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ユニコーンの行く末は?【T16-2A #1】

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第一線で活躍するベンチャーキャピタリストや上場企業大手のCFOらが熱く議論した 「今後のベンチャーファイナンスの行方」の講演議事録 その1を公開しました。各スピーカーが最近の関心事を語りまりました。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2A
「今後のベンチャーファイナンスの行方」

(スピーカー)
伊佐山 元  株式会社WiL Co-Founder and CEO
今野 穣   株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー 最高執行責任者(COO)
村田 祐介  インキュベイトファンド 代表パートナー
山田 善久  楽天株式会社 副社長執行役員

(モデレーター)
武田 純人 UBS証券株式会社 マネージングディレクター

「今後のベンチャーファイナンスの行方」の配信済み記事一覧

武田純人氏(以下、武田) 皆様お集まりいただきありがとうございます。UBS証券株式会社の武田です。それでは「今後のベンチャーファイナンスの行方」を進めさせていただきたいと思います。

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武田 純人
UBS証券株式会社 マネージングディレクター

2001年、早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士課程を修了後、株式会社大和総研に入社。企業調査本部でアナリストとして主に中小型成長株の調査に従事。2006年、UBS証券会社(現UBS証券株式会社)に入社。現在は調査本部において主に国内のインターネット産業及びゲーム産業の調査を担当している。2015年米国Institutional Investor誌All Japan Research Teamランキング Internetセクター第1位。

前の時間帯の笑いあり感動ありのビッグベンチャーのセッションに続いて、このセッションは、完全に教育テレビ的なコンテンツです。

小林さんからは、「真剣な議論を」ということでご依頼をいただいています。なので、ガチな、日本のベンチャーマーケットがこれからどうなるのか、よくしていくために一体何が必要なのかということを、この豪華なスピーカーの方々と一緒に時間を使って議論していきたいなと思っています。

オーディエンスの皆さんからも是非色々なフィードバックをいただきたいなと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。

早速なんですけれども、最初に自己紹介を兼ねて、皆様もご承知の通りのビッグネームばかりではありますが、改めてご本人のお名前を頂いて、プロフェッショナルとして、ベンチャーキャピタリストとして、あるいは上場企業のCFOとして、最近一番関心があること、ベンチャー市場についてどのようなことに関心を持っておられるのかということを、昨日事前に皆さんにお願いして一言ずつ考えておいていただきました。

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最初に自分の一番のテーマなんですが、証券アナリストという仕事が絶滅危機に瀕し始めているというところを、本当に心配しています。

コーポレートガバナンス、スチュワードシップコード、フェアディスクロージャー、といった様々な議論の狭間に、今、我々の仕事が揺れています。

簡単に言ってしまうと、我々アナリストが、自由な取材をできなくなるかもしれないというような状況に直面していると感じています。

今日も後で議論しようと思うのですが、自分自身ずっと感じているのが、日本のマーケットで未上場の市場と上場の市場との間にずっと存在しているギャップ、それを繋ぐために何らかの役割を果たせるはず、果たすべきであるのが我々の仕事だと自分は思っています。

ですが、その役割を果たせなくなる可能性を感じています。今、真剣にプロとしての危機を感じています。

ということで、皆さんに進めていきたいと思います。では最初に伊佐山さん、お願いします。

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伊佐山元氏(以下、伊佐山) 真面目でちょっと面白くということで、「メルカリどこまでいってしまうの?」ということですね。
今野さんも我々もメルカリの投資家なのですが、今回大きな増資もして、世界を取りにいくぞと。まずはアメリカだと思うんですけれども、ベンチャー業界は今、冬の時代に入ってお金集めが大変だと一般的に言われている中で、強い会社はとにかく圧倒的な力で資金調達もとても有利に進められる、そういう時代になってきています。

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伊佐山 元
株式会社WiL Co-Founder and CEO

