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【マインドフルネス④】集中力を鍛えるには日々の鍛錬が大切【F17-9E #5】

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「今、マインドフルネスが熱い」【F17-9E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その5)では、マインドフルネスは筋トレに近いという話題をきっかけに、どうすればマインドフルネスの効果が得えられるのかについて議論しました。ぜひ御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9E
「今、マインドフルネスが熱い」

(スピーカー)
井上 一鷹
株式会社ジンズ(当時:株式会社ジェイアイエヌ)
JINS MEME Gr 事業開発担当

川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職

(ナビゲーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

「今、マインドフルネスが熱い」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】今、マインドフルネスが熱い【F17-9E #1】

1つ前の記事
【マインドフルネス③】「絶対はない」という考え方がバイアスを外す【F17-9E #4】

本編

井上 働き方改革に関して最近人事の人とよく話していて、日本人は面白いという話を前したのですが、ある学説によると人間は1日に4時間しか集中できないと言われています。

これ対して例えば「川上さんだったら8時間できる」と思うのが日本人らしく、「どうやったら5時間になりますか」とすぐに言うんです。

そうではなくて、結局4時間しかできないものを綺麗に上手く配分すること、大事なタスクにちゃんと1時間を向けること、という割り振りの能力が上がることがマインドフルネスな気がしています。

あくまでも超人を作るものではないので、それをちゃんと理解して自分で傾向と対策を打てればと思います。

川上 フロリダ州立大学のアンダース・エリクソンという教授がエクスパートに関する研究をずっと行っていますが、彼も「いきなり超人を作れるわけはない」と言っていて、とにかく集中力を伸ばすのはすごく大変なことです。

超一流になるのは才能か努力か? アンダース エリクソン (著)

みんなマインドフルネスで座っているだけですごく簡単だと思っているのですが、簡単だと思っているうちは実は集中力は鍛えられていなくて、ただリラックスしているだけです。

常に集中を持っていくということを繰り返しやっていくのは結構疲れます。

マインドフルネスは筋トレに近い

小林 筋トレみたいなものですね。

川上 筋トレとまるっきり一緒ですね。

私はSIY(Searching Inside Yourself※ )のEngage Programを去年サンフランシスコで修了していますが、そこのトップを務めるチェディー・メン・タンも言っていました。

マインドフルネスはまさしく筋トレで、例えば上腕二頭筋を鍛えたかったら、ダンベル持って上げてそれを下げ、また上げて下げます。

▶編集注:Searching Inside Yourself=Google社が、最新の脳科学に基づいて開発したリーダーシップ・パフォーマンス向上のプログラム。

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 チャディー・メン・タン (著), ダニエル・ゴールマン(序文) (著)

ずっと持っていても確かに鍛えられますが、上げ下げしたほうが効率がいいのと一緒で、集中力も1点に集中していてそれが途切れて来た時、まず途切れたことに気づくことですね。

皆んな途切れたと気づかないから色んなところにふわーと行っていますが、気付いてまた呼吸に集中を持っていく、それで集中力を鍛えているわけなので正直結構疲れます。

そして、それを30分から45分やらないと正確なデータはでません。

JINS MEMEみたいに日々測れる機械や、医療現場で使われているMRIやNRIS等の機械、そしてもう一つ、正確なデータをたまにとることも絶対に必要ですが、そういうのを見ていると、30分から45分ずっとやっていることが必要です。

▶JINS MEMEに関して詳しくは、【保存版】目の動きを可視化するメガネ型デバイス「JINS MEME」(全3回)をご覧ください。

最近よく週末のマインドフルネストレーニングや、ジョン・カバットジンのMBSR(Mindfulness-Based Stress Reduction)というのがあるので、そのせいでみんな8週間きっちりやろうとするのですが、8週間コースをやったからそれで一生分の利益があるというわけではなく、その後もずっと続けないと筋トレと一緒で落ちてきます。

そこを勘違いしている人が非常に多いのが懸念で、人間何かに到達しようとする時は絶対苦労はあり、マインドフルネスも疲れるところは絶対にあるわけですが、それをみんな無いような言い方をしているのがおかしいです。

