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組織作りのポイントは”宗教型組織”と”官僚型組織”をいかにブレンドするか【K17-8A #4】

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「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論を徹底議論」【K17-8A】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その4)は、矛盾を認める組織やそのあり方について議論しました。宗教的な組織づくりと、官僚的な組織づくりの良いバランスはどこか?という議論も必見です。是非御覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のダイヤモンド・スポンサーとして、Motivation Cloud (Link and Motivation Inc.) 様に本セッションをサポート頂きました。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017
Session 8A
最高の成果を生み出すチーム作りの方法論を徹底議論
Supported by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

梅原 一嘉
佐竹食品株式会社/株式会社U&S
代表取締役社長

佐藤 光紀
株式会社セプテーニ・ホールディングス
代表取締役 グループ社長執行役員

(モデレーター)

伊藤 羊一
ヤフー株式会社
コーポレートエバンジェリスト
Yahoo!アカデミア 学長

「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】最高の成果を生み出すチーム作りの方法論を徹底議論!【K17-8A #1】

1つ前の記事
組織の原型は古代ペルシア帝国のゾロアスター教にあり(石川善樹)【K17-8A #3】

本編

石川 チーム作りや組織のマネジメントというのは永遠のテーマなんだろうなと思うんですね。

人類の歴史の中で、最初に「組織」ができたのはいつなんですかというところを考えなければならないと思って調べてみました。キリストが生まれるずっと前、古代ペルシア帝国だそうです。

人々が都市に初めて住むようになったのが古代ペルシア帝国で、そこに組織の原型が2つあるんですね。

1つが官僚機構です。熱狂を必要としない官僚機構ですね。もう1つが宗教です。古代ペルシア帝国で、人類最古の宗教とも言われるゾロアスター教が生まれています。

なので極論してしまえば、組織作りは官僚組織を作るか、宗教を作るかどちらかともいえます。

井手 官僚統制型というのは軍隊ですよね。

軍隊と宗教を比べてみると、僕は宗教について詳しくないのでキリスト教の例を挙げますが、キリスト教の方はたぶん幸せなんだと思います。

軍隊は統制できるけど、あまり幸せではないかもしれない。

ただ命令はきちんと聞くので、相容れないなと思うのですが、うちは完全に”宗教”タイプです。

なおかつ社員がそんなふうになりながら、ビールという嗜好品なので、ファンも交えて”宗教”が広がっているという感じです。

“敵”というのは、僕らは”敵”だとは思っていないんですけど、それに近い存在はいます。

僕らのミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」なのですが、「ビールに味を!」というのは、大手のビールを少し皮肉っているんですよね(笑)

水みたいな爽快なビール、あれも美味しいけれど、違うビールが好きな人おいで!というような。

マイノリティ志向の人たち、クラフトビールが好きな人たち、マスではなくある熱狂的なものが好きな人が集まってきて異様な会社、異様なファンの集まりみたいになっているので、完全に僕らは”宗教”タイプですね。

伊藤 なるほど。梅原さんのところも宗教的と言って大丈夫ですか?

”宗教型組織”と”官僚型組織”をブレンドする

梅原 最強の組織はゾロアスター教…なのかはわからないですけれど(笑)

宗教的な組織は管理はしやすいかもしれませんが、ビジネスではそうあってはならないという気がしています。両方上手に混ぜたら良いのはないですか。

混ぜるために経営者が頑張っているのではないでしょうか。

佐藤 僕も宗教的な概念と官僚機構はブレンドしていくほうが良いなと思います。

梅原 会社という組織自体が「混ぜられた」組織ですよね。

佐藤 そうですね、「矛盾の中に答えがある」というのが僕らがよく言うことであり、自分で思い返すことです。

「物事はAである」と決めつけると思考が停止してしまうこともあるので、「AでもありBでもある」という前提を置きます。

山の頂上にたどり着くためには、登り方は1つではなくて、必ずAルートとBルートもしくはもっとたくさんのルートがあると。

AでありBであるという前提に立って、AだBだAだBだというのをずっと繰り返してそれを高速で回転させていると、いつのまにかマヨネーズのように水と油がミックスした状態になって、どちらの状態かわからなくなる。そのようなことをマネジメントのあらゆる局面で実践したいなと思っています。

全く別の科学のものですが、量子コンピュータはそういう概念だなと最近ハッと気付きました。

今まで0と1の二進法でできると思っていたものが実はそうでもなかったというようなこと。

石川 粒子でもあり波でもありますよね。

佐藤 「0でもあり1でもある」というものが物理的に存在し得て、それが従来のスーパーコンピューターを何億倍も上回るパフォーマンスをどうやら発揮するらしい、というようなものです。

それを知ったときはコンクリートで頭を殴られたような衝撃を受けました。

マネジメントも量子コンピューターと同じなのではないかと思います。

0と1を分けて、宗教か官僚かと分離して考えるよりも、0であり1であるという状態を目指して矛盾の中を突き進んで行くというものが人類の進化、マネジメントの進化の未来形なのではないかと思います。

その未来型経営を何と呼ぶかと言うと「超伝導経営」と呼ぼうと思っています。

伊藤 (笑)

