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6.一人ひとりのユーザーから得られるデータを大切に

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「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」8回シリーズ(その6)は、データが教えてくれるインサイト(気づき)を深掘りします。データを見る角度によっては、単なる「1PV」でもサービス改善の本質につながるデータになることもあります。その角度とは?ぜひご覧ください。

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ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、ジョブカン(株式会社Donuts)様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年9月5〜7日開催
ICCサミット KYOTO 2017
Session 1B
クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?
Supported by ジョブカン

(スピーカー)

大宮 英紀
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部
グローバルソリューション事業ユニット長

倉橋 健太
株式会社プレイド
代表取締役社長

東後 澄人
freee株式会社
取締役COO

宮田 昇始
株式会社SmartHR
代表取締役CEO

(モデレーター)

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役

「クラウド化とデータの活用で経営はどのように進化するのか?」の配信済み記事一覧

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最初の記事
1.クラウド・サービスの注目プレイヤーがデータ活用のリアルを語り尽くす!

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5.売上データの共有でスタッフの行動が変わる

本編


山内 少し話が戻りますが、クラウド・サービスのAI(人工知能)化と、それによる副次効果として、組織が変わるなどいろいろなことが起きると思います。

ウェブマーケティング、ウェブ接客は、まさにAI化が進んでいく分野だと思っていますが、倉橋さんはいかがでしょうか?

「人の介在価値」を高めるAI活用・データ活用を

倉橋 「KARTE(カルテ)」のリリース直後から、AI化の要望は非常にありました。

僕たちがリリースした直後くらいから、AIやディープラーニングがどう活用できるのか、というようにブームにもなっていましたので。

僕は大事なポイントが2つあると考えています。

(写真中央)株式会社プレイド 代表取締役社長 倉橋 健太 氏

1つは、いかに「良質なデータ」や「意味のあるデータ」から学習させられるか。

僕たちは、まだAIや機械学習的なアプローチはほとんどプロダクトには反映していません。

データが溜まり、良い環境ができるまで、要はもっとお客様に使っていただかない限り、有益なモデル構築というのは正直できないだろうな、と思っています。

なので、まずはAI化よりも、いろいろなプロダクトの使い方や、マーケティングのあり方を試してもらう環境を作ることに注力してきました。

以上がまず1つ目であり、僕たちが非常に重要視していることです。

山内 データ周りの話ですね。

倉橋 はい、そうですね。

もう1つは、僕たちは事業ミッションとして「データによって人の価値を最大化する」を掲げています。

ホームページのトップにも出しているのですが、結局のところ、人間の根源的な欲求として「介在価値」というのがあって、誰でも自分が何かしらのサービスや事業に貢献できていると、ものすごくモチベーションが高くなると思います。

ただその一方で、人の介在価値よりもAIや学習モデルによる自動化や効率化を進めていくと、あるタイミングから同質化が進むことになりうる。

山内 同じ答えを出していくことになると。

倉橋 そうなんです。

でもその前には、「伝えるべき価値」を作らなくてはならなくて、それが重要になっていくと思っています。

そして、そのコアの価値に対して、企業が抱える人材リソースや才能などをどのようにフィードバックするか、ということ。

それが上手くループするようなAIのあり方、支援のあり方というのが、僕たちのような立ち位置の企業が作っていかなくていけない環境だと思っています。

どんなデータを集めるべきか?

山内 お伺いしたいのですが、経営陣やビジネスリーダーから、「データについてどのように考えれば良いのですか?」というようなザックリしたことをよく聞かれます。

クラウドにしても、AIにしても同様なのですが、大抵の企業では今は使えるデータに限りがあるのでやれることも限られていて、「何でもやれます」というような状況ではないと思います。

将来的には、何らかの意図のもとに、何らかのデータを揃えて、何らかのオリジナリティあるサービスを、特にAIやクラウドで蓄えたデータを使って展開できればいいなと考えながら、その意図や意思を持たないままにデータを揃えようとしている会社が結構多いと思うんです。

そこで「じゃぁ、どういうデータを揃えておけば良いですか?」とよく聞かれるんですね。

何かその辺りで一言、経営者の皆さんにアドバイスなどはありますか?

倉橋 それは相当に難しいと思いますよ。

山内 「ケースバイケースです」と、いつも答えているのですが。

倉橋 そうですね、お客様と話していても、本当にバラバラなんです。

山内 バラバラですよね。

倉橋 同時に、データを溜めることとやその溜まったデータを分析すること、そういった手段の目的化が起きているシーンによく出会います。

目的のないデータ蓄積・分析の弊害

倉橋 大企業によくありがちなのは、「今はDMP(※)らしい、とにかくデータを溜めなければならない」というような発想です。

データ資産をどうやって構築するべきか?という話に対して、「とにかくDMPを作れ!」といった流れです。

▶編集注:DMP(Data Management Platform)とは、「データ・マネジメント・プラットフォーム」の略称であり、インターネット上の様々なサーバーに蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理、分析し、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するためのプラットフォームのこと。(Digital Marketing Lab

