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普通とは何か?(石川善樹×マツダミヒロ)【SP-YI3 #2】

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これまでに配信した、石川善樹さんご登壇記事を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 から、異分野対談「予防医学者 X 質問家」を4回に再編集してお届けします。石川善樹特集3(その2)は、マツダミヒロさんが「石川さんの知識がどこからやってくるのか?」と質問し、知識とは?や、普通とは?といったテーマを主に議論しました。ぜひご覧ください。

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登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2E 異分野対談「予防医学者 X 質問家」

(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H 共同創業者

松田 充弘
マツダミヒロ事務所 代表取締役

(聞き手)
井上真吾

「異分野対談『予防医学者 X 質問家』」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】「自己紹介とは何か?」から始まる異色の対談を特集!(石川善樹×マツダミヒロ)【SP-YI3 #1】

本編

松田 石川さんが今までで一番自然に近い体験や経験をしたのはどんな時でしたか?

石川 原体験で言うと、小学校の2年生の時なのですが、学校から家へ帰る途中に原っぱがあったのです。そこで僕は寝転がって雲を見ていて、「ああ、雲が流れているな」と思ったのですが、ちょっと待てよと気づいた。

「雲が流れているのではなくて、地球が動いているのではないか」と。そして、雲を固定して、地球が動いていると想像してみると、すごい乗り物酔いをしました(笑)

それが最初に自然と自分との結びつきが感じられた経験でした。

松田 最近で言うと何かありますか?

自然とは数式である

石川 これは少し特殊かもしれませんがあります。みなさん自然というと緑とか山というものを想像するかもしれませんが、僕にとっての自然というのは実は数式なのです。

自然は数学の言語で書かれているというのがあって、深遠なる数学の式を見ると、僕は「ほう」と思うのです。例えば、ハーバート・サイモンという人がいますが、彼はノーベル経済学賞を取った人で、いわば知の巨人と言われる人です。

彼が、こういう数式を書きました。theory of social complexityというもの。人とか社会とか自然というものを考える時に、実はこれが一番基本となる考え方なのです。

これはとてもシンプルです。人工、人が造ったものがあり、社会があって、自然があるのですが、結局人は自然と言うものに適応していくために、社会の中でいろいろな人工物を作る。

例えば椅子とか、カメラというものだったり、貨幣システムとか政治システムだったり、いろいろな人工物がある。

僕ら研究者というのは世の中というものをこのようにすごく単純化して見ているのです。

自然の中のものとソサイエティとの相互作用の中で、Artifactという人工物が生まれたと。こういう、もはや数式なのかというくらいのシンプルなものなのですが、これを見て僕は自然との結びつきを感じます。

松田 直接的な結びつきだけではなくて、精神的な結びつきですね?

石川 そうですね。数式と精神的に結びつくって、はたからみると変態ですね(笑)

松田 少し切り口が変ってしまいますが、石川さんと喋っていると、何でも知っているように感じます。知識というのはどこからやってくるのですか?

知識とは何か?

石川 あー、それはよく言われますが、自分ではそういう認識はないですね。まず言っておくと、僕は本屋が苦手です。

何故かと言うと、本屋へ行くと「こんなにまだ自分が知らないことがあるのか」と思って絶望するからです。そして、これをいつか網羅できる時があるのかと考えて、また絶望する(笑)。

松田 ということは網羅したいのですね?

石川 したいのです。一方で、もう一つの悩みは、勉強すればするほど片っ端から忘れていくという悩みもあるのです。

情報を読む、見る、理解するという勉強の仕方だと実は知識って溜まらない。知識を溜めるには、自分がまず不思議に思わなければ駄目なのです。

不思議に思ったことと言うのは絶対に忘れないですよね。「これって不思議だな、なんでなんだろう、こうなっているのではないか」という仮説が出た段階で初めて情報を取りにいく。

すると、それは知識になるのです。きっと自分が知識を忘れないこととか、ずっと覚えていることが大事なので、そうなると不思議に思うことというのが大事なのですが、不思議に思うためには「普通だな」とまず思わなければ駄目なのです。

普通なのが実は普通ではないね、という普通に対する感度というのが大事。普通なことが普通ではなかった時に不思議だなとなる。

「普通」とは何か?

松田 自分なりの「普通」の定義が必要になるのですね?

石川 ええ。たとえば、ニュートンはリンゴが木から落っこちるのを見てびっくりした。この感性なのです。

例えば、アインシュタインが一般相対性理論を思いついたのは、何を不思議に思ったか。自由落下している時、高いところから人が飛び降りた時。その自由落下をしている人は、重力を感じないのではないかと思った。

立っていると重力を感じるのですが、自由落下している人は重力を感じないのではないかというところから、彼は十数年後に一般相対性理論というのを考える。

あるいは、光を光のスピードで追いかけたらどう見えるのだろうかというのを15歳くらいの時に考えて特殊相対性理論というのも作った。

このように、みんなが「光だね」「落ちるよね」というようなところを不思議に思う力というものが必要なのです。

松田 それでは、普通を認識して、それが何故だろうと不思議に思うと、そこで初めて知識を取りに行くという感じなのですか?

(ICCカンファレンス KYOTO 2016 での登壇時)

石川 そうですね。そこで、自分のイマジネーションとインフォメーションが結びつく。自分のイマジネーションを働かせた段階で、インフォメーションを入れると、そこで初めて知識というものになっていくわけです。

松田 多分、これを読まなければならないとか、この本が出たからとかで読むと、何の下準備もなく情報だけやってくるから、何も残らないという感じですね。

質問者 今の流れで一つ質問なのですが、石川さんの人生の中で、一番自分の中で疑問に思ったことって何だったのでしょう?

そこから得たものも合わせて教えていただければ嬉しいです。

石川 あー、それは人生に意味はあるのか、というものですかね。

よく考えていくと、いずれ人類は滅びるし、そもそも太陽系自体もなくなるし、宇宙もいつかはなくなるでしょう。そう考えると、どうせいつかなくなるのだったら、自分の人生に意味はないのではないのかと思った。

そして、基本的に人生などどうでもいいのだというスタンスに立った時に、すごく自由になれて、気楽になれました。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 良い「しつもん」をするためのトレーニングをしよう(石川善樹×マツダミヒロ) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/石川 翔太/井上真吾/渡辺 裕介

【編集部コメント】

続編(その3)では、マツダミヒロさんがなぜ「質問家」となったのか、問いを立て続ける人とはどのような人なのか等を議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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