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【終】ティータイムを作ることで社員が本音を語ってくれる【F17-7D #7】

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「極めよう、『食』と『心』を。」【F17-7D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その7)は、「社員の健康・豊かさを実現するには?」という会場の質問に答えました。是非御覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 7D
極めよう、「食」と「心」を。

【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 7D
極めよう、「食」と「心」を。

(スピーカー)
川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職

高島 宏平
オイシックス株式会社
(現オイシックスドット大地株式会社)
代表取締役社長

松嶋 啓介
株式会社Accelaire 代表取締役
KEISUKE MATSUSHIMA 総料理長

(スピーカー&モデレーター)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

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最初の記事
【新】極めよう、「食」と「心」を。【F17-7D #1】

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戦国時代の抹茶は現代におけるレッドブル(石川善樹)【F17-7D #6】

本編

高島 では会場から質問を受けたいと思います。

質問者1 株式会社おかんの沢木と申します。

会社経営をしていると、自分自身の食や健康についても関心はありますが、基本的には社員を豊かにしてあげたいとか、いい状態にしてあげたいという考えを持っていると思います。

個人の努力でできることもあれども、やはり働いていると企業がどういうアクションを取っているかも重要だと思っているので、そういう時に経営者や企業が食とどう向き合っていくべきなのかということに関して、ぼやっとした質問ではありますが、お考えがあれば伺いたいと思います。

ちなみに弊社はワーク・フード・バランス協会という社団法人を作り、何を食べるかというよりはどういう考え方で向き合うかということに関して一生懸命取り組もうとしているところで、そのようなことについてお考えを伺いたいです。

食事・睡眠時間の優先順位を一番にしてもらう

石川 高島さんの話と関連しますが、結局「なぜママになると生産性が高まるのか」ということに繋がる話だと思います。

そこに社員の健康や生産性を考えるヒントがあって、ママの特長は何かというと、自分の1日のスケジュールの中で一番優先順位が高いのが仕事ではなく、子どもの食事の時間や子どもの寝る時間になってきます。

そこに合わせて残りの時間を仕事なりプライベートを考えると、たぶんバランスが取れた状態になると思います。

自分の1日の生活スタイルの中で仕事に優先順位を置くと、際限がない・終わりがないですし、結果として食や睡眠が後回しになってしまいます。

一日の自分のスケジュールの中で、仕事の優先順位を1位にしないのがいいのではないでしょうか。

まあ心の中の優先順位は1位でもいいのですが、時間の優先順位として寝ることや食事をすることをまず最初にスケジュール上で一番におき、残りの時間で仕事をしてくれという話だと思います。

実際に合コンがある日の仕事はすぐ終わるだろうということなんだと思うんですよ(笑)。

ですから、スケジュール上の優先順位の第1位を仕事にしないでくれというのが一番大事じゃないかなと思います。

高島 それは本当にすごく大事で、弊社の社員を見ていても思うのですが、1日の最後の飯が美味しければ大体幸せなんですよね。

そのプロセスでどんないがみ合いやストレスがあったとしても、最後の食事がおいしければ「良い日だったな」となります。

ということは、その時間をちゃんと作ってもらえるようにしていくのが結構大事だと思っていて、弊社は、例えば休暇を取った時にすごく美味しいものを食べるとお金をもらえるという制度があります。

石川 なんですか、それ。

高島 美味いものを食べて「こんなに美味しいもの食べちゃった」って言うとお金を貰えます。

石川 僕も参加させてください(笑)。

高島 普段仕事しない人はだめです(笑)。

「食事を楽しむ意識」というのはすごく大事で、1日の終わりでも頑張ったあとの休暇でも、それがあることによって普段頑張れる、という感じで弊社はやっています。

松嶋さん、ヘルシーキッチンの話をお願いします。

松嶋 僕は石川さんと一緒にカリフォルニアでやってるヘルシーキッチンに行き、Googleがやっている改革を見た時に企業として素晴らしい形だと思いました。

社内の中にワーキングスペース的な感じでキッチンを1つ置くと、お湯を焚くという作業でも良い影響があるのではないかと思っています。

先ほども少しお茶の話が出てきましたが、ブレークタイムとは、ブレークをする・息継ぎをするということで、人との気を合わせるということや間を作るということでもあります。

そのような時間で一旦リセットすることによって、気や心など整え得ることはあると思います。

色んな企業を見てみると、お茶室はどちらかというと裏にあるんですよね。

逆にお茶室が真ん中に、給湯器が真ん中にあると、皆んなの気を向かせることができると思いますし、置く場所を見直した方がいいのかもしれません。

石川 研究者の世界でよく言われるのが「ティータイムの時間に喋ってることは自分が一番関心があることなので、ティータイムに話していることをやれ」ということです。

ティータイムに愚痴を話しているのであれば、その人は愚痴に一番関心があるんですよね。

ですから、それぞれの社員が今何に一番関心があるのかは、ティータイムを持つことでよく分かるようになります。

ティータイムを持つことで社員が本音を語ってくれる

川上 確かにそれは言える気がします。

私のところでも絶対3時ぐらいにスタッフ全員とお茶を飲んでいます。形式上、茶礼(されい)と呼んでいますが。

お茶を飲みながら話していると結構ざっくばらんな話ができるので、「何が好きだったか」ということもスタッフから上がってきます。

後から来て宿坊などで遅くまで働くスタッフもいるので、まだ一日の前半の時点での話にはなりますが、「今日どういうことが良かった」とか、その時点で楽しかったこととかをとてもリアルに話してくれます。

