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Google徳生氏らが語る「新規事業を任せられる人材の条件」とは?【F17-2D #5】

ICC FUKUOKA 2017 Sesison 2D イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論

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「イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論」【F17-2D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その5)は、新規事業を任せられる人材やチームの条件を議論しました。新規事業人材に悩む経営者必見の内容です。是非御覧ください。

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017のプラチナ・スポンサーとして、IBM BlueHub(日本アイ・ビー・エム株式会社)様に本セッションをサポート頂きました。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 2D
イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論
Supported by IBM BlueHub

(スピーカー)
大山 健司
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM BlueHub Lead事業開発担当

岡部 顕宏
ノバルス株式会社
代表取締役
(通信する乾電池「MaBeee」)

榊原健太郎
株式会社サムライインキュベート
代表取締役

徳生 裕人
グーグル合同会社
製品開発本部長

(モデレーター)
西村 勇也
NPO法人ミラツク
代表理事

「イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論」の配信済みの記事

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【本編】

西村 徳生さんにもお伺いしたいのですが、365日24時間働けというと怒られると思いますが、でも同じように新しいものを生み出していくために、若しくは生まれてきたものに対してどういうふうに働きかけていくのかお聞かせください。

社員の熱意を受け止めるゆとりを会社が持てるか

徳生 先程の岡部さんをどう育てるかという質問に繋がりますが、やはり会社に岡部さんみたいな方が溢れているのが一番望ましい状況だと思うので、Googleの、特にエンジニアの中で全く新しいことをやりたいという人が出てきた時は、それを容易に潰してしまわないための仕組みが用意されていると思います。

実際に例えば、他にやりたいことがあるのでGoogle辞めますと言うと、優秀な人であれば「サポートするから社内で独立チームとしてやってみませんか」という声がかかることもあります。

ものすごくやる気のある人が名誉や使命感を持って好きな仕事に取り組めば成功するものも出てきますし、逆にGoogleの非常に優秀なエンジニアが起ち上げたスタートアップが高い確率で成功するわけでもないですよね。

そういった社内独立プロジェクトも、当然10個のうち9個は失敗するのですが、それでもそういった取り組みが社内に存在するということが、組織全体の大きなバリューになっていると思います。

「その問題はあのチームがうまいアプローチを見つけたらしい」とか、「あのチームは素早くプロトタイピングを繰り返していい物を作ってる」等、社内に多様なチームがあれば学びがあるので、組織の側から見ると、熱意のある優秀な人が好きなことを出来るということは、大きな価値だと思います。

ICC FUKUOKA 2017 Sesison 2D イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論

西村 そういった形で生まれたプロジェクトは、最終的に世にでるんですか?

徳生 Googleのような会社で実際に製品を世に出すということには、ブランドやユーザー体験の統一性の確保や、インフラの維持等、大きなコストが伴います。

プロトタイプまでは自由、というのはそういう事情もありますが、あとは信頼の世界で、出来上がったプロトタイプに可能性が感じられるのは当然必須として、あとはその人が本当にやり抜ける人だと思ったらその先に進むことがOKとなる場合も多いです。

それでも新製品や新機能の製品化は本当に難しいので、成功確率はそんなに高いわけではありませんが。

新規事業を任せられる人材の条件とは?

西村 「この人いけるな」というのは、どこで信頼できるできないを判定するのですか。

徳生 完全にこれまでの実績ですね。

周りにいる人だったら誰にでも分かる、「この人はズレていない」「この人は調整力や突破力がある」という評判は社内で割と出来上がっているので、そこはそんなにブレないと思います。

西村 大山さんは外部の方と組まれる中で、こことだったら一緒にやっても大丈夫じゃないかという最後の判断は、単にアイディアが面白いからだけではないと思うのですが、こことだったら時間はかかるかもしれないけどIBMと組んだら面白いことになるのではないか、という信頼感はどこで発生し始めますか。

大山 オープンイノベーションというプログラムをやっている中で、スタートアップの皆さんと沢山接する機会が多くあり、今日もそちらに(株式会社PREVENT 代表取締役の)萩原さんに来ていただいていますが、持っているものややっていることが素晴らしいというのは皆さんそうなんです。

ですが、一緒にやれるともっと良くなると思えるかどうかで、そこで成功の可否は分かれてくると思います。

色んなアクセラレータプログラムがあり、オープンイノベーションはバズワードになっていますが、本当に借り物競争というか、お互い出せるものを出し合って一緒に新しいものを作ろう、と思えるかどうかがポイントだと感じています。

ICC FUKUOKA 2017 Sesison 2D イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論

萩原さんもそういうスタンスで去年臨んでくれたのですが、そういうスタートアップが増えると、当然自分たちだけのサービスやテクノロジーで大きくなっていくという方針はある中でも、コラボレーションしてもっと新しいことを創り出し、もっとスケールアップしたいと思えるかどうかだと思います。

新規事業を前進させるチームとは?

