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7. 本邦初公開!ハセマコ提唱「店のハイプサイクル」「食べ手のキャズム理論」【終】

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毎回全シーズンを塗り替える面白さ!「大人の教養シリーズ『美食』について語りつくす」シーズン4の書き起こし記事が到着! 全8回の本編の(最終回)は、ハセマコさんの美食道シーズン4。ハセマコディープラーニングが新たな研究結果を発表します。あなたは食べ手として、キャズムを越えたいですか? 最後までぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのNOT A HOTELにサポート頂きました。

NOT A HOTEL ロゴ


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 10F
大人の教養シリーズ「美食」「旅」について語りつくす(シーズン4)
Sponsored by NOT A HOTEL

(スピーカー)

西井 敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役 / オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT / GROOVE X株式会社 CMO

長谷川 誠
株式会社NTTドコモ
スマートライフ推進部 マーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

濵渦 伸次
NOT A HOTEL 株式会社
代表取締役CEO

山本 憲資
株式会社サマリー
代表取締役

(モデレーター)

榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長

「大人の教養シリーズ「美食」「旅」について語りつくす(シーズン4)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. 過去最大の動員! 美食を語りまくるシーズン4

1つ前の記事
6. 世界トップクラスの美食国日本で、シンクロ西井さんが衝撃を受けたシェフの名言

本編

 ありがとうございます。

では、ハセマコさんの美食道シーズン4をお願いします。なんと、残り13分です。

ハセマコの美食道シーズン4! まずは前回の反省から…

長谷川 はい! 前回は和食の話をしたのですが、最初にお椀について語ったら会場がドン引きしました。

それで、なぜお椀なのかの説明が足りなかったのだろうと反省しました。

皆さん、和食の流れはご存知ですか?

(壇上、スライドを一瞥してニヤリと笑う)

このスライドにあるような流れになっており、この中で一番重要なのは3番目の椀ものと5番目の八寸で、出汁と盛り付けのスキルを含めた見せ場なのです。

ですから、和食のディープラーニングの話をした際、マグロと同じように椀を例に出したのです。

という説明を省いたまま、椀についてのディープラーニングを話してしまい、会場が凍りついたので、椀がすごく大事だということを話したかったのです(笑)。

お椀だけが美味しくなくて他が美味しいという店はあり得ないので、和食にとって、お椀はめちゃくちゃ重要ということです。

西井 椀は4番バッターだ、とよく言っていますよね。

長谷川 そうですね。

店の「心技体」ーーどのスタイルの店が好きですか?

長谷川 改めてのおさらいですが、こういうフレームワークで店を分類しており、特にバランスの「心技体」について今日は話したいと思っています。

「心技体」のフレームワークを使いこなし、自分の中で理解していきましょう。

一流店は皆さん、「心」は整っているという前提に立つと、「技」のお店と「体」のお店に分けられます。

▶編集部注:詳しい解説はシーズン2の記事をご覧ください。
6. 店・料理人に好かれるには、食べ手の「心技体」を学ぶべし

怒られるかもしれませんが、あえて僕の好きな寿司屋を分類すると、心のお店は金沢の「小松 弥助」で、日本一心が整っています。

技のお店は「すぎた」「近松」「宮川」で、体のお店は、「すし処 めくみ」と「鮨 猪股」です。

過去のセッションでもちょくちょく話していますが、僕は「技」のお店が好みですが、西井さんはどちらかと言えば「体」のお店が好きなので、寿司で言えば「めくみ」が好き、という風に使うフレームワークです。

他のお店も分類はできますが、これ以上勝手に名前を出すとシェフに怒られそうなので、仲の良いところだけにします(笑)。

食べ手の「心技体」× 季節性(=食材の仕入れ)

長谷川 これをふまえて、心技体と季節性の話です。

急にグラフが出てきましたが、技のお店は年間通して味が安定していますが、体のお店は仕入れが非常に重要なので、季節と仕入れによって振れ幅があることをイメージとして書いているグラフです。

特に、秋冬の食材が良くなってくる季節には、体のお店の味がはねます。

「めくみ」や「猪股」は冬に行くと爆発力が半端ない。

(一同笑)

逆に、技が優れた「すぎた」や「近松」、「宮川」であれば、春や夏などの食材的には難しい時期でも、抜群の安定性を誇ります。

つまり、心技体の技と体を理解した上で、季節とのかけ算で食事を楽しむということです。

山本 ちなみに、このグラフは何のツールで作られたのですか?

