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急成長ファッションEC「SHOPLIST」はなぜ立ち上げ4年で取扱高150億円を達成できたのか?【F17-5C #4】

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「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」【F17-5C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その4)は、クルーズ張本さんに、ファストファッションEC「SHOPLIST」急成長のポイントやそのポジショニングをお話頂きました。立ち上げから取扱高150億円を達成した急成長ECの舞台裏です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 5C
「急成長する『SHOPLIST』『メルカリ』の本質に迫る」

(スピーカー)
小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役(当時)
「メルカリ」

張本 貴雄
クルーズ株式会社
取締役
「SHOPLIST」

(モデレーター)
齋藤 剛
SMBC日興証券株式会社
株式調査部シニアアナリスト

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【本編】

齋藤 ここで一旦、張本さんに話を振って、SHOPLISTのお話をして頂ければと思います。

張本 まず、自己紹介をさせて頂きます。

クルーズの張本と申します。

よろしくお願いします。

私は2007年の新卒で弊社に入りまして、ちょうど再来月で10年になります。

色々な事業を経験させて頂いた後、2012年にSHOPLISTを立ち上げまして、今、5年目です。

実際にSHOPLISTがどんな通販サイトなのかというと、レディース・メンズ・キッズと多様なジャンルを扱っている、ファストファッションがまとめて買える通販サイトです。

現状ですとブランド数が500超ありまして、商品数は22万点以上ですね。

そもそもなぜSHOPLISTを作ったのか、というところからお話したいと思います。

SHOPLISTが急成長した2つのポイント

張本 4年で年商150億円という急成長が良いのか悪いのかは置いておいて、急成長するビジネスにはポイントが2つあると思っています。

まず1つ目は、時代の流れとタイミングですね。

2つ目は、今あるサービスよりも便利なものなのかどうか。

この2つがキードライバーなのではないかと思っています。

「時代の流れとタイミング」について申し上げると、SHOPLISTが立ち上がったのが2012年なのですが、2008年にH&Mさんが日本の銀座に上陸し、2009年にFOREVER21(フォーエバー21)さんが原宿に来ました。

ZARAさんに関しては、1998年くらいに日本進出をしていたのですが、そもそもファッションという大きな括りの中で、「ファストファッション」というカテゴリーが確立され始めたのは2010年から2011年くらいだったと思っています。

そういった意味で、まず「時代の流れ」が1つ目のキードライバーだったのかなということと、2つ目に、「今あるサービスよりもより便利なもの」と申し上げました。

昔は商店街が沢山あったじゃないですか。

お母さんたちは、晩御飯の食材を買いに八百屋に行ったり、肉屋に行ったり、豆腐屋に行ったり、魚屋に行ったりと、色々なところを回っていくのですが、横にイオンができたらイオンに行く訳ですよね。

なぜかというと、便利だからなんですよ。

すごく単純な話で、今までの他社のプラットフォームで考えると、店子(「たなこ」。借家人のこと)毎に出展されていて、決済も、ポイントも、配送までもがバラバラでした。

インターネットがどんどん普及してきて、通販がどんどん普及していく中で、実際に最初は一人暮らしの方が多く使っていらっしゃいました。

ITリテラシーの高い方達ですよね。

でも、家にいる機会って少ない訳で、休みの日に3回もピンポン(呼び鈴)を鳴らされたら、さすがに嫌じゃないですか。

それに対して、SHOPLISTではまとめて買えて、まとめてお得にクーポンを使えて、まとめて配送してもらえるのです。

既存のサービスよりも少しだけ便利にしてあげた、この2つがキードライバーだったのかなと思っています。

SHOPLISTのポジショニング

張本 実際の「SHOPLIST」ターゲットは、ファストファッション志向の10代から40代の方達です。

僕が社内でよく言うのですが、弊社のサービスに似たようなサービスってあるのだろうかと。

インターネットでの競合、あるいはベンチマークしているサイトというのがあるかというと、正直ないんですよね。

実際には、シマムラさんや、GUさんに目を向けています。

「SHOPLIST」の立ち位置なのですが、縦軸が価格で、横軸が年齢なのですが、基本的にファスト価格で10代から20代がメインのサービスです。

価格帯でいくと、平均の商品単価が約1,800円ですね。

この前の決算でも数字が出ていましたが、大体2.56回、1回の買い物で買って頂けるので、約5,000円が客単価というようなサービスです。

現在のポジションマップなのですが、これは実際に2016年の8月4日に通販新聞さんより出された数字です。

ファッションのテレビ通販を除いているのですが、上位10社がマッピングされています。

実際、僕らが参入した時には、「ファスト価格」の領域というのは本当になかったんですよ。

ですから、楽天さんや、自社サイトをされているブランドさんにお声掛けをさせて頂いて、是非一緒にやらせて下さいというので立ち上げたのが「SHOPLIST」です。

実際の売り上げ規模ですが、初年度は22億円でした。その後、年を重ねていく毎に、70億円、100億円、150億円というような数字です。

直近第3 四半期が閉まりまして、第3 四半期までの数字が約150億円と。

この4年でどのように150億円まで伸ばしたかですが、冒頭にお話したように、より便利なもので、ユーザーさんが当たり前のように使って下さる、楽に使えるようなサービスを提供してきたことが一番のドライバーだったと思っています。

細かい話は色々とあるのですが、それはまた後でご説明させて頂ければと思います。

ZOZOTOWNとSHOPLISTの違い

齋藤 そもそもなぜ「SHOLIST」が伸びたのかと考えた時に、先ほどのマッピングがありましたけれども、すごく難しいじゃないですか。

例えば、ZOZOTOWNも、今、客単価の平均が5,000円くらいまで上がってきていますし、先ほどのマップにはありませんでしたが、楽天がいて。

今、楽天市場のファッションのところって恐らく5,000億円くらいあるんですよね。

中には同じレイヤーではないところもあるのですが、恐らく3,000億円くらい重複する部分があり、その中できちんと市場が作り始められていて、楽天からもシェアを奪えるポジションにいると思うのですが、そこに立ち得た理由というのは何なのでしょうか?

