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スマートホーム機器のジェスチャーUIの標準を狙う東京大学発技術ベンチャー「エクスビジョン 」

スマートホーム機器のジェスチャーUIの標準を狙う東京大学発技術ベンチャー「エクスビジョン 」の森本さんのプレゼンテーションをぜひご覧ください。プレゼンテーションの動画も併せてご覧ください。

ICCカンファレンスでは「カタパルト」登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
「カタパルト」(10分間のプレゼンテーション)

(プレゼンター)
森本 作也
エクスビジョン COO

大学卒業後ソニーに入社、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に駐在。業務用機器の中近東営業本部立ち上げに携わり、中近東全域の市場開拓を担当したのち、休職し米国スタンフォード大学経営大学院(MBA)に留学。修了後マッキンゼー&カンパニー東京オフィスに入社し、モバイルを含むハイテク関係のプロジェクトに従事。約1年のフィンランド駐在を経験した後、シリコンバレーに本拠を持つベンチャー、カネスタに入社。カネスタアジア株式会社を設立し、アジア全域の市場開拓の責任者に就任。その後、商品企画担当シニアディレクターを兼務し、欧米を含む全世界の市場開拓、商品企画を担当。カネスタのマイクロソフトへの売却後、DeNAに入社。北米子会社であるDeNAグローバルにて新事業立ち上げ、PMI(Post Merger Integration)担当を経てグローバルHR室長に就任。DeNA退社後に東大情報理工学系石川・奥研究室のスピンアウトであるエクスビジョン株式会社取締役に就任し、現在に至る。

森本作也氏(以下、森本) よろしくお願いします。エクスビジョンの森本と申します。

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我々が1月にKickstarterでクラウドファンディングを行ったときのビデオをまずはご覧ください。

予算を省くために、出演しているのは私の娘なんですが、なんとか無事に役をを果たしてくれました。エクスビジョンという会社は、東京大学のコンピュータビジョンを専門とする石川・渡辺研究室のスピンアウトベンチャーです。

コンピュータビジョンというのは、動画や静止画をコンピュータで分析して、そこから画像の意味合いを認識したり、物体をトラックする技術です。我々は特にその中でもハイスピードコンピュータビジョン、縮めてハイスピードビジョンというという技術に特化しています。

ハイスピードビジョンは、通常のコンピュータビジョンと何が違うかというところですが、ここではボールをトラックする、画像で追尾する技術を例にしています。

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コンピュータビジョンでボールをトラックする場合、複数の画像を比較して、類似点、マッチングポイントを探して、「このボールとこのボールは同じものだ」ということを判断し、それを連続的に行います。

例えば、日ハムの大谷投手が時速160キロでボールを投げる。通常の画像は毎秒30フレームです。そうすると、フレームとフレームの間で、ボールは148センチ移動します。

カメラから見ると、フレーム1とフレーム2の画像というのは、全く違って見えます。

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となると、2コンピューターはビデオ画面全部をスキャンしなければなりません。そしてそれぞれのフレームでボールらしき画像を見つけ、じっくり比較し、ようやく、この2つのボールが同じものだと分かります。

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ハイスピードビジョンの例では、毎秒1,000フレームというハイスペックのものを使って比較します。同じように時速160キロで投げるとボールはフレーム間でわずか4.4センチしか進まない。

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カメラから見ると、2つの画像はほぼ同じ。

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ということは非常に狭い領域を探すだけで、マッチングポイントがすぐ見つかってしまう。つまり、フレーム1とフレーム2のボールは同じだとすぐ分かってしまう。結果として、ボールを認識するスピードがとても速くなる。同時に、精度と安定性良く物体を認識することが出来ます。

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さきほど見て頂いたように、我々は、ハイスピードビジョンをリビングルームのジェスチャーUIという形で最初の製品にしようとしています。

ご存知かもしれませんが、リビングルームのジェスチャーUIというのは決して新しいコンセプトではありません。

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マイクロソフトのKinectが1番有名なものですけれども、私は以前の会社がマイクロソフトに買収されて当時開発していた3次元センサーがKinect Ver2になったという縁があり、この市場に結構詳しいのですが、マイクロソフトに限らず、様々な会社が、ジェスチャーUI、ジェスチャー認識技術というものを世の中にリリースしています。

成功もあれば、失敗もあります。基本的に失敗の方が多いです。

なぜ、今ジェスチャーUIなのか?という問いがあると思います。

実は、グローバル市場に目を向けると、リビングルームを巡る戦いが非常に熾烈になっています。熱いです。最初の勢力が、伝統的テレビメーカー・プレイヤー、この人たちは既存のテレビ受像機に、インターネットとか様々な機能を付加することで、リビングルームの覇権を狙っています。

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それに対して、「いや、テレビの機能はどうでもいいじゃん、うちのデバイスをつなげれば、インターネットにつながるからそうしようよ」というようなアプローチをしているのが、ストリーミングデバイスチーム、チームな訳じゃないですけど、そういう人たちですね。

放送はあまり重要じゃなくて、ネットさえつながればいいじゃないか、という人たちですね。それに対して、「テレビもストリーミングも一体型にしちゃえばいいじゃん」というアプローチをしている人たちがいます。