長谷川 これはエクセルで、ポチポチと適当に数値を入れて(笑)。

(一同笑)

 でも、めちゃくちゃ正確に作っていますよね?

長谷川 それっぽい数字を入れて見ながら(笑)。

 やはり夏は、赤の線が少し凹むのですね。

初公開! 店のハイプサイクル

長谷川 そうですね。せっかく時系列で話したので、店のハイプサイクル(※)を勝手に作って持ってきております。

▶編集注:ハイプサイクルとは、主にIT関連における新技術の認知度や期待度が、時間経過とともにどのように変化していくかを示した図。調査会社ガートナーが考案。(weblio

食べログの点数は時系列で見ると、アップダウンがかなりあります。

まず一番左、新店はどれだけ高評価でも3.0台から立ち上がります。

誰も知らないけれど良い店という状態です。

時間が少し経過すると話題店になり、一気に評価がついて、3.8や4点台にはね上がります。

はね上がった後、ハイプサイクルで言う低迷期が来ます。

これは、4点台の店だったら行ってやろうと著名レビュアーたちが行った結果、案外期待ほどではないと渋い評価をするので、低迷するのです。

本当に実力のある店であれば、そこからまた点数が上がるので、上がる店と上がらない店があるということです。

というわけで、ICCっぽいなと我ながら思って作った、店のハイプサイクルでした。

(一同笑)

濱渦 素晴らしいですね、これ。

西井 この2つを見なければ、店は評価できないということですね。

長谷川 そうですね、新しい店で良い評価がついているのは、まだサイクルの最初だからということです。

逆に、すごく下がった直後の点数にも惑わされてはいけません。

濱渦 食べログは、移転したとしても、3.0からになりますよね。

長谷川 おっしゃる通りです。

濱渦 これがまた複雑ですよね。

長谷川 はい、ここには書いていませんが移転後にも3.0台に戻るので、その時が狙い目ですが、人気店の場合は移転したタイミングで既に有名なので、新規開拓にはつながらないと思っています。

美味しくないものを美味しいとは言えない「陰」の食べ手

長谷川 次に、食べ手側のフレームワークです。

前回お話しした食べ手の個性のうち、陽と陰について改めてお話しします。

山本さん含めて前回議論になり、陽と陰の定義についてもっと明確にしろと言われたため(笑)、作ってまいりました。

前提として、食を愛しリスペクトする心は、先ほどの心技体で言うところの心でカバーをするので、単にネガティブなことを言いまくる、味が分からないのにダメ出しをしまくる人は、心が整っていない、技のスキルがないということです。

その前提で改めて陽と陰の定義は、食事全体を楽しみ、空気を読み、ポジティブなことを言うのが「陽の食べ手」、真剣に味わって空気を読まず、思ったことを言ってお世辞は言わないのが「陰の食べ手」です。

みなさんお気づきの通り、西井さんは陽寄りの人なので、美味しくなくても美味しいですねと言う、ポジティブな嘘つきです(笑)。

西井 (笑)これ、馬鹿にされていますからね。

長谷川 僕は陰の食べ手なので、美味しくないと思ったものは美味しいとは絶対に言いません。

色々な表現を使って、味以外の事についてコメントします。

西井 そういう時は、お店のしつらえなどをめちゃくちゃ褒めますよね。

長谷川 「お味どうですか?」と聞かれて「素敵な内装ですね」と返す、噛み合わない会話をよくします。

美味しそうに食べてればいいですが、そうで無い時は味についてあまり質問して欲しくないと、いつも思っています。

(一同笑)

ハセマコ提唱「食べ手のキャズム理論」

長谷川 次に、「食べ手のキャズム」の話をします。

西井 それっぽい感じで話していますが、めちゃくちゃふざけていますからね(笑)。

長谷川 イノベーターからラガードまで分布する、キャズム理論がありますが、まさにこの定義が食べ手にも当てはまると思います。

キャズム理論とは?キャズムを超える方法とその事例(ONE Marketing)

今日話して頂いたのを聞く限り、濱渦さんと山本さんは、左側の変態ゾーンのイノベーターかアーリーアダプターかなと思います。

西井さんは人気店にたくさん行っているので、キャズムを超えた先の食べ手だろうと今回、改めて定義できたと思います。

(一同笑)

西井 何気に僕のこと、ディスっていますよね(笑)?