例えば、スタートトゥデイが2年前に、「ラブー」という、まさに「SHOPLIST」さんがされているマーケットに進出しようと思って、10か月でクローズしたということがあったんですよね。

それを大手がやったらできるのかというと、できないゾーンなのです。

こうやってきちんと伸びてきている背景には、何があるのですかね?

張本 「SHOPLIST」を立ち上げる1年前に、私たちは「クルーズモール」というモール事業を始めました。

それこそ食料品からコスメからファッションから、色々なものを扱わせて頂いて、事業開始から11か月くらいで閉じたんですね。

そのモール事業では、CROOZ blog(クルーズブログ)というブログサイトがありましたので、そこで広告を吐いて、お客様に広告を買って頂いてビジネスをしていました。

つまり、モール事業というのは、eコマース事業ではなくて広告事業だよねと。

そうするとキャップ(上限)が見える。キャップが見えるのだったら、違う事業をやった方がいいよねと。

そこで、「クルーズモール」にご参加頂いていた500クライアントの中で、最も流通が伸びているのは何なのかを見てみました。

コスメなのか、水なのか、日用品なのか、、、いや違う、ファッションだと。

では、ファッションで1つのモールを作りましょうというのが、きっかけです。

齋藤 FOREVER21が(SHOPLISTに)出たのは、昨年(2016年)末、11月でしたか。

個人的には、あれがすごく今後の地になると思っていて、例えば来年の取扱高の10パーセントがFOREVER21ということはないと思うのですが、今回FOREVER21が入ったことによってブランドも出やすくなるし、ユーザーも集まり易くなると思うのです。

そのあたりについて、今どんな画を描かれていますか?

入ってからどうなったかというのを聞いたら、僕は立場的にまずいので聞かないですけれども、どのような画を描いていらっしゃるのでしょうか?

張本 FOREVER21さんは、やはり認知度の高いブランドさんですし、日本だけではなく世界中で愛されているブランドさんなので、基本的に日本のブランドも、海外のブランドも、ユーザーが求めるものを僕らが提供していくという、そこの軸はぶらさないようにしようと思っています。

あとは、「ファストファッション」という領域ですね。

齋藤 その後GAPがZOZOTOWNに出たじゃないですか。

その違いというのは何なのでしょうか?

例えば、FOREVER21がなぜSHOPLISTを選んだのか、逆にGAPはなぜZOZOTOWNを選んだのか。

張本 ファッション領域において、基本的に日本で出さなければいけないプラットフォームが3つあると伺ったことがあります。

1つはアマゾン。

1つはZOZO TOWN。

1つはSHOPLIST。

では何が違うのかというと、抱えているユーザー層です。

僕らの中で先ほど冒頭にお伝えした、10代から20代の女性のユーザーというのは、なかなか獲りにくいのです。

広告をいくらかけてもなかなか獲れません。そこの層を僕らが集めていて、抱えているということを評価頂きました。その点で、あなた達のプラットフォームがすごく魅力的だとはおっしゃっていましたね。

齋藤 なるほど。分かりました。

SHOPLISTの手数料戦略

齋藤 それから、よいテイクレート(手数料)を頂いているじゃないですか。

そもそもなぜそういったレートが取れて、今後それが維持できるのかというと、利益をどう伸ばすのかというところにかかってくると思うのですが、そこはどのように考えればよいですかね?

張本 基本的に、商品単価から考えてやはり手数料というのはしっかり説明させて頂いています。

ブランドさんに是非ご参加くださいと申し上げる時に、何に幾ら使っているかというのをしっかりと明確にブランドさんにご説明すると、逆にブランドさんとしては納得頂けます。

あとは、僕が毎回ブランドさんにお伝えしているのは、率じゃなくて額で見て下さいというのをお伝えしています。

齋藤 なぜそういうことを申し上げるかというと、ZOZOTOWNが去年くらいから、SHOPLISTの領域のブランドを入れにいっているじゃないですか。

そうすると、ZOZOTOWNよりも手数料率が高いと思うので、その時に手数料が問題にならないのかなということを一つ思ったのと、ZOZO TOWNがそういう風に動き始めて、取扱高に何か変化が出ているのかなと、ちょっとお聞きしたいのですが。

張本 明確に言えるのは、手数料率がZOZO TOWNよりも高いという部分では、広告宣伝費でしっかり理由を説明できるんですね。

なぜ高いのかという理由をしっかり納得頂ければ、ZOZOTOWNと同じにして下さいよという話はブランドさんからするとないですね。

それこそZOZOTOWNさんに出店していて、うちの利益率がどうかというのは、正直変わらないですね。

多分買っているユーザーさんが違うんでしょうね。

既存のZOZOTOWNユーザーさんが、(SHOPLISTで)単価の低いブランドのものを買っているので。

齋藤 公開取材みたいになってきましたね(笑)。

張本 そうですね(笑)。

(続)

続きは ファストファッションEC「SHOPLIST」の独自の成長戦略 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/Froese 祥子

【編集部コメント】

SHOPLISTのポジショニングマップを見つつ、なんというか、ファッションECにもこのようなフロンティアが残されていて、それがどっかり空いていたのだなぁと思いました。成長市場とはいえ、ビッグプレイヤーが既に市場に確立されている中での実直な事業立ち上げに凄みを感じます(榎戸)。

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