マネジメントの新たな形「超伝導経営」

石川 古代ペルシア帝国以降初めて出てきたわけですね。官僚型、宗教型、そして「超伝導型」。

▶︎編集注:超伝導…ある物質が極低温になると電気抵抗がなくなる現象。

佐藤 量子コンピュータにおける超伝導状態、ここから先のマネジメントの形というのは、超伝導経営なのではないかと。

つまり0でもある1でもあるところを高速回転させていく。

ここで重要なのはスピードで、ゆっくり0を0のままとやるのではなくて、常に揺らぎ続け、回転させて超伝導が起きる状態までマネジメントをもっていく。

もちろん組織と量子コンピューターは全く別物ではあるので、概念的な話ですが。

伊藤 組織を考える時に、宗教的な組織、官僚的な組織というのはなんとなくイメージがつくんですが、完全に宗教に寄ったり、完全に官僚に寄ったらいけない、だからここの間を求める。

どこに向かうかは会社ごとの価値観によって変わる、ということなのではないかと思います。

佐藤 実際に僕もインターネット産業にどっぷりと身を置いているんですけど、インターネット産業は十数年前はどちらかと言うとはぐれ者で、端の方で若者が中心となって何かやっているというような状態でした。

今は、このカンファレンス名の”Industry Co-Creation”のように、既存産業と影響を与えあって、混ぜ合って、溶け合って、全体を大きくしていこうという形になっています。

ネット業界の人たちもエスタブリッシュな既存の重厚長大産業の人たちと交流したり、一方大企業もオープンイノベーションに取り組む流れになっていますよね。

ちょうど揺らいだり境目が溶けあったりしているタイミングがインターネットが登場して二十数年経った今なのだと思います。

僕はインターネットが大好きな経営者なので、100年に1度の産業革命だと思って事業を行っています。

四半世紀ぐらい経って、揺らぎが生まれて、既存産業との境目が曖昧になるタイミングというのは、宗教と官僚のブレンドが起きる節目なのではないかなというのは時代感的にも感じていて、まさに超伝導の時代に入ったなと。

同じゴールを向いていれば個人の性質はバラバラでいい

井手 先ほどの宗教的というのが間違って伝わっていたらいけないのですけど、私が言ってるのは佐藤さんと同じようなことです。

0か1かで考えている発想は全くないのですが、ただ、同じ方向を見ているのが大事と思っています。同じ方向を向いていないと効率が悪いので。

正反対を向いている人がいるとダメなので、必ずあるベクトルは向きながら、けれども色々な人種、色々な考え方を持つ人がいて、色々な得意技がある人がいます。

今までビール業界というのは、同じようなビールしかなくて、同じような値段、同じようなパッケージ、同じようなCMしかありませんでした。

そこで僕らみたいな異端児が入ってくると色々な人がいるので、0か1かというよりは、いきなりA、B、Cというものが出てきました。

コンセプトや味が違う、ネーミングもデザインも色々な種類があります。

これだという方向性だけを僕が示していて、その中で自由にやって、世の中にない、ビール業界にイノベーションを起こしている僕らの価値というのは、誰も見たことのないものを出していることです。

僕が方向性を示せば、1+1が2ではなくて、勝手に5ぐらいになって驚くようなものが出てくるわけです。

そこに価値を見出しつつ、ただ小さな会社なのであまり無駄もあってもいけないので、同じ方向性は見ているようにするというようなイメージですね。

伊藤 宗教という言葉で組織作りというのは結構説明できるのではないかな、と思うので、そこにこだわって伺いたいと思います。

先ほど井手さんがおっしゃったのは、スタートラインは多様だけど、ゴールやビジョンを揃えましょうということですよね。

これは揃える、でもスタートである個々人はばらばらで良いよね、というのが今皆さんがおっしゃっている組織のあるべき姿ですよね。

一方、“宗教的”というと個性を無くして価値観までも揃えましょう、という意味に取れます。そこに違いがあるのではないかと思いました。

どういうふうに解釈したらいいでしょうか。

ビジョンの概念は最近生まれた

石川 日本でもそうですが、そもそも会社に勤める働き方になったのはすごく最近のことです。

大正時代は皆平均して同時に3個、4個仕事を持っており、それを1年の中で回しながら基本的には自営をしていました。

9割以上は自営だった状況が続いていたので、人類は会社というものをどのように運営したら良いのかという蓄積がなさすぎるのだと思うのです。

目標を持ちましょうという概念を最初に言ったのはドラッカーで、20世紀に入ってからです。

初めに軍事の領域を取り入れて、ビジネスにきて、政府も目標を決めて現在地を把握していこうとした。

健康づくりでは、どこに向かって健康づくりをするのかというビジョンが地球上で初めて取り入れたのがアメリカです。

伊藤 ゾロアスター教ではなくて?(笑)

石川 ビジョンという言葉を明確に使ったのが初めてということです。

「健康づくりを通してこういう社会になったら良いよね」と政策で「ビジョンという言葉を使ったのがアメリカの「Healthy People」という政策です。

Healthy People Program:米国保健社会福祉局より公表される、米国における健康政策の指針

それぐらいビジョン、ミッション、ゴールの概念は新しすぎる。

昔の人は命がいつまであるかわからないという不安定な中で生きていたので、長期的に物事を考えられなかったと思います。

伊藤 宗教ではビジョンは最初から出てきていたわけですか?

石川 ビジョンという言葉ではないけど経典ですよね。

そこにはたしかにビジョンの原型があるとは思います。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

セプテーニ佐藤さんがおっしゃった二元論の克服的な話は、このようなビジネスの議論においては少し新鮮に感じました。(立花)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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