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8. 新卒ITエンジニアは「3年育成する覚悟」で採用しよう【終】

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「ゼロから学ぶITエンジニアリング・チームの作り方」8回シリーズ(最終回)は、新卒エンジニアの採用をスタートするフェーズについて。壇上でいくつかの意見が飛び交う中、JapanTaxi CTOの岩田さんが新卒採用に成功した企業へのヒアリングでたどり着いたひとつの結論を語ります。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2018のプラチナ・スポンサーとして、ビズリーチ様に本セッションをサポート頂きました。

 

 


2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 4F
ゼロから学ぶITエンジニアリング・チームの作り方
Supported by ビズリーチ

(スピーカー)

岩田 和宏
JapanTaxi株式会社
取締役CTO

柴山 和久
ウェルスナビ株式会社
代表取締役CEO

竹内 真
株式会社ビズリーチ
取締役 CTO 兼 CPO

舘野 祐一
WAmazing株式会社
共同創立者 取締役CTO

(モデレーター)

松岡 剛志
株式会社レクター
代表取締役

「ゼロから学ぶITエンジニアリング・チームの作り方」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. ゼロからITエンジニアリング・チームを作ってきた登壇者が集結!

1つ前の記事
7.「一番優秀なITエンジニアから辞めていく問題」への対策とは?

本編

松岡 それでは続いて質疑応答よろしくお願いします。

質問者2 弊社では中途と新卒のエンジニアの採用支援、キャリア支援等を行っているのですが、よくいろいろな経営者の方から、「中途ではやはりエンジニアが採用でいないので、新卒のエンジニアを採用していきたい」というような相談をよく受けます。

とはいえ、そのロジックで採用しようとすると失敗することも結構多いのかなという印象があります。

そこで、新卒のエンジニアをチームにジョインさせるタイミングについて皆さんのお考えをお伺いしたく、質問させていただきました。

松岡 ありがとうございます。

どのタイミングで新卒採用に踏み切るか。難しい質問ですね、厳しいですよね。

新卒のエンジニアをいつから採るかという質問ですが、皆さんの会社では既に新卒を採られていますか?

竹内 うちは来年度を目標に今ちょうどいろいろ考えているところです。

松岡 では主に竹内さんに答えていただきましょう。

新卒エンジニア採用はすべき?

株式会社ビズリーチ 取締役 CTO 兼 CPO 竹内 真氏

竹内 やはり基本的には、即効性や能力の観点から見れば、中途社員を採用できるのであればそれに越したことはないですし、新卒採用でエンジニアを採用するメリットは短期的にはすごく少ないと思います。

いい人材を採れたとしても、そうだと思います。

エンジニア未経験だったり、人としてはいいです、みたいな人材を採用するとします。

そのときたとえば中途のエンジニアが5人いて、2人の新卒を採用したとしたら、その2人に対して中途の2人は教育にほぼかかりきりになり自分の仕事はできなくなる、というぐらいの影響があると思っています。

だから、新卒を採るということは、5だった戦力が3になるみたいな、それぐらい先を見据えておいた方がいいのかなと。

ただ一方で新卒というのは、1期、2期、3期、4期生というように増えていきます。

そうなると今度は、縦のラインだったり、部署を超えた横断的なラインだったり、社内をすごくメッシュ状につないでくれますし、文化の継承者にもなるはずです。

何というか、たとえば誰かが辞める、辞めないという時でも、横から縦から何かいろいろな力を与えてくれて、結束を強くしてくれたりするのではないでしょうか。

ですので、会社全体の組織としてはメリットがたくさんあるなと思います。

では、それができるようになるまでに何年かかるんだっけ?と逆算すると、3年、4年、5年は計算しないといけません。

その間は、入社後すぐに力を出せる人たちと若手が一緒に入ってきて、少しずつ交わっていくという感じだと思うのですが、そこまで耐えられる体力がついたら、もしくはつく予定であると明確に決めて採用していくものなのかなと思っています。

これは決して、エンジニアリングがどうこうという世界ではなくて、会社を何年間継続させたいのか?100年続く会社を作りたいのか?という議論になっていくのではないかなと思います。

松岡 大筋、僕も同じ意見を持っていて、やはり基本的には中途採用がよろしいと思います。

株式会社レクター 代表取締役 松岡 剛志氏

中途採用をずっと続けていけば、すごくがんばって月に1人とか、もう少し採れるかもしれませんが、そのぐらいのペースですよね。

それに対して、もちろん事業の事業の種類にもよると思うのですが、成長率が明らかにおかしいぐらいに右肩上がりなど、事業が一時的に遅くなったとしても、新卒を取らざるを得ない時というのが来ると思っています。

そのタイミングというのは、大体の場合において会社が儲かっている時なので、それが一つ転換点になるのかなというのが私の考えです。

新卒エンジニアは「3年育成する覚悟」で採用しよう

岩田 自分は今、来年度から新卒を採ろうと決めていて、いろいろな新卒採用に成功した会社にヒアリングをしているのですが、皆ほとんど同じ意見を言っています。

3年まず我慢できる覚悟を持てるか。体力的な話を含めて我慢できるかどうかが、すごく大事です。

やはり3期回れば、4期目の若手社員が1期目の新卒の面倒を見られるようになったりするように、すごくいい循環が生まれるので、そこまでの会社としての覚悟と体力とかが問われますよね。

成長とか、いろいろな要素があると思うのですが、その辺の折り合いかなと思います。

松岡 ありがとうございます。

あと10分ほど話したいところですが、お時間が来てしまいました。聞き足りない人は、後で個別に登壇者を捕まえてください。

今日はありがとうございました。

最後に、順番に1分ずつ今日の学びもしくはまとめをいただきたいと思います。

岩田さんからお願いしていいですか?

