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4.右脳的感覚に訴えるのがブランディング(PARTY中村)

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「スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論」【K17-3C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その4)は、マーケティング/ブランディング/プロモーションの違いについて解説していただきました。是非御覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)の募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 3C
スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論
Supported by 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

(スピーカー)

齋藤 太郎
株式会社dof
Founder&CEO/Communication Designer

中村 洋基
PARTY / VALU
Creative Director / Founder

彌野 泰弘
株式会社Bloom&Co.
代表取締役

吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役

(モデレーター)

坂本 達夫
AppLovin
Director Sales, Japan

「スマホ・サービスのマーケティング & プロモーションを徹底議論」の配信済み記事一覧

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最初の記事
1.凄腕マーケター&クリエイティブ・ディレクターが語るスマホ時代のマーケティングとは?

1つ前の記事
3.マス・マーケティングを行う前にサービスの「背骨」をしっかり考えよう

本編

坂本 今までのお話の中で、自然とマーケティング・プロモーション・ブランディングという言葉が出てきましたが、僕は正直、その分野に関しては若干門外漢のところもあるので、その3つの関係が皆さんの中でどのように整理されているのかお伺いしたいと思います。

ブランディング目的で何か行動を起こして、結果として売り上げが上がったら、それはプロモーションと言えるのかもしれませんし、その逆もあるのかもしれません。

「サービスの認知度を上げよう」だとか、もしくはアプリだったら「ダウンロード数を上げよう」という時に、何を何の目的で、どのようにやって、そこから結果を数字としてどのように測っていくかというようなことは、どのように皆さん設計されていらっしゃるのでしょうか。

マーケティング/プロモーション/ブランディングの違い

彌野 出身によって、皆それぞれに定義が違うのではないかと思います。

僕の中の定義では、事業を永続的に伸ばしましょうという目的があり、そのために何をするかという手段がマーケティングだと思っています。

その中で短期的なものをプロモーションと呼んでいて、ブースト的にCMを打ったりするのはプロモーションです。

ブランディングというのはもう少し中長期的に、事業や売上・利益が伸びる構造を作ることです。

坂本 構造を作ると。

彌野 はい。どういうことかというと、お客様の中で自社のサービスが他社のサービスに比べてこのようなイメージを持たれると、そのカテゴリー内では優先的に選ばれる確率性が上がるような、イメージを形成していくことだと思うんですね。

ですので、一貫性が大事だったり、戦略性が大事になります。

もう1つは、よく言われることですが、自販機の前に立った瞬間に、ロジカルに「私は、今日はこれを飲む。なぜなら…」と選ぶ人はいませんよね(笑)

多くの場合、商品やサービスというは、感覚的に惰性で選ばれるんですよね。

惰性なのだけれど、それは自分では認識していないレベルにおいて「好み」で選んでいるんですよね。

その「好み」に入り込むのがブランディングです。

「好み」というのは何となくきれい、かっこいいということではありません。例えば量販店のドン・キホーテが超きれいだったら嫌だと思うんですよね。

やはりそのカテゴリーだとかサービスの強みにあわせたイメージ訴求のポイントがあって、それが伝わると有利になるというものがブランディングだと思っています。

右脳的感覚に訴えるのがブランディング

中村 僕も同じように感じていています。

(左から2番目)PARTY Creative Director/Founder / VALU 取締役  中村 洋基氏

中村 たとえば社内恋愛をした人って、毎日会っていたらなんとなく好きになってしまった、ってことがあります。

逆のパターンで、遠く離れてしまったり、支社を海外に作ったら仲違いしたといったこともあるかもしれません。

やはり人間というのはとても単純なもので、毎日少し触れていると、「自分に関係あるものなのかもしれない」とか、「好きなものかもしれない」「自分が手に入れてもいいものなのかもしれない」という、そのような右脳的な感覚が働きます。

先ほど彌野さんがおっしゃったように、安価で買えるものとか、棚に並んでいたりだとか、自動販売機の一押しで買えるものは、ブランディングというものがボディブローのように効き易い。

一方で商品によっては、全くそうではなくて、左脳で買われるものもあります。

ですから商品によって、ブランディングが効き易いものなのかどうかを判断して、優先順位を付けた方がいいかなとは思いますね。

齋藤 お二人のおっしゃったことに付け加えると、ブランディングには横並びになっている時に選ばれるためというものありますし、高くてもそちらがいいという風に思わせるという部分がありますよね。

インナーブランディングも重要な要素

齋藤 もう1つは、外に向かってのいわゆる攻撃的な部分だけではなくて、先ほど背骨という話をしましたが、僕はやはりインナーブランディングにも大きく寄与しているところがあると思うんですよね。