WiL(World Innovation Lab)共同創業者CEO。東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)に入行し、2001年よりスタンフォード大学ビジネススクールに留学。その後米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとして、シリコンバレーで勤務。10年間に渡り、ITベンチャーの投資育成を手がける。2013年に日本の大企業と日米ベンチャーの橋渡しを行うことでオープンイノベーションを実現する組織WiLを創業。日米を拠点に活動しており、日本が起業大国になることを夢見ている。日経デジタルや東洋経済オンラインでコラムを執筆中。著書に『シリコンバレー流世界最先端の働き方』(KADOKAWA中経出版)がある。

私は昨日アメリカから来たんですが、アメリカではユニコーンがここ2年間ずっと盛り上がっていて、異常な資金がベンチャー企業に投入されたわけですけれども、それの調整がリアルに足元で起きていまして、ユニコーンということは、ユニコープスという死骸、死体ですね。

ユニコーンじゃなくて死体じゃないかという例えもあるように、かなり潰れそうな会社も出ていていますし、潰れなくてもかなり減資して人もリストラして、リストラされた人がすごい勢いで私のオフィスにも就職相談に駆け込むというケースが増えているのが、最近非常にホットなトピックです。

当たり前ですが、全てのベンチャーがうまくいくわけがないので、やはりしっかり勝つ、「メルカリはどこまでいってしまうの?」というのは、本当の意味で骨太のベンチャーが日本から生まれて成功してほしい、見本になってほしいという想いと、でもそんなに簡単に大きな会社になれるわけではないよという、自分に対してベンチャー業界に対してのメッセージとして取り上げてみました。

武田 ありがとうございました。

まさに今日、皆さんとお話をしたい、これからベンチャー市場が冬の時代を迎えていくと考えられている中で企業として投資家としてどんな準備が必要なのか、というようなところを、最初からその答えみたいなところをいただいたと思うのですが、後ほどあらためて皆さんと一緒に掘り下げていきたいなと思います。では今野さん、お願いします。

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今野穣氏(以下、今野) セッションのテーマをひっくり返しそうなんですけれど、関心ごとについては嘘をつけないので、武田さんに質問を受けた時に、今は僕はこれだと思いました。

今野 端的に言うと、これまでの成長という概念を前提とした経済活動というのはどんどん変わっていくというか、次のイデオロギーというか概念に移っていくんだろうなと思っています。

今、政治も、経済も、イノベーションの軸も、ユーザーの行動も、全てが不安定で今までの価値観が揺らぎ始めています。

因果関係については分かりかねるところがあるんですが、全てのものが今不安定になっているような気がしていて、そこから次にどういう時代が待っているかというところと、ベンチャーファイナンスなり、ベンチャーキャピタルの役割を合わせていかないと、取り残されるなと思っています。

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今野 穣
株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー 最高執行責任者(COO)

2006年7月グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。
2012年7月同社パートナー就任。
2013年1月より、同社ジェネラルパートナーおよび最高執行責任者(COO)就任。

同社は、1996年より国内外から多数の機関投資家の資金(累計660億円)を運用する独立系ベンチャーキャピタルであり、世界有数の運用実績を誇る。主な投資担当先にライフネット生命保険、ブイキューブ、みんなのウェディング、アカツキ、Quipper、キラメックス、Bplats、スマートニュース、リノベる、イタンジ、ファストメディア、Vasily、Akippaなどがある。同社入社以前は、経営コンサルティング会社(アーサーアンダーセン、現PwC)にて、プロジェクトマネジャーを歴任。東京大学法学部卒。

そういう意味で、「ポスト資本主義」を挙げました。

武田 ありがとうございました。
今日のセッションの後半は、この産業をこれからどう良くしていかなければならないのかということに関連して、何に投資をしていかなければならないのか、どういう新たな産業テーマを創っていかなければならないのかというところに広げていきたいと思っているのですが、自分自身も今野さんが今掲げられた「ポスト資本主義」は一つのヒントだと思っています。

資本主義の真ん中で仕事をしている自分自身も、実は去年くらいからずっとテーマとして考えているのが、情報資本主義から精神資本主義みたいなところへシフトが起こるのではないかというようなことだったりします。