CEOとCTO、お互いをリスペクトしよう

JapanTaxi株式会社 取締役CTO 岩田 和宏氏

岩田 そうですね、経営サイド、エンジニアサイド、ビジネスサイドといろいろあると思うんですが、やはり共通言語のようなものをお互い作り出そうという努力があれば、組織というのは成功すると、体験として非常に思うところが自分にはあるので、コミュニケーションなどで迷った時はそれを重視してやるようにしています。

松岡 柴山さん、お願いします。

ウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO 柴山 和久氏

柴山 会社の中にはいろいろな葛藤があるのかなと、今日感じていて思いました。

1つはモノづくりの中での、ビジネスとテクノロジーの話とでCTOが葛藤している。

そこからCTOは孤独に悩んで、苦しんでいて、CEOとは必ずしもシェアしていない、もしくはシェアできていない場合もあるのかなと思います。

他方でCEOにはCEOの悩みがあります。

典型的なものは、たとえば株主との関係ですとか、あとはデットファイナンスを始めると今度は銀行との関係も加わってきますし、経営陣、社員との関係での悩みもあります。

その中で、つまり当然相反するいろいろな要望がある中で、会社の方向性を定めていかないといけません。

これは結構CEOが1人で抱えている葛藤なのかなと思います。

そうするとやはり経営陣全体の間でも、会社の中にいくつもあるそのような葛藤を一人ひとりが引き受けて悩むことになりかねませんので、お互いがお互いをリスペクトし合う必要があるなと感じました。

自分が全然想像もできないようなことを実は別の経営メンバーが悩んでいるのかもしれないということを、想像してリスペクトすることが大切なのかなと、お話を伺っていて思いました。

松岡 ありがとうございます、竹内さんお願いします。

株式会社ビズリーチ 取締役 CTO 兼 CPO 竹内 真氏

竹内 おっしゃる通りですね。お互いのリスペクトが何より大事なのではないかなと思います。

僕と妻が街を歩いていると、面白いことが結構起きるんです。

僕は道とか建物、看板などの位置や高さ、どうもそういうのばかりずっと見ているらしいんですね。

なので道もよく覚えるし、とにかく、あそこにあったあの素材はゴムじゃなくて鉄だよとか、そういうことを覚えています。

でも、歩いている人の顔とか、一切見えないんですね。そもそも人が歩いていたことすら気付いていない。

妻は、あそこのラーメン屋さんのスタッフの人が歩いていた、というようなことに気付くわけです。

これを会社に当てはめると、モノを作っている人と、人やお金、ビジネスのことを考えている人では、たとえば僕は39歳ですけど、39年間見ているものも違えば、全然違うことを考えながら過ごしているわけです。

この積み重ねによる信念の差というか、考え方の差には、とんでもない量があるのではないかと思っているのですが、今日もCEOとCTOの差というような話が出ましたが、その差というのはそういうところから長い年月をかけて生じているのだと思うと、原則分かり合えないと思うんです。

本当に分かることは難しい。

そう考えると、できるだけ会話して、お互いをリスペクトし合って、というところでしか歩み寄りは成り立たないと思うので、これからもこうやっていろいろお話をできて、そこのはざまを狭められる活動ができたらいいなと思っています。

今日はありがとうございました。

「本当に必要なものが何か」は組織の数だけ答えがある

WAmazing株式会社 共同創立者 取締役CTO 舘野 祐一氏

舘野 エンジニアも本当に人それぞれだと思っています。

僕はどちらかというと辛いことが嫌なので、できる限り辛いことをしないためには、どういう組織にすればいいか、というようなことを結構考えて動いてきたタイプのエンジニアかなと思っています。

竹内さんのおっしゃる通り、本当にいろいろな人がいます。

エンジニアのタイプと言っても、「エンジニアだからこう」というより、「うちの会社のチームだったらこうだ」「うちの会社のエンジニアのトップはこうだ」ということを本当に理解して上手く組織を作っていくことが大事なのではないかと考えています。

そのようにしながら、「本当に必要なものは何なのだろう」というコアな問いかけをしっかり考えていくと、自然といいチームが生まれやすい環境になっていくのではないかなと思います。

組織があったら組織の分だけ正解があるはずなので、そこの部分を探すことが大事です。

そしてそれは1つの答えというよりは、本当に今日皆さんがいろいろお話しされたようなことを通して、自分たちの組織に合う手法、合う考え方はどこなのか模索していかなければなりません。

それを上手く見つけて、フィットしていくことで、エンジニアのゼロ・イチのところもそうですし、少人数のチームを作っていく、更にそれより大きい組織を作っていく、というプロセスを上手くこなせるようになるのではないかなと思っています。

ある意味すごく大変な仕事ではありますが、僕たち経営者は皆やらないといけないのではないのかなと思っています。

そんな感じでどんどん更にいい組織やチームを作っていくうえでの参考になれば、すごく嬉しいです。

松岡 ありがとうございます。

経営者のみなさんがエンジニアと会話をすると、「よく分からないな、あの人たち」とか、「何言っているんだか分からないな」という経験をする人も多いかもしれないです。

でも僕たちは人間なので、こんな感じで会話したらできますし、質問されたら答えますし、基本的にはいい奴なんで、今後ともどうぞよろしくお願いします。

それではこのセッション、締めさせていただきましょう。

ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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