西村 私は午前 メディアのセッションに出ていたのですがすごく面白くて、なんで面白いのかと考えると、メディアはこういうものだという話があり、基本的な情報が合意されている上でより良いものを目指されていたからなんですね。

常にゼロから考えるのではなく、ここまでは分かっているという前提の上で次を次を、というセッションだったのですごく面白いと思いました。

イノベーションというと途端にみんなのノウハウやそれぞれのやり方みたいなところに戻りがちですが、基本路線は一緒だと思っています。

その同じ路線の上でどうやったら上手くできるのか、ということを考えた方が有益だと思い、どうやったらそれができるかを今日は考えながらここのセッションにきました。

イノベーションのセッションで毎回同じこと言ってる、という感じだと面白くないので、分かっているところは置いておいて次のことを考えたいと思ったんですが、例えば、いいチームを作るのは絶対に必要ですよね。

プロトタイプを作って前に進める時に適切なチームがないといけないのはあたりまえですが、適切なチームを社内で組む、外部の人と組むという時に、何を手がかりに適切なチームが組まれていくのかというのを伺いたいのです。

岡部さんが先程色々苦労されてきたとおっしゃっていましたが、岡部さんとしてチームづくりの勘所はどの辺りだと思いますか。

岡部 部活動的にやっていた時は、ワイワイガヤガヤと徐々にものが出来上がっていく楽しさ、純粋に男の子の楽しさというものがありました。

ただそれが継続していくかというと、やはり私自身もそうでしたが、現業が忙しかったりでモチベーションに波があるわけで、ポイントポイントであの有名な人に見せるからとか、ユーザーのコメントでフィードバックを直にもらったり、意図的というよりは結果的にそういうことが重なって続けることができたのかなと思います。

ただそういうことがない時期は、義務があるわけではないので何ヶ月間も停滞している時期も結構ありましたし、当時は特に納期を切ってやってるわけではなかったので、何か緩やかに、でもワイワイガヤガヤ続けていくというのが起業前のやり方でした。

西村 起業した後はどうでしたか。

岡部 起業した後は、私一人だったんですね。

ICC FUKUOKA 2017 Sesison 2D イノベーションを生み出す取り組みを徹底議論

みんな企業勤めしているので、「じゃあやるか」と言うと「すぐには辞められないよ」ということで、たった1人で本開発を始めました。

試作品を作るのと製品の本番開発は全然違うものなのでもう一度作り直しになるのですが、私は事業企画、企画畑なのでソフト屋さんハード屋さん誰もいないという状況で始めました。

しかし、周りにそういう話をしていると、「あそこのエレキのエンジニアは今何もやっていないはずだよ」とか、「あそこにいいソフト屋さんいるよ」と本当に偶然仲間がジョインしてくれて、工数をかけてフルコミットでやるメンバーと、企業勤めしながら部活動的にサポートするメンバーが徐々に醸成されていきました。

結果的にそうなったという、非常にラッキーな状態です。

いいチームができる運を呼び寄せるには

西村 榊原さんにお伺いしたいのですが、今運、ラッキーだという話しになっていますが、では運がいい人ってどういう人なのか、運良くいいチームを作れる人と運悪くいいチームを作れない人は何が違うのでしょうか。

榊原 多分岡部さんも運がいいと言いながら色んな人に伝えていると思うんですよね。だからこそ、良い人を引き寄せたんだと思います。言うことは大事ですよね。

そして、色んな経営者がいて、社長がビジョナリー兼CEOの会社もありますが、一番上手くいってるパターンは社長がビジョナリーで破天荒なことを言う中で間に入って上手く社員やメンバーに伝えるCOOがいて、ラボ的な新しいアイディアを考える人がいて、あとは日本人的なオペレーションが出来る人がいる、というチームだと思います。

トップダウン型だとCEOとCOOが1つになっていてトップダウンでやるんですが、いいチームはCEOと別にCOOがいて、そこが分かれていると様々な視点で会社を見られるので非常にいい形になると思います。CTOとあとはCFOももちろん必要ですが。

元々うちがご支援していたノボットという会社さんも、設立者の小林さんはグロービス経営大学院に入っていて、自分で起業サークルを作られたんです。

それは結論的に自分のチームを集めるために作ったのですが、最初のテーマがノボットという会社をどうやって、のぼしたらいいか(編集注:上の位に進ませる)というテーマで、一番真剣にやってくれてボランティア的なのもあれば、資金調達に入ってくれた人もいたそうです。

そこでいい人かどうかを見極める、岡部さんはまさにそういう流れで作られたんだと思います。

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「自分がこういうのを作ろうと思っているんだけど、ボランティアでも助けて欲しい」とか、「土日で暇な人いない?」というの言っていって徐々に広げていき、今はSNSがあるので比較的簡単だと思いますが、やっぱり言っていくことが重要だと思います。

あとは実際にやってることが違ったり、威張っている人だったら人がついてこないと思うので、何でこういうことをやっているのかということをしっかりメンバーに伝えるということをしていくと、自然と人は集まってくると思います。

私は恥ずかしながらTOEIC365点でイスラエルに1人で行きました。

日本の技術をイスラエルに伝え、イスラエルの技術を日本に伝えたく、「My responsibility is to make a bridge between Japan and Israel」とずっと言っていたら色んな人が助けてくれて、今ではイスラエル人6人チームで30社程 投資をし、コワーキングスペースを作ることができています。

TOEIC365点でそれができたのはそれを言い続けたことがポイントなので、人が受け入れてくれるようなビジョン、何の為にきたのか、何の為にやるのかというのを海外の人であれ関係なく伝えていくことで人を巻き込んでいくのかなと思います。

(続)

続きは いい人材を本気で集めるには、とにかく情報発信をしよう をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり

【編集部コメント】

「この人いけるなをどこで判定するのですか」「完全にこれまでの実績ですね」、これ以上の答えはないシンプルさだと感じました笑(榎戸)

続編も、是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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