ベンチャーキャピタルファンドにしても、例えば単純に年率換算で何パーセントのリターンのパフォーマンスを出すのかという指標だけはなくて、そのファンドが何に投資していたのか、世の中に対して前向きなインパクトを与えるような投資ができているのかどうかとか、そういった軸によってお金の選別や投資家の選別みたいなことがもっと起こってくるんじゃないかなということなんかも、個人的には考えたりしています。

そんなお話も後でできたらなと思います。それでは、村田さんに進みましょう。

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武田 JVCAをご存知の方はいらっしゃいますか?会場の方はあまりご存知ないようですね。

村田祐介氏(以下、村田) まさにこういうことなんだなと思っていました(笑)。

JVCAというのは日本ベンチャーキャピタル協会のことで、つまり日本のベンチャーキャピタルの業界団体ですね。

昨年の7月から新体制になり(グロービス・キャピタル・パートナーズの)仮屋薗さんが会長に就任してから、私が裏側の企画部長というポジションを務めています。

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村田 祐介
インキュベイトファンド 代表パートナー

1980年生まれ。1999年にエンタープライズ系スタートアップに創業参画し金融機関向けオンラインサービス・ソフトウェアの開発業務に従事。2003年エヌ・アイ・エフベンチャーズ株式会社(現:大和企業投資株式会社)入社。主にネット系スタートアップの投資育成業務及びファンド組成管理業務に従事。2009年より同社投資第6グループのグループマネージャーに就任し約70億円のポートフォリオを担当。
2010年インキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。メディア・ゲーム関連領域を中心とした投資・インキュベーション活動を行うほか、ファンドマネジメント業務を主幹。

そもそもベンチャーキャピタル協会が業界団体として全く機能してこなかったというところがあって、認知度、プレセンスをしっかり上げていこうというところから始めました。

それからベンチャーエコシステムを回していこうという軸と、ファンドのエコシステムを回していこうという軸と、大企業とのオープンイノベーションをやっていこうという軸の、この3軸でやっています。

そもそも、日本のVCファンドのファンドレイズ額はいくらとか、スタートアップが資金調達をどれだけできたのかというところが、今まで統計的にも協会から発信することができていなかったので、こういったことを発信する立場でありたいと思います。

それから、日本全体のベンチャーキャピタルの資金調達というのが世界に比べると特殊で、機関投資家からお金が入ってこないという仕組みになってしまっています。

ですので、この機関投資家からの資金調達がベンチャーキャピタルファンドに流れてくる構造作り、つまりそのルール作りを、割と中期的な視点で経済産業省にもお力をいただきながら進めています。

例えばファンドの時価評価の仕組みであったり、ファンドのパフォーマンスベンチマーク作りであるとか、そういった裏側の作業を協会として地道にやっています。

参考資料:VC ファンドのパフォーマンス評価に係る調査報告書

武田 ちなみに、企画部長としてどのようなことをされているのですか?

村田 もう何でもやっていますね。さっきお話したような、若手のベンチャーキャピタリストの育成をしたり、例えば新聞や経済誌などのリアル紙媒体の方々に、ベンチャーキャピタルなりスタートアップなりの実情を知っていただくためのコミュニケーションをしたりとか、データを地道に収集したりとか、最近法改正もあり金融庁と金商法改正の実務や事務手続き面の調整であったりとか、様々なところで割とリソースを使っています。

仮屋薗さんと僕のベンチャーキャピタリストの活動の恐らく3割くらいは、多分そこに削られてしまっているんじゃないかなと思います。

今野 うちの仮屋薗は、もう第一人称がJVCAになっていますからね(笑)。

武田 ありがとうございました。
今日は後ほど企画部長から現在の市場認識に関してのプレゼンをしていただきたいと思っています。どうぞお楽しみに。では最後に山田さんお願いします。