しかしDMPを作ることから入ると、結果的にやりたいことが出てきた時に、そのやりたいことと、蓄積している環境の整合性が取れなかったりする。

そうなると、資産であるはずのデータはまだ負債のままです。

溜まっているデータ云々の問題ではなくて、その「何を実現したいのか」がないことが、大半の問題を引き起こしているように感じています。

山内 「ところでこのデータって、何のために溜めているんだったっけ」みたいな話ですね。

倉橋 ユーザーの来訪数が多いサービスであればあるほど、プライベートDMPというような話が出ます。

経営層が見るデータも、現場のオペレーションで求められているデータも、今は「蓄積して定量化して何かに使っていく」というアプローチが主軸になっていて、そうしたアプローチと自動化・AIというのはすごくマッチしているのかなと思っています。

ただ、人間というのはそんなに分析は得意ではないと思いますし、往々にしてあるのが、マーケティングツールやデータ分析ツールに対して、人の能力を最適化してしまっているケースです。

そうすると、環境変化への耐性が企業としても個人としても弱くなる。

僕たちは、ツールに個人の努力を持って歩み寄るような環境を提供してはいけないと思っています。

すなわち、データの蓄積や分析方法などを意識せずに誰でもすぐにデータから何らかのインサイトを得られる、もっと直観的なサービスを提供したい、と。

たとえば、誰でもメールを書けるのと同じくらい簡単に、データを活かせている状態をどのようにしたら作れるのか、というのが命題だと考えています。

山内 直観的というのは、とてもプレイドさんらしいですね。

一人ひとりのユーザーから得られるデータを大切に

倉橋 そうですね、僕たちのサービスでは一人ひとりについてデータを溜めていきます。

なので、人がそのサービス上でどのように動いているかを全て計測できています。

そうなると、定量的な分析から入った時よりも、1人のお客様の行動を見た時の方が、得られるインサイトが圧倒的に多いんです。

僕たちはいわゆるドッグフーディング(自社製品を社員が日常的に使用すること)という形で、クライアントや新規のお客様を「KARTE」を使ってサポートしたりモチベートしたりしているのですが、ある日、KARTEのログイン画面で、パスワードを間違えて何回もエラーが出てログインできない人がいました。

そういったときに何かサポートできたら良いよねと考えるわけですが、アクセス解析ツールにおいてその動きは所詮1PVでしかないですよね。

山内 そうですね。

倉橋 解析ツールを通して1PVとして見るのと、人を軸にして見ることによる意味というのは全く異なります。

すごく定性的で、かつ直観的なところから、いかに定量の方にシフトさせるか。

100%喜んでいただける施策を必要な人に届け確実に成果をあげるというような、従来と逆の流れに可能性があるかなと思っています。

山内 データを上手く使えている会社や経営者を見ると、イマジネーションが湧いているパターンが多いです。

きちんと(定性から定量へ)逆算するんですよね。

かなり無駄なく設計していくので、何かその辺に鍵があるのかなと思います。

倉橋 もう1つ面白いのが、KARTEをサイト上での「(お客様との)インタラクション」のために使っていただくというケースの他に、「意思決定」のために使っていただくケースもあるということです。

たとえばBI(※)などをつなげて、人を軸にしたKARTEのデータからグラフィカルにビジュアライズし各層の意思決定を支援するというようなケース。

▶編集注:BI(Business Intelligence)とは、企業などの組織のデータを、収集・蓄積・分析・報告することで、経営上などの意思決定に役立てる手法や技術のこと。(Wikipedia

そのようなときによく感じるのは「上層部の方のほうがユーザー目線を持てている」ことが多いということです。

というのも、現場の方にとっては、ページ毎の担当者が決まっていたりだとか、広告で訪問客を呼び込んでくることが役割になっていたりと、オペレーションがかなり分断されているので、すごく狭い領域でのUX・ユーザーの体験を改善していくことを求められているケースが多い。

その点、経営者の方にとってはそのようなある種の思考の制約はないので、サービスとして自分の目にどう見えるか、というところからお話しされます。

やはりそこは、本来の姿が逆転してしまっているのかなという気がします。

ですので、オペレーションサイドも意思決定サイドも、いかにより俯瞰的に、かつ文脈的にユーザー軸で捉えられるかが大事です。

山内 俯瞰的、文脈的ということですね。

倉橋 はい、それが重要なのかなと考えています。

山内 ありがとうございます。

freeeさんは、いかがですか?

今後、クラウドからAIへという流れの中で、それによる副次効果・副作用がいろいろと出てくる世の中になってくると思うのですが、いかがでしょうか。

(続)

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続きは 7.人事労務の効率化のために、日本中のデータフォーマットの統一が必要(SmartHR 宮田) をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/戸田 秀成/本田 隼輝/尾形 佳靖/鈴木ファストアーベント 理恵

【編集部コメント】

俯瞰的にとらえるというのは、ビッグデータ解析やAIなどが得意なようで、実はそうではないこともあるということがよく分かりました。次回は、SmartHRの宮田さんが描くビジョンを語っていただきます!(尾形)

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