の分身に、インターネットで意識をログインして動かします。すると危険な場所での作業なども可能になりますし、移動時間の削減にもなります。従来のロボットに欠けていた高度な判断能力という問題が、これにより解決するのです」

夢のような話ですが、すでに2017年には、アバターロボットMELTANT-αが、JAXAと組んで宇宙飛行士の作業代替の初期実証実験済み。粕谷さんの話はすでに現実味を帯びています。

インテグリカルチャー 代表取締役CEO 羽生 雄毅さん

次に登壇したのは、ICC初参加のインテグリカルチャー株式会社の羽生 雄毅さんです。

羽生さん「『君の膵臓をたべたい』という映画が先日テレビでやっていましたが、それは肉の培養テクノロジーで実現できます。現在の畜産業から水資源−95%、土地資源を−98%削減でき、超資源で食肉の生産が環境負荷から解放され、持続可能になります」

プレゼンによると、人造肉のレシピ動画はYouTubeなどにアップされており、高校生が気軽に培養に挑戦しているとのこと、「大人は何をしているんですか!」と、私たちは一喝されてしまいました。

羽生さん「クリーンかつ安定的な供給が必要ということでニーズの高いコスメ企業から、シードの段階で協賛をいただいています。たとえば火星に移住するとき、人間が食べるために牛を連れていきますか? 僕はこの培養技術をもって、火星に植民するつもりです」

2社のプレゼンを聞いて、個人的にリアルテック・カタパルトへの興味が今まで以上に上がりました。今の社会や人間のもつ課題に対する、アイデアとテクノロジーでの解決策。2社以外でも、知っていれば人に語りたくなるような企業が登壇しますので、ぜひご注目ください。

▶ICC サミット KYOTO 2018 リアルテック・カタパルトの受賞者、登壇企業一覧はこちら
【速報】ドローン制御技術の「エアロネクスト」とナノカーボン技術の「スペースリンク」がリアルテック・カタパルト同率優勝!(ICCサミット KYOTO 2018)

続いて、プレイベント会場であり、ICCパートナーズが入居しているNagatacho GRIDを運営するガイアックスの上田 祐司さんからご挨拶がありました。私たちは1階のtiny peace kitchenを社食状態でお世話になっていますが、GRIDでは、毎日のように興味深いワークショップや、さまざまな企業のイベントが行われています。駅近で、使いやすいイベントスペースをお探しの方、イベントに参加してみたいという方は、ぜひウェブサイトをご覧ください。

ガイアックス / 代表執行役員社長(兼取締役)上田 祐司氏

よなよなエールで乾杯!

プレゼンの時間が終わり、懇親会は井手さんの音頭で始まりました。当然よなよなエールで乾杯です。

みんなで乾杯!

今回もカタパルトパークには3社の展示が登場しました。すでにおなじみになったAROMASTIC、日本初のパーソナライズシャンプー「MEDULLA」を提供するSpartyには女性が興味津々、ストックオプションの発行支援をアピールしたSOICOと、初めて出会うプロダクト、企業があり、来場の方々には新鮮に感じていただけたのではないでしょうか。

AROMASTICを手に説明するソニーの藤田 修二さん

仕上がりの質感、香りなどをセレクトしてシャンプーをパーソナライズ。Spartyの深山陽介さんがアシスト中

従来のストックオプションの難点を解決するSOICOの皆さん

パーティーフードにもテコ入れしました。Honda Xceleratorのミートアップで知ったDean & Delucaのケータリングに、ICCのイベントではおなじみのtiny peace kitchenのケータリングをさらにグレードアップさせてご提供しました。あっという間になくなっていたので、お楽しみいただけましたよね? これからも小さな改善を積み重ねていきたいと思います。

カタパルトに登壇する600の久保 渓さん、ココナラの南 章行さん

日本IBMの澤 円さん、プロノバの岡島 悦子さん、永田 暁彦さん

オフィス訪問レポートでもお世話になったビズリーチ竹内 真さんと多田 洋祐さん

写真左から、カタパルトに登壇する「食べチョク」の秋元 里奈さん、電通の片山 智弘さん、CRAZYの小守 由希子さん

スタッフも気合いを入れてがんばります!

ICC サミット KYOTO 2018まであと1週間。刺激的で心から面白いと思える、今の産業を引っ張るリーダーによる議論と、新しい産業が生まれる出会いの場を、スタッフ一同、全力で創り上げたいと思っています。京都に参加予定の方々は、お気をつけてお越しください。以上現場から、浅郷がお送りしました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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