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山田善久氏(以下、山田) 山田と申します。

簡単に自己紹介だけ申し上げますと、大学を出てから、伊佐山さんと同じなんですが、日本興業銀行に入りまして、2000年に一瞬だけゴールドマンサックスにいて、それから楽天に入りまして、楽天ではM&Aの担当をやったり、事業サイドもやっていて、買収をしてそのまま楽天トラベルの社長をしばらくやったりとか、最近ではEdyを楽天側のソニーさんから買収して、そのEdyの社長をしばらくやっていました。

楽天では中抜き期間がありましたが、また戻ってきて、ここ4年ほどCFOをやっています。

ここに、「日本のスタートアップの層を厚くするには?」と書いてありますが、あまり私自身、楽天自身も最近までそんなにスタートアップに投資するということはしていませんでした。

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山田 善久
楽天株式会社 副社長執行役員

1987年3月 東京大学法学部 卒業
1987年4月 株式会社日本興業銀行入行
1992年5月 ハーバード大学経営大学院修士号取得
1999年9月 ゴールドマン・サックス証券会社 入社
2000年2月 楽天株式会社 常務取締役
2004年4月 マイトリップ・ネット株式会社(現 楽天トラベル株式会社) 代表取締役社長
2007年3月 当社取締役辞任、楽天トラベル株式会社  代表取締役社長退任
2010年8月 当社常務執行役員 ビットワレット株式会社 (限 楽天Edy 株式会社) 代表取締役社長
2011年1月 楽天トラベル株式会社 代表取締役副会長
2012年3月 楽天株式会社 取締役
2013年3月 楽天株式会社 最高財務責任者
2014年1月 楽天株式会社 代表取締役副社長執行役員
2016年3月 楽天株式会社 副社長執行役員 最高財務責任者(現任)

今日こうして登壇されている方やお集まりの方の中では相当盛り上がってきているとは思いますが、Web2.0と言われている10年程前に、たまたまアメリカでベンチャーキャピタルか何かをやっている留学時代の友人と話す機会があり会合資料を見せてもらうと、もう本当に何百社とあり、こんなに分厚いんですよね。

皆さんもよくご存知だと思うんですが、層が圧倒的に違うんですよね。

僕らがfacebookやLinkedinで見るのはあれですけれど、資金調達から始まって、メンバー集めから始まって、層の厚さが100倍くらい日本と違うんですかね。

それはベンチャー側もそうだしやはり層を厚くしないと本当にいけないんだろうなと思いましたね。

日本興業銀行時代に、アメリカ全土のベンチャーキャピタルにどうやって投資をしているのかとヒアリングしてもらったことがあるんですよ。その時も、層の厚さはすごいなと思いました。

言い換えると、俺は経営者しか見ないとか、俺は業界しか見ないとか、俺はテクノロジーだとか、皆勝手を言っているということです。

キャピタルマーケットの厚みと言っても、なかなか実感としてお分かりになられないかもしれないけれど、層が厚いということは、多種多様な見方があって、それがガーっとなって価格形成ができるということです。

あの層の厚みのすごさを肌身で感じると、アメリカのキャピタルマーケットは本当にすごいなというのがあります。

同じように、スタートアップの層の厚み、キャピタルマーケットの層の厚みというのをどうしたらいいのだろうみたいなことを先日武田さんとお話している時に、日本のサッカーが強くなるには層を厚くしなければという、スポーツにもよく似たようなことだと感じました。

ワールドカップを獲りに行こうと思ったら層を厚くしなければならない、それと同じよなことだと雑談した経緯もあり、「日本のスタートアップの層を厚くするには?」と書かせていただきました。

武田 ありがとうございました。

まさに、先程伊佐山さんが、「メルカリどこまでいくの?」と言われましたが、メルカリだけではきっとダメなんですよね。

山田さんのお話には、そういったところの問題提起的なところもやはりあるのかなという風に自分は思いました。

ここは、人をどう育てるのか、会社をどう育てるのか、ビジネスモデルをどう発掘するのかというところで、セッションの後半で是非議論をしていきたいなと思います。

(続)

編集チーム:小林 雅/ Froese 祥子

続きはこちらをご覧ください:日本のベンチャーキャピタルの現状と今後の展望

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