就業時間後だとみんな帰ることに頭の中が専念しているので、そういうことを言ってくれません。

チームのバランスやパフォーマンスを上げるためには、そこのところで本音が聞けるのは確かにいいなと思いました。

高島 いかに喫煙者以外の人用の「喫煙の時間」を作るか、「喫煙時のコミュニケーション」をタバコを吸わない人用に作るかというのは企業を経営していてすごく大事だと思っています。

そこで多分お茶とかお菓子とかそういうものがタバコ代わりになってみんなのコミュニケーションが図られるというのはありますよね。

松嶋 僕は「人間は旨味に服従している」と思っています。

それはどういうことかというと、母乳の中には旨味成分があるので、一番最初に人間が口にする味が旨味なのです。

この旨味は地域ごとに存在して、世界中を見てもそうですが、民族がいるところには必ず中心には保存食があります。

保存食は発酵食品みたいなもので、そういった保存食の中には旨味成分がいっぱいあります。

そのようなものを食べることによって地域や民族、国が形成されてきているので、世界中どの国を見ても、どう見ても旨味に服従していると思ったのです。

ところがイギリスを見た時に、イギリスは料理が美味しくない国だとずっと言われていて、確かに美味しくない。

イギリスの保存食はなんだろうと考えてもなかなか答えが見いだせなかったのです。しかし、この間ロンドンに行ってジョギングしたら気付いたんです、お茶(紅茶)だって。

高島 お茶ですか。

松嶋 そう、発酵させて。

だから、お茶をとる時間を家庭や企業で大切にする。

だから海賊国家でも意識は作れている、間の取り方がお茶にあるというのを思いついた瞬間に、ジョギングやめて石川さんに電話しましたからね。

高島 すごい。ありがとうございます。

こんな感じで好きに話してもらって、終わりにしたいと思います。

ミクロの情報に惑わされるな

石川 私が「食」と「心」に関して言いたいのは、あんまりミクロの情報に騙されないでくれ、ということです。

これからも研究者は色々言います。

高島 何がいい・何が効く・何が毒といったことですね。

松嶋 でも、石川さんが言っている「だし汁(が健康に良い・痩せられるといったこと)」もダメと言ってるようなものじゃないですか。

▶編集注:「石川善樹のダイエットの科学」ではだし汁が推奨されています。

石川 僕もそう言っておきながらなのですが、何かミクロの要因1つで劇的に物事が変わるということはやはりありません。

高島 もっと全体感を捉えるということですね。

石川 全体として見た時に、例えば1日のスケジュールを冷静に見た時に、何に優先順位が置かれて自分の1日が構成されているのかですとか、「アッパー系」か「ダウナー系」かといった大きい視点で見ることが、健康や生産性、そして幸せに繋がると思います。

▶編集注:Part2の議論で、食の領域での「アッパー系」の代表として油や糖、「ダウナー系」の代表として「旨味」という話がありました。「アッパー」の食はどんどん食べたくなること、「ダウナー」の食は深い満足を得られて落ち着くことが特徴だということです。

私がいうのもなんですが、研究者の言うことに騙されるなということです(笑)。

高島 マーケティングですからね。

一つの要因だけ変えて劇的に良くなるわけではない

川上 同じようなことになりますが、私もマインドフルネスという分野を教えていて、最近そこでも「マインドフルネスは良いんだ」というような、「これは良い」「悪い」をすごく言っている人がいます。

データが出ていることは確かですが、それもやっぱり良い悪いではなくてニュートラルなものでしかないと思います。

それを「良いんだ!」とすごく言っている人もいますが、やはり一要因変えたからといって全部が変わるわけではありません。

ですから始めてからそこがどのように変わっていくかを一歩引いて見る、食べ物もそうですがホリスティック(全体論的)な考え方、見方をすることが必要だと思います。

先ほどおっしゃってたように食べるもので全てが変わってくるというか、2010年ぐらいから腸内環境と脳の機能の研究がどんどん出ていますので、そういうところに目を向け、食べるということや寝るということも含め、人間はどういうものかという全体像を見ていくことが大切ですよね。

そういうところを見て欲しいなというのはいつも思っています。

高島 ありがとうございます。

非常に楽しい雑談をしてまいりましたが、まとめようとしてみます。

まずは、食事というものを捉えた時に、栄養素というミクロなものではなくてもう少しマクロに引いて考えることが大事で、特に大事なのは「量」のコントロールということでした。

量をコントロールする上で知っておくべきことは、「アッパー系」と「ダウナー系」ということでした。

量をコントロールする方法は3つあり、1つ目は黙ること。

2つ目は料理すること。料理するには子どものことを考えたり、朝ごはんから始めたりと、色んなインセンティブがあります。

3つ目は味覚を変える、これはもうすぐオイシックスから発売されるので少々お待ちください(笑)。

食事でいうと、社外の人と横並びになった方が、(ビジネスミーティングのように)テーマを決めてやるよりいいかもしれないということや、チームビルディングの方法は男女差があるというような話がありました。

これから(本カンファレンスでは)食事の時間に入ります。立食かもしれませんが、横並びでかつ箸を使う時に結界を解くと思って「いただきます」と言ってご飯を食べてください。

(会場笑)

ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/ 城山 ゆかり

【編集部コメント】

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