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「正攻法ではもうAirbnbに勝てない」水面下で始まる”民泊”市場の覇権争い【K16-4D #5】

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「成長するトラベル市場のビジネス・チャンス」【K16-6D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その5)は、いよいよ法整備が進む「民泊」について、そのビジネス化とAirbnbとの戦い方等について議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 4D
「成長するトラベル市場のビジネス・チャンス」
 
(スピーカー)
篠塚 孝哉
株式会社Loco Partners
代表取締役
 
榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長
 
塚本 信二
米ダフル インク
共同創業者
 
(モデレーター)
柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長▲

「成長するトラベル市場のビジネス・チャンス」の配信済み記事一覧

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【本編】

柴田 では議題を変え、ここからは民泊の話をしたいと思います。

民泊のマーケットは必ず大きくなる。これは間違いないと思います。

先程お話した日本の宿泊予約市場を100として、3年後民泊の割合はどれ位生じていると思いますか?

民泊はどの程度普及するか?

篠塚 はい、私も民泊は確実に大きくなると信じていて、大体30程度になるのではないかと考えています。

柴田 今はほぼ0という状態ですが30まで増えますか?

篠塚 宿泊予約という観点で、30前後のポテンシャルはあると思います。

柴田 それは3年後に限らずということですか?

篠塚 そうです。

榊 僕も30位と考えています。

海外での民泊利用者が30、国内市場も考えるともう少し増えると思っています。

柴田 なるほど。

30になるのはどれ位先だと思いますか?

 もう数年後だと思います。

少なくとも、2020年東京オリンピック・パラリンピックの年には、30を超えてしまうのではないかという印象です。

これだけ外国人旅行者が足元でどんどん増えていているのに対し、新しく完成するホテルのスピードが追いついていないという感想を持っています。

今、外国から旅行に来る方は相当数がリピーターで、上手く安く宿を探している。

この状況から考えると、民泊市場は間違いなく大きくなると思います。

柴田 なるほど。

では逆に、民泊は日本人の間でどれ位広がると思いますか?

外国と同じ位広がるでしょうか?

篠塚 それはプロバイダー(事業者)についてでしょうか?

宿泊する側についてでしょうか?

柴田 宿泊する側、ユーザーについてです。

篠塚 日本人に広がるのは、もう少し遅いと思います。

柴田 日本人が、Airbnbの様なサービスをストレス無く日常的に使うようになる時期は、海外よりは遅れてくるということ?

篠塚 確実に遅いと思います。

柴田 日本でも受け入れられるということには間違いないと思いますか?

篠塚 受け入れられると思います。

柴田 では、Airbnbと他の事業者について考えた時、日本の民泊市場でAirbnbが一人勝ちするのかどうか意見聞きたいのですが。

会場の皆さん(ICCカンファレンス参加者)も知りたいと思うのです。

Airbnbに正攻法では勝てない状況まで来ている

篠塚 その答えは難しいのですが、現時点ではAirbnbが完全に一人勝ちしています。

日本のスタートアップ、大企業ともに、法律内で戦うという選択肢しか持ち得ていませんが、Airbnbは法律の外側、黒に近いグレーの部分で戦っているので、正攻法ではもう勝てない状況だと思います。

日本の民泊市場は、現在既に年間500~600億円程度の市場規模があると言われていますが、Airbnbはそのパイを全て取りかつ伸びている。

民泊新法(民泊営業を規定する新しい法律)が来年(2017年)の9月頃施行される予定で、管理者が居住しているか、不在かにより類型がある等細かい規定もありますが、180日以内の制限のもと住宅を提供することが出来るようになります。

新法が成立すると、現在市場を牛耳っているAirbnbがさらに勢いを出す可能性があるので、真っ当な取り組み方では勝てないのではないかと思っています。

柴田 なるほど。

ずばり、Reluxは民泊に取り組みますか?

篠塚 確実に取り組むと思います。

柴田 どのように取り組みますか?

篠塚 民泊新法が施行された段階で180日以下の営業許可を取っている物件を扱うつもりです。

話が少し逸れますが、「民泊」という言葉がバズワードとしてありますが、私は、ホテル、旅館、ペンション、民宿という宿泊先に「家」というジャンルが増えるだけと、シンプルに捉えています。

Reluxが民泊の取り組みをするということは、例えば「Relux Home」といった新規事業を起こすという意味合いではなく、新しいカテゴリーを増やすだけという構想で考えています。安全が担保された状態で適切な競争が起こるのは、旅行業界にとって注目も集まりポジティブです。

柴田 一休さんはどうですか?

民泊取り組みますか? もしくは、ヤフージャパンとして取り組むのでしょうか?

 民泊は既に取り組み始めています。

今、篠塚さんがおっしゃったことに重なりますが、弊社ではホテルに泊まる、旅館に泊まる、貸別荘に泊まるといった宿泊形態を取り扱っています。

この「貸別荘」はオーナーが使用しない期間に使える高級別荘や商業的に作られた貸別荘や古民家であり、ニーズが増えています。

国家戦略特区の要件など色々特例もありますが、別荘のオーナー自身に旅館業法上の許可を取っていただく必要があります。

現状許可を取っている物件でなければ販売が難しいので、弊社では許可を得ている物件を少しずつ取り扱いしている状況です。

柴田 なるほど。

民泊プラットフォームの今後はどうなるか?

柴田 もう少し聞かせていただきたいのですが、民泊は伸びると言われているため、これから色々な新規参入事業者が出てきますよね。

実際、既に色々な戦略が始まっていると思いますが、やはりプラットフォーマー(第三者のビジネスに対しシステム等を提供する事業者)としての戦いは、ずばりレッドオーシャン(競争の激しい市場)になると思いますか?

競争が激化し誰も儲からないということになるのか、それとも誰かが儲かるのか?
その辺りをどの様に考えますか?

篠塚 プラットフォームは間違いなくレッドオーシャンになります。

バズワードの悪い点だと思うのですが、現在も「民泊予約サイト始まります」といったニュースがたくさん発信されおり、法整備がされていないのに既にレッドオーシャンとなっています。

この状況で取り組むのは正直つらいです。

理由は、皆さんが今住んでいる家を出品する状況を考えていただきたいのですが、何個ものサイトに登録するのは非常に面倒です。

Airbnb、一休さん、弊社、さらに他のサイトにも仮に10個ほど登録すると非常に大変で、在庫管理は絶対出来ない状況になります。

プラットフォーマー戦争ということは確実に起こることが予想されるので、このことが、先程お話した「Airbnbが最初一人勝ちしてしまう」と考える大きな理由です。

柴田 榊さんはどうでしょうか?

 僕も同じで、Airbnbはファーストムーバーとしてのアドバンテージが明らかにあるので、やっぱり強いだろうと感じます。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鎌田 さくら

続きは 「手ぶらで出張できる」旅の荷物をクラウド化する”DUFL”が日本に上陸 を配信予定です。
https://icc.dvlpmnt.site/industry-trend/9857


【編集部コメント】

続編(その6)では、是非ご期待ください。米DUFL Inc.塚本さんに、DUFLで実現するクラウドクローゼットサービスと、日本でのサービス展開予定についてお話し頂きました。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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