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5. 天気予測、ドローンだけではない「ドップラーライダー」の可能性

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ICCサミット KYOTO 2021のセッション「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4) は、ディープテックに精通する4人のスピーカーが集合! 全9回シリーズ(その5)は、ACSL鷲谷 聡之さんの気になる技術トレンド「ドップラーライダー」。パトカーのサイレンなど、遠ざかると音が違って聞こえることで知られる「ドップラー効果」を使ったもので、正確な天気予測や、はては地球の可視化までできるのだそうです。その仕組みとは? ぜひご覧ください。

CCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プレミアム・スポンサーのベクトル にサポート頂きました。


【登壇者情報】
ICCサミット KYOTO 2021
Session 9C
「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4)
Supported by ベクトル

(スピーカー)

北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター
※登壇当時

清水 亮
ギリア株式会社
代表取締役社長兼CEO
※登壇当時

丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO

鷲谷 聡之
株式会社ACSL
代表取締役社長 兼 COO

(モデレーター)

西脇 資哲
日本マイクロソフト株式会社
コーポレート戦略統括本部 業務執行役員 エバンジェリスト

「テクノロジーはどこまで進化するのか?」(シーズン4) の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. テクノロジーの雑談シーズン4、まずは気になるスマホアプリの話題からスタート

1つ前の記事
4. インターネットを「音」にしたい。ギリア清水さんが語る「Audio First」の未来

本編

鷲谷さんが注目する「ドップラーライダー」とは

鷲谷 最近、「ドップラーライダー」がすごいなと思ってきています。

北川 何ですか、それ?

 あっ、知らない? ドップラーライダーって、やばいよね、今。

鷲谷 簡単に言うと、風とか目に見えない気象を全部分かるようにする専用のライダー(LIDAR※) なんですよね。

▶編集注:光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するもの(Wikipediaより)

北川 ああ、そういうことか。

鷲谷 これはドップラー効果を使うんです。

北川 えっ? 音ということですか?

鷲谷 だから、要は波ですね。

ドップラー効果を使っていくと、空にある粒子の色みたいなものが見えて、そうすると上空の風が分かるのです。

北川 めっちゃ面白い!

数十メートル範囲で気象を予測

鷲谷 今現在、某ニュースさんとか、今から雨が降りますとか、1時間後に雨が降りますとか、いろいろ気象予報を出していますが、あれは全部シミュレーションです。

気象ドップラーレーダーによる観測(気象庁)

あとは全国に散らばっている人が、スマホで「そろそろ、ここ降ってきました」とか報告してくれているのですが、メッシュがやはり荒いんです。

ドップラーライダーであれば、今、数十メートル範囲で、「ここに、この後雨が降りそう」「ここは、今風速10mです」とか、分かるようになっているんですよ。

北川 もしかして、それはドローンに乗せるからと、宣伝しようとしてます?

鷲谷 いや(笑)

(一同笑)

 いやいや、ビルの間の空気の流れとか、すごく細かいのが出るんですよ。

街の中の気象条件が分かりますよね。

鷲谷 まさに!

だから、東京駅の近くであと1時間後に雨が降るから、今テラス席を閉じたほうがいいとか、雨が降っているから、ここに雨用の打ち手を打つと、より集客ができるようになったりとか、都市のスマート化さえも変えてくる可能性を持っているんです。

西脇 (CommentScreenを見ながら)「ドップラーレーダーとも言いますね」

 そうですね。どこにどういうビルを造ると、風の巻き込みがどう変わるかも、今すごく見えるようになってきています。

気候、気象によって、風ってすごく変わるじゃないですか。あと高さなどでも。

ここまで細かく見えるのって、なかなか無いんですよ。

清水 装置としては、どれくらいの大きさなんですか?

鷲谷 大小あって、大きければ大きいほど出力が大きくなって、実際大きいのですが、小さいもので言うと、このテーブルの内よりも小さいわけです。

 ここまでいくと、本来の地球の可視化ができるんですよね。

これはすごく面白い…。

西脇 ごめんなさい、何がテーブルの上にできるんですか?

鷲谷 小さいテーブルぐらいの大きさの装置で、今もう風が測れるようになっていて、そうしていくと地形というレイヤーと風の地形みたいなものが新たにできてくると…。

 立体的にね。

鷲谷 なかなかいい革命が起きるんじゃないかと思っていますね。

 (微笑みながら)そう! 面白いでしょう? 「地球の可視化」ね!

西脇 さっきと全然テンションが違う(苦笑)!

(一同笑)

 いや、だってさ、(鷲谷さんに)骨伝導とか、全然興味なかったでしょ?

鷲谷 いや、骨伝導は買おうと思いましたね(笑)。

(一同笑)

 なんだ、僕だけか(笑)。

これは絶対面白いですよ、皆さん、覚えてくださいね、「ドップラーライダー」。

西脇 一般に生活している人たちは、ドップラーライダーから、どういうメリットが享受できるんですか?

 出ました、「メリット」が。

鷲谷 例えば、今日傘を持っていくか迷ったときに、今まではシミュレーションなので、当たるときと外れるときがあります。

ああいう情報のメッシュがすごく細かくなってくるので、あなたの行くここは雨が降らないけれど、隣の駅では雨が降っているかもしれない。

北川 本当にそんなに精度が上がるんですか?