長谷川 赤い矢印がある場所、ここにキャズムがあり、それぞれの分類は下に書いている「行っている店」につながります。

キャズムの手前、左側の変態ゾーンにいるのは、新しい店や話題の店にリスク覚悟でどんどん食べていく、いわゆる変態たちです。

ハイプサイクルと並べてみると、何となくそれっぽく見えます。

逆に、低迷期を乗り越えて人気店になった店、つまり美味しい、美味しそうだと分かっている店に行く人たちは、いわゆる一般人の食べ手です。

キャズム理論とハイプサイクルをかけ合わせると、自分がどういう食べ手であり、店がどういう状態なのかを理解したうえで店に行くことができるようになります。

“変態”たちはリスクやダメージを楽しむ余裕がある

山本 これは本当に無意識になのですが、店ごとに誘う人は変えますね。

というのも、長谷川さんの説明にあった通り、西井さんみたいな方は何でも美味しいと言ってくださるからです。それはOKな気がするのですが……。

僕としては、美味しくない時には美味しくないと言ってくれる人と一緒に行かないと、こちらの負担が大きくなるので…。

西井 何なんですか、みんな俺のこと嫌いなの!?

(一同笑)

山本 一昨日行ったインド料理屋の「KALA」は、7、8年経っているので、新しくはないですが割とマニアックで、コースが2万円くらいと、それなりに高いです。

また、博多から車で1時間かかるので、美味しくなかった時のショックが大きいですよね。

だから、そのときに無理矢理に「美味しかったですね」と言われるのは嫌なのです。「KALA」はめちゃいいお店だったのでよかったですが。

そういう店には、美味しいかどうか分からないけれど、美味しくなかった時も許容できる人たちを選びますし、逆に、確実に美味しい店には、安全な人を誘います。

長谷川 リスクやダメージを楽しむ余裕があることが、変態たちの特徴ですよ。

西井さんみたいにダメージは嫌だ、外したくないと言っている人たちは右側の人気店に行っておけばいいので、キャズムよりも右側にいるわけです。

西井 ひどくないですか?

僕は200店舗くらい行っているのに、キャズムを超えた後の人だと言われているんですよ。

 いやいや、僕から見たら、西井さんもキャズム前の人ですけどね。

でも、この方(ハセマコ)から見ると…(笑)。

長谷川 西井さんは、キャズムの「ム」のあたりにいます。

(一同爆笑)

恒例ハセマコによるまとめ

 ハセマコさん、残り時間あと2分です。

長谷川 では次のコンテンツ、出たばかりですが、「食べログアワード2022」を早速語ろう、です。

先ほどオープニングで話した、東京のお店がすごく増えて関西の店が減ったという2021年の流れがどうなっているか、まとめています。

2022年、その流れは継続しています。

関西はさらに減って4軒、東京はさらに増えて18軒、かつ全体では1軒減っているので、東京の比率がすごく増えたという結果でしたので、コロナ禍の影響は継続していると思います。

他の地方も1軒ずつの増減はありますが、大勢には影響なしです。

東京にゴールド店が多いというのはつまり、東京には食べ手が多いので、その年に行った東京のお店にゴールドをつけているのではないかと思われます。

時間もないので、最後のまとめです。

毎回、勝手にセッションをまとめさせてもらっています。

(一同笑)

まとめると、フレームワークを季節性含めて使いこなし、キャズムとハイプサイクルを理解すること、これこそCo-Creationです。

つまり、「ともに学び、時間軸を含めて、店と食べ手がともに美食を創っていく」ということなのだと改めて思いました。

ということで、僕の美食道シーズン4をまとめさせて頂きました。

 ありがとうございます。

本当は登壇者の皆さんから最後に一言ずつ頂きたいところですが、毎回ハセマコさんが一人で締めてしまいます。

お時間となりましたので、これにて終了とさせて頂きます。

登壇者に盛大な拍手をお願いします、ありがとうございました。

(続)

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続きは 8.【番外編】「大人の教養シリーズ『美食』について語りつくす」(シーズン4) 登場したお店リスト をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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