その苦労をどう乗り越えるかというのがモチベーションというか自分の大きな目標を持つということになってくると思います。

こういうものをやることによって集中力が鍛えられるし、どこに注意を向けるかというのが自分の感情にも影響を与えてくるので、もっと更に大きなビジョンを描けるようになってくる、という考えだと思います。

マインドフルネスによって新しく挑戦する気になる

井上 あと1年ぐらいしたら、JINSでデータ化しようと思っているのが、フィットネスクラブに入会すると、20才の時の筋肉量は60才になると半分になる、減衰率2%ぐらいで落ちていきますということを説明されますが、それと同じことが多分脳の集中にも起きていると思います。

4時間集中できるものが放っておくとこうなる、一方で、マインドフルネスを鍛えるとどのくらいちゃんと維持できる/上げられるということを定量化したい。

やる人とやらない人がいますが、本当にまずいと気付いて筋トレするように、やる方に気付ける人をどんどん増やせると思っていて、この減衰率を見たいと思っています。

川上 減衰率の問題になってくると、マインドフルネスをやってるから落ちないというのではなく、マインドフルネスをやっているからこういう考え方ができる、という人が出てくると思います。

考え方は非常に重要で、バイアスを外すということが先程から何回も出ていますが、バイアスを外すということは今まで心地よいと思っていたことを捨てるわけです。新しいことにチャレンジしようとするとやはり負荷がかかりますし、注意を更に磨こうとします。

チクセントミハイが言うようなフローな状況に持っていくにはどうしたらいいかというと、適度なチャレンジは必要なわけです。チャレンジを常に自分自身に与えられるように、今の心地よい状態をぽっと投げてしまうことも重要です。

▶編集注:フロー (英: Flow) とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。(Wikipedia

カナダのブリティッシュコロンビア州にいたシュスワップというネイティブアメリカンは、どんなに心地良い場所でも20年に一度村を移し、それによって村人全員が必死に働くようになるといいます。

ずっと同じ場所に定着している文化は滅びていく、ローマみたいなものですよね。人間も多分そうだと思います。

マインドフルネスをやっているからこそバイアスを外すことができる、常にチャレンジを求めようとする自分になれるという感じで、それをやっているからこそ脳が衰退していかない、ということだと思います。

海馬の部分はこれによってサイズが大きくなるといわれているので、マインドフルネス自体は確かに記憶の部分には影響すると思います。

他の部位も大きくなったりするというデータもありますが、MRIを使って見た時海馬の違いが一番見やすくでているので、マインドフルネス自体が脳の老化を防ぐというのもあるかと思います。

ただ、大きいのはその変化です。考えの変化が重要で、そこまでいくようなトレーニングをしないとダメだということです。

質問者 今の話を聞いていると、広義での「考える力」というのが低下しているという問題点があるような気がします。

それは特に新しい視点、幅と深さがありますが特に新しい幅の意味で新しい視点を養う力が低下しているという問題意識があると思います。

その原因の1つが感情のコントロールや集中の欠如なのかなと思っていて、何でできないのかという理由は生きるための目的というところにいくのかな、と聞いていて感じました。

そういう認識でよいでしょうか。

マインドフルネスをバズワードにするな!

川上 それは先程の鶏が先か卵が先かという議論と一緒で、集中力が弱っているからそういうことができないのか、感情が不安定だから集中力が落ちてそのような発想ができないのか、そういう発想がないから結局人間は集中できないのか、というと両方だと思います。

ですから、この両方を同時に導いていかない限りこれは絶対に上手くいきません。

どっちかをやったからもう一方が自然となるだろう、というのは間違ったアプローチですが、それをメディアで言っていたり、ブログで書いている人がいっぱいいるのが非常にまずいですよね。

小林 なるほど、バズワードにするなと。

川上 バズワードにしまくっているんですよね。

流行っているから、検索に引っかかるから書いているみたいな書き方があって、科学者の中で絶対いいと言っている人は誰一人いません。

科学の世界で絶対というのはあり得ないので、マインドフルネスを絶対良いと言い切れるその根拠は何なのか聞きたいですね。

(続)

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続きは 【マインドフルネス⑤】自分のバイアスを理解することで「無」に近づける をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

マインドフルネスは筋トレに近いという議論でした。体格の良く体を鍛えている小林さんがモデレートしている故にこのような話題になったのかな、などと思ったり思わなかったり。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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