鷲谷 上がります。

 上がる。

西脇 今の天気予報の精度もなかなかですよ。

メリット、デメリットで語る話ではない

 一言、言っていい? メリット、デメリットじゃないんですよ。

西脇 (笑)。

 「地球の可視化」と言って、興奮しない時点でおかしいんですよ、やっぱり。

「都市を造るのに、これをやらないということがおかしい」と、僕らは言っているわけです。

北川 そもそもね。

 そもそも傘をさすかどうかなんか、どうでもいいんです。

(会場笑)

北川 どうでもいいね、確かに。

西脇 研究者としてはそうですね。

 いやいやいやいや、違います。違うんですよ!

地球を耕すとか、地球を見るとか、それを再現するとか、これから火星に行くんですよ、みんな。

それってメリット、デメリットの話をしてます? 違いますよ。

もうそろそろ、人間はもう1段階アップグレードした会話をしないと。

北川 そうですね。

車が自動運転するように、ドローンの自動運転を街中でやるためには、絶対これは必要なんですね。

 それはそうです。間違いないです。

鷲谷 それはもう確実にそうです。

清水 メリットは、それですよね。

北川 ねえ。そっちのほうがでかそうですよね。

 ……またメリット(笑)。

すぐメリット。すぐビジネス!

(一同笑)

北川 ドローンがデリバリーできるようになるために…。

清水 ここは、ビジネスの会だから(笑)。

 そうか。

北川 必要になるというのは、かなりグッと来ました、僕は。

 ありがとうございます(笑)。

ドップラーライダーで地球のほとんどを可視化

西脇 ドローンだけではなくて、特に空中に浮遊するもの全般に対して、そういった予測や現実をもう少し可視化できれば、より安全に、より効率的に、物や人を運んだりできるので、必要ではないかということですね。

清水 「ライダー」と言っているということは、「LIDAR」なんですか?

鷲谷 LIDARです。

 今すごく値段も下がってきましたよね、もう、かなり。

鷲谷 今まで億単位だったものが、いま数百万円レンジまで来ているんですよね。

もうちょっとすると、もっと下がるかもしれません。

 ビルに1個ずつ全部付ければ、街が確実に可視化できる。人がいるところはすべて立体的に可視化できるから、地球のほとんどが可視化できます。

これのグーグルマップみたいなものを作ると、絶対面白い。

鷲谷 だから、5Gの基地局と一緒にドップラーライダーがセットで付いていますみたいな。

 なんでセットにしないんだろうね。

鷲谷 (北川さんに)ぜひご検討いただくと(笑)。

 そういうのを、すぐ楽天でもやるべきですよ。

清水 楽天モバイルに入ると、もうドップラーライダーに可視化されているってことを。

 そうそう、メリットとかじゃない。

清水 起死回生の一手ですよ。

 「みんなで地球を見よう」みたいな。

清水 まさかここに。

西脇 ヤフーとかだったら、駅前でドップラーライダーを売っているとか(笑)。

清水 ただで配っちゃう(笑)。

 そういう時代が来てほしい。

西脇 ただ思うのは、それらのライダーから得られたデータを、誰かが集めて誰かがサービスとしてデリバリーするんですよね?

今それはどうなっているんですか?

鷲谷 今それをやっているスタートアップがいるんですよね、うちではないのですが。

(丸さんを見て)言っちゃっていいんですか?

 それは言わないようにしておきましょう。

西脇 言っちゃっていいでしょう?

 (着ているシャツの文字を見ながら)この「REAL TECH FUND」っていうところが投資しているんじゃない?

清水 (笑)メリットの話しかないじゃん!

 (大真面目に)メリットはありません!

今の話を聞いて、興味のある投資家の皆様、ぜひ地球のために投資をしてください。

京都大学発ベンチャー「メトロウェザー」

鷲谷 言っておくと、メトロウェザーさんがやられていて、京都大学発祥の研究所です。

京大発ベンチャー、「空の安全」でNASAの研究に参加へ (Bloomberg)

 言っちゃったよ。

鷲谷 すごく革新的にやっています。

北川 こういうのは、だいたい軍が先にお金を出すんじゃないですか?

 また始まった、軍。

(一同笑)

だから…。

北川 絶対ミサイルの軌道とかで使っているでしょ。

 分かっています。分かるよ、ドローンだってそうじゃん。

西脇 でもね、京都大学の方が言っていたんですが、ミサイルってそんなに気候の影響を受けないんですよ。

北川 まあね、でかいですからね。

西脇 でかいし速いし、推進力がすごいので。

ドローンはめちゃくちゃ影響を受けやすい浮遊物なんですよね。

だからこそ、ドップラーライダーのような技術がないと、安全性、効率性が確保できないとは言っていました。

だから軍用よりは、むしろ民間のための需要がすごくあるんじゃないでしょうか。

 皆さん、メトロウェザーという会社でございますので、ぜひよろしくお願いします。

西脇 この地域(京都)の発祥の会社さんです。

メトロウェザーの方、もしかして今日いらっしゃいます?

鷲谷 いないですよね。

西脇 もしかして、鷲谷さんは今それに関与されているんですか?

(続)

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続きは 6. 理論物理学者が語る、みんなに知ってもらいたい超電導物質の話 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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