この人たちの多くは中国企業なんですけれども、今日中国で売られているテレビの半数が、Androidを使ったスマートテレビです。

すでにインターネットならではのオンラインビデオの再生は当たり前で、テレビだけでゲームが出来たりもします。色んなアプリケーションをサポートしています。

それから、「ハードウェアはどうでもよくて、インターネットさえつながるならうちのチャンネルでビデオ見てよ」というオンラインビデオのプレイヤー方々がいます。

最後に「いや、インターネットだけじゃないでしょ、ゲームもしたいでしょ。だったらうちのデバイス。」というアプローチをしているゲーム機器メーカーの方々がいます。

これだけたくさんの世界の有力なプレイヤーが、リビングルームにおける覇権を握ろうと熾烈な戦いをしています。

僕の印象では、リビングルームにおけるデバイスって日本ではそれほど熱くない感じがするんですが、アメリカや中国ではこういう風になっています。ところが、リビングルームで圧倒的な勝者はまだ決まっていません。

モバイルの例を考えてみると、かつてBlackBerry、palmというデバイスが人気だった頃は、ビジネスパーソン向けのITツールだった。

これが、スマートフォン、iPhoneとAndroidの導入によって、台数も桁違いに伸びて、それはITツールというよりは、パーソナルプラットフォームに進化しました。

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これはモバイル革命と呼んでいいと思うのですが、この革命を支えた、成功に導いた1つの理由は、マルチタッチUIという革新的なUIだったことは、疑いがないと思います。

ということを考えると、さきほど挙げたスマートテレビ関係のデバイスというのは、現在のところテック好き向けの高機能テレビに過ぎないのですが、これが後々にリビングルームプラットフォームになるとすれば、その勝者は革新的なUIを握った者である可能性が高いと考えています。

我々は、その中で、ジェスチャーUIが最も革新的なUIに近いと捉えています。

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そこまで言うと、「いや、リビングルームの認識っていうのは音声認識で決まりじゃないの」と言う方がいっぱいいらっしゃいます。音声認識が優れた技術なのは確かですが、どこのメーカーの方に聞いても、音声認識で全てがまかなえるとは思っていない。

なぜかというと、言葉に出せない映画のタイトルやバンド名とか、声に出したくないタイトルだとか、そういうこともあったりするので、音声認識とジェスチャーの融合というのが、リビングルームのUIとして理想的だというのが共通の見解だと感じています。

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我々は、ジェスチャーUIとしては、我々のExvision Gesture System、EGSが、最も優れていると考えています。その理由は3つです。1つ目は、早くて正確で安定していることです。

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さきほどビデオで見て頂いたように、子どものとても速い動きにも追従して、しっかりトラックするし、遅延は少ないです。またビデオではお見せできませんでしたが、、3メートル離れたところから、タイプを打てるくらいの精度を持っています。

つまり、リビングルームでソファーに座りながら、テレビにタイプが打てる。これはすなわち、将来的には、SNSに使えたりもする可能性があると考えています。

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2つ目が、小型で安く、汎用的。

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ハードウェアの価格っていうのは、基本的にサイズと部品数に関係します。これ(上)が、KINECTのサイズです。これ(下)が我々の製品、ZKOOのサイズです。見てお分かりのように圧倒的に部品数が少なく、非常にシンプルな作りになっています。

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最後に、すぐ使える。我々のUIは、マルチタッチUIをそのまま再生しているので、既存のゲームを改造することなく、ジェスチャーで操作ことができます。つまりカメラを買ってもらった段階で、100や200のAndroidゲームやモバイルゲームをそのまま操作出来る、すなわち非常にスケーラブルであるという優位点があります。

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我々は、今後デバイスの価格を価格をどんどん下げて、同時に小型化を図っていきます。そうすると、現在視野に入っているのはスマートテレビですが、今後キッチンや洗面所用のPCに簡単に装着することができます。

その後、自動車、ロボットなどにジェスチャーが付加されることにはあまり疑いはない。さらにVRゴーグル、ARゴーグル、それからスマートウォッチのようなウェアラブルデバイス、最後にエアコン、照明、カーテン・ブラインドといった、今では電子機器ではないものまでもがジェスチャーで操作出来るようになる。

すなわち、スマートホーム機器のUIとして、ジェスチャーが機能するようになる。逆にスマートホーム、すなわちホームそのものがロボットとなり、その標準UIとしてジェスチャーが使われるとという言い方も出来るかもしれません。こういう風になったときには、我々が提唱している「Gesture of Everything」というコンセプトが完成すると期待をしています。

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以上です。どうも有難うございました。

(終)

プレゼンテーション終了後は第一線で活躍する経営者やベンチャーキャピタリストの方々と積極的な質疑応答が行われました。

(コメンテーター 一覧)
 ANRI General Partner 佐俣 アンリ 氏
 KLab株式会社 取締役副社長 COO 五十嵐 洋介 氏
 株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー COO 今野 穣 氏
 KDDI株式会社 戦略推進部長 江幡 智広 氏
 コーチ・ユナイテッド株式会社 ファウンダー 有安 伸宏 氏
 株式会社ドリコム 代表取締役社長 内藤 裕紀 氏
 freee株式会社 代表取締役 佐々木 大輔 氏
 ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長兼COO 岩瀬 大輔 氏
 ラクスル株式会社 代表取締役 松本 恭攝 氏
 YJキャピタル株式会社 COO・パートナー 堀 新一郎 氏

新しい産業をリードするトップリーダーが参加するコミュニティ型カンファレンスの特徴を最大限に活かした「カタパルト」は素晴らしい出会いの場となります。ICCカンファレンスではスタートアップのプレゼンテーションの場「カタパルト」の登壇企業を継続的に募集しております。スケジュールなどはぜひ募集ページをご覧ください。

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編集チーム:小林 雅:藤田 温乃

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