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6. ビジネス部門と開発部門のパワーバランスを保つ「社員表彰」の工夫

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「ゼロから学ぶITエンジニアリング・チームの作り方」8回シリーズ(その6)は、各社の社員表彰の取り組みについて。誰かを表彰するということは、誰かを表彰しないということ。ビズリーチ、ウェルスナビ、JapanTaxi各社の工夫をぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCサミット FUKUOKA 2018のプラチナ・スポンサーとして、ビズリーチ様に本セッションをサポート頂きました。

 

 


2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 4F
ゼロから学ぶITエンジニアリング・チームの作り方
Supported by ビズリーチ

(スピーカー)

岩田 和宏
JapanTaxi株式会社
取締役CTO

柴山 和久
ウェルスナビ株式会社
代表取締役CEO

竹内 真
株式会社ビズリーチ
取締役 CTO 兼 CPO

舘野 祐一
WAmazing株式会社
共同創立者 取締役CTO

(モデレーター)

松岡 剛志
株式会社レクター
代表取締役

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最初の記事
1. ゼロからITエンジニアリング・チームを作ってきた登壇者が集結!

1つ前の記事
5. JapanTaxiが試みるタクシー業界とITエンジニアのカルチャーの融合

本編

竹内 ここまで経営レベルでエンジニアチームとビジネスチームのバランスをとるという話をしてきましたが、僕が考えるに、これには明確に問題が起こる瞬間が1つあります。

バランスが崩れる瞬間というのが。

これはたぶん本邦初公開で、誰にも言ったことはないのですが、会社がちょっと大きくなってくると絶対出てくるものです。

何かというと、社員表彰ですね。

社員表彰がチーム間のバランスを崩す?

株式会社ビズリーチ 取締役 CTO 兼 CPO 竹内 真氏

竹内 BtoBの会社で、社員表彰をオープンな場でやろうとする時に、エンジニアを一番上のMVPに表彰するのも非常に難しいし、かといって営業だけを表彰するとやはり崩れます。

このてっぺんを置く瞬間というのは、社員全員にオープンですから。

いろいろな評価がありますが、お互いの給料なんて基本的には分からないし、どういう評価をされているかというのも、基本は個別の問題ですよね。

小さなコミュニティに閉じ込められるのであまり関係ないんですが、全員が注目する場でトップは一番売り上げたこの人ですと表彰される時、あの世界観が出た瞬間に音を立てて何かが崩れる。

松岡 それはどうやって手当てしたんですか?

竹内 今ビズリーチではMVPをプロダクト部門、ビジネス開発部門、コーポレート部門、企画部門というように分けていますね、誰かが一番てっぺんにならないように。

でもこれは難しいですよ。

社員数が1,000人ぐらいになってきたから、そのような単位でそれぞれ一番を決められますけど、100人の会社でMVPが5人いると、ちょっと理解に苦しみますよね。

だから、すごく難しいです。

この時に、結局この会社は何を大事にしているのかということが皆の前で明言されるわけですよね。

避けて通れないのかなとは思うのですが、結構ウェットにケアをしながら、その過渡期を乗り越えたというのが経験です。

そこは、頑張らないといけないかなと思います。

部門横断チーム・プロジェクトを表彰する

ウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO 柴山 和久氏

柴山 そういう意味で言うと、私たちはまだビズリーチさんほどの規模になっていないので、会社のビジョンやミッションをそのようなMVP制度などに上手く連動させて金融とテクノロジーサイドのバランスを取るということが、割とやりやすいフェーズではあります。

具体的に何をしているかというと、金融とIT、つまりフィンテックの分野においてチームを超えて何か新しいことを達成したプロジェクトや、あるいはそのような部門横断的なチームの業績を表彰するようにしています。

それは実際問題として、フィンテックで一番イノベーションが起きる部分というのがまさにそこにあるからです。

金融だけでは解決できないですし、テクノロジーの人だけが頑張っても解決できなくて、両者が力を合わせて初めて日本になかった仕組みが生まれるのだと考えています。

ユーザーの目に見える場合もあれば、ユーザーには見えない裏側の仕組だったり様々ですが、金融チームとITチームの協力があってイノベーションが起きる瞬間があります。

そして、そういう取り組みがやはり自然とMVPとして表彰される傾向にありますね。

そういうことができている間は、まさに文化の違いを上手く乗り越えられていると思います。

1つのチームとして融合させていこうという取り組みは今のところは成立していると思っています。

竹内 それでもたぶん、いつかすごく難しいタイミングがきっと来ると思います。

社員表彰というものが持つマネジメントに対する効用が、大変強くなるフェーズが来ると思います。

誰を表彰するかが、結果的にチームのマネジメントやモチベーションに影響してくるんです。

そうなると、表彰制度は組織を保つうえで非常に効果的なツールに見える瞬間があります。

分かりますか?

写真左より、岩田氏、柴山氏、竹内氏

柴山 いや、分からないです。

竹内 分からないか (笑)。

この瞬間に、何かやはり、負けてしまうというか、そういう気持ちが生まれてくることがあるります。

柴山 それはやはりBtoBなので、営業だけで完結するプロジェクトとか、営業だけで達成できる目標というのが明確にあるからでしょうか?

竹内 特にそうだと思います。

エンジニア組織はやはりもう少し複雑なので、もっと何というか奥深い評価をしてあげればいいとは思うのですが、やはりある商品をどんどん売っていてすごく数字が上がっているという時に、「この状態を評価しないということができるだろうか」というのが逆説的に出てきます。

かつ、人間関係のウェットなところはやはり営業組織の方が強いので、そういう表彰がもたらす結果に対する配慮が必要になってきます。

プレイヤーではなく「MVT (Most Valuable Team)」を表彰する

JapanTaxi株式会社 取締役CTO 岩田 和宏氏

岩田 うちの場合は、いろいろ話し合った結果、プレイヤー単位の表彰は難しいなと思って、「MVT」みたいな、つまりチーム単位で、「Most Valuable Team」を評価しています。

たとえば、今月は「セールスチーム」とか、「JapanTaxiアプリチーム」とか、チーム表彰になっています。

そういうやり方に落ち着きました。

竹内 弊社もそのために、最優秀のような評価は、結局最後はチームを表彰するようになっているので、同じような考え方だと思います。

松岡 本当に、人前で誰かを評価するないしは表彰するというのは、明確に、「その人を評価していると同時にその他の人を評価していない」というメッセージになってしまうので、すごく丁寧にやらないといけませんよね。

竹内 そうなんですよね。

歴史的にも、お城の前でドーンと表彰して歓声が上がるようなシーンがよくありますが、まさに毒にも薬にもなる瞬間だと思います。

松岡 ありがとうございます。

文化の違うビジネスサイドとエンジニアをどうやって融合させていくのかという問いについてまとめると、まずはパワーバランスを適切に保ちましょう、ということが挙がりました。

そして、お互いに歩み寄って理解を深めていきましょう。

表彰は気を付けよう。

松岡 ありがとうございます。

(続)

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続きは 7.「一番優秀なITエンジニアから辞めていく問題」への対策とは? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵

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