(一番左)株式会社dof Founder&CEO/Communication Designer 齋藤 太郎氏

齋藤 プロダクトだったりサービスというのは、誰か作っている人が必ずいて、その人は会社の中の人だったりするので、その人たちがどれだけ誇りを持って仕事に取り組めるかが重要です。

今から12年前に弊社で資生堂さんの「一瞬も一生も美しく」というコーポレート・スローガンをコピーライターの方と一緒に作りました。

引用:資生堂Website

資生堂さんが130周年を迎えるにあたり新しいコーポレート・スローガンを作りたいということで、社員のかた100名くらいにインタビューをしました。

どこを向いて僕らがスローガンを作ったかというと、社員の方々が資生堂というブランドを愛して、自分たちのブランドが持つ世の中に美を届けるという使命に自信を持ってもらいたいという気持ちが、作り手の中では一番大きかったです。

ですので、ブランディングというのは社外に対して「資生堂というのは美を届ける会社なのだな」ということを伝えていくと同時に、社員に対するメッセージでもあるわけです。

皆さんも「一瞬も一生も美しく」というスローガンを聞いたことがあると思うのですが、それが社員一人ひとりの名刺だったりとか、いろいろなところに書かれ、僕らはこの気持ちで商品を開発しないといけないのだな、仕事に取り組まないといけないのだな、という風に思って頂くことができたわけです。

実は社外に向けてということ以上に、ブランディングを通して社内にそのような土台を作ることが非常に大きいのではないかなという気がしています。

坂本 なるほど。

ブランディングの効果をいかに評価すればよいのか?

坂本 今伺ったお話の中で、外向きにせよ、社内向きにせよ、いわゆるブランディングというのは短期というより、もう少し中長期的に、まさしくボディブローのように効いてくるというお話がありました。

一方で、デジタルのサービスを出している側からみると、実際にボディブローでどれだけ効果があったかというのは見えませんよね。

ブランディングが実際どのくらい意味があったのというのは、プロモーションと比べてやはり見えにくいところがあると思います。

実際に吉田さんはテレビCMを含めたプロモーションをやってこられて、いわゆるプロモーション、販促目的ではないブランディングのところについては、どのように評価されているのでしょうか。

吉田 先ほど申し上げた通りなのですが、やはり「一番に想起されるもの」が変わったかどうかに関しては、これはアンケートを取らない限り分からないなと思っており、これは従来型の方法をわざと取っていますね。

(右)株式会社エブリー 代表取締役 吉田 大成氏

吉田 3ヶ月に1回、「レシピ動画といえばどこを思い浮かべますか?」「そもそもレシピの検索をされるならば、どこですか?」というようなアンケート調査を取っていて、それでシェアがどう変わったかは追っています。

もちろんアプリの起動回数などである程度見るというものありますし、実際に定性的なコメントも含めてフォローしています。

短期的にはデジタルでCPI(Cost Per Install)を見ながらとか、もちろんリテンションレートなども見ながら、プロモーションをしつつも、やっていることが長期的に効いているかどうかというのは見ているんですね。

前職ではゲームのCMをずっとやっていたのですが、「TOKIO効果でドリランドをやっていました」という人でも、「ドリランドの名前は知っています。でもGREEという名前は知りません。」と答える人がいたり、「モバイルゲームで遊ぶなら何を選びますか」というアンケートをとると他社に負けていたりといった時期もありました。

そうすると、ユーザーが何かゲームをしようと思って検索して、サービス名を入れる瞬間に負けるなと思いました。ですから私は結構クリエイティブを変えたりしていたんですね。

そういった意味では、プロモーションというのは短期的な部分には効くのですが、長期的な部分、今挙げたことまで見ていかないといけないと思います。

ただ単にユーザー獲得だけで終わりましたというのは避けなければなりません。

彌野 そうですね。それで思い出したのですが。

株式会社Bloom&Co. 代表取締役 彌野 泰弘氏

彌野 マーケティング費用というのは大きいので、中長期的には減らせた方がいいはずです。

できるだけ下げた方がいいというのが本来の事業会社の発想で、下げるためにできることは何かというと、実はブランドがきちんと積み上がると、顧客獲得コストが下がっていったりとか、CMがなくても売れていきます。

ですので、本当のトップブランドというのはCMをやっていないですよね。

たとえばファッションブランドなどでは、お客さんの方から寄ってくるじゃないですか。

その状況ができるのがベストだと思うんですよね。

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続きは 働く人の姿が採用ブランドを作っていく(dof齋藤太郎) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

マーケティング/プロモーション/ブランディングの違いなど、やや専門的な話が続きました。用語の定義は人によってまちまちであることが多いため、きちんと確認して編集する重要性を改めて感じました。(本田)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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