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高栄養、簡単に生産できるコオロギで、サステナブルな食料生産に挑む「エコロギー」(ICC FUKUOKA 2022)

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ICC FUKUOKA 2022 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただいた、エコロギー 葦苅 晟矢さんのプレゼンテーション動画【高栄養、簡単に生産できるコオロギで、サステナブルな食料生産に挑む「エコロギー」」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 ゴールド・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポートいただきました。

【速報】未来を奪われた難民の、日本での活躍を支援する「WELgee」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト
– 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)

葦苅 晟矢
株式会社エコロギー
代表取締役CEO

株式会社エコロギー代表取締役CEO。1993年生まれ。早稲田大学商学部卒業。早稲田大学大学院先進理工学研究科一貫博士課程に進学後、早稲田大学朝日研究室にて昆虫コオロギの資源化、利活用に関する研究に取り組む。この研究成果をもとに2017年に株式会社エコロギーを設立。現在はカンボジアを拠点にコオロギの量産化、産業利用に携わる。2016年文部科学大臣賞受賞。2019年Forbes 30 Under 30 Japan選出。


葦苅 晟矢さん おはようございます、株式会社エコロギーの葦苅と申します。

よろしくお願いします。

なぜ、「コオロギ」なのか?

私たちエコロギーは、エコなコオロギを活用することによって、サステナブルな社会を作ることを目指しています。

なぜコオロギかと言うと、コオロギは有望な食料資源だからです。

コオロギは栄養価が高く、CO2排出が少ないというメリットがあります。

コオロギのメリットについてご存知の方、昆虫食について聞いたことのある方は既にいらっしゃるかもしれませんが、私たちは、新しいサステナブルの形を発信していきたいと思っています。

工場のようなところで集中的にコオロギを生産する会社が多いのですが、私たちは循環的に、分散的に生産する新しい仕組みを作っており、地球環境はもちろん、人間社会もサステナブルなものを作っていきたいと思っています。

現在、私たちは東南アジアの農家と連携してコオロギを作っていて、私も普段はカンボジアにいます。

カンボジアの農家にコオロギの生産方法を教えながら、農家からコオロギを買い取る仕組みであり、現在は50軒の農家と一緒に、分散的にコオロギを生産しています。

コオロギの可能性に気づき、本格的に研究

もちろん、最初からカンボジアでコオロギを作っていたわけではありません。

エコロギー創業のきっかけは、コオロギに可能性を感じた私が、2015年に自宅でコオロギの飼育を始めたことでした。

最初は虫かごで、数匹の飼育から始めました。

しかし気がつけばどんどん増えてきて、地球環境を守ると言っている場合ではなく、自宅が危機的状況になりました(笑)。

この経験を通じて私は、コオロギは、どこでも誰でも簡単に生産できる食料資源であることに気づいたのです。

この仕組みを分散的に広げていけば、自分が自宅でできたように、どこでもコオロギが生産できる世界が作れると思いました。

その後、もともと文系だった私は、勉強をし直して理系の大学院に進み、コオロギについて本格的に研究してきました。

研究成果をもってエコロギーを創業し、2018年には一旦研究者としてのキャリアは捨て、白衣を着るのもやめました。

コオロギは暖かいところでよく育つので、まずは2018年、半袖でカンボジアに単身渡ったのです。

大規模な設備投資不要、農村の副業として最適

この写真に写っているのは、私が初めて一緒にコオロギ生産を進めたSinonさんです。

Sinonさんとの交流を通じて、私はコオロギの生産が東南アジアの農村地域と相性がすごく良いことを確信しました。

コオロギの生産は、自宅の軒先でもできるのです。

ですから、工場に働きに行かなくても、家で子供の面倒を見ながら、副業的に生産ができるのです。

加えて、大きな設備投資も不要です。

例えばSinonさんの場合、コオロギの生産によって年間約2,000ドルの収入を安定的に得ることができるようになっています。

このように、副業としての価値を伝えることで、どんどん農家の信頼を得て、関係構築ができるようになってきました。

そして現在、50軒の農家とのネットワークを築いています。

東南アジアのフードロス削減にも貢献

いつでも柔軟に、コオロギを発注して生産してもらう仕組みができています。

加えて、左上の写真のように東南アジアでも多くのフードロスがありますが、日本よりもリサイクルが進んでいないので、写真にあるようなものが捨てられています。

私たちはこれらを回収し、コオロギの餌として有効活用する生産の仕組みを作っています。

高品質かつ他社の約半額の値段で提供

そして、生産したコオロギを食品として美味しく加工して提供しています。

実際、コオロギをこのようなパウダーやエキスにしています。

我々はコオロギを、エビやカニのような強い旨味のある加工品にする加工技術と、これらパウダーやエキスをグローバルに販売供給する体制を持っています。

コオロギを生産する企業はどんどん増えていますが、量産化に苦しむ日系企業、品質改善に苦しむ海外ベンチャーに比べて、高品質なのに半額ほどの値段で、約10倍の供給力のある製品を生産している唯一の企業が、私たちです。

よって現在、グローバルにビジネスを展開しています。

では、どういったところで私たちのコオロギが活用されているかというと、例えばレストランです。

東南アジアに数十店舗を持つ、Pizza 4P’sという有名なレストランから出る残渣でコオロギを生産しています。

それをもとに作ったコオロギパウダーを活用し、一緒に美味しいピザを販売しています。

日本のお菓子やペットフードの原料として展開

今年度は日本での展開も進めており、例えば豆菓子で有名な春日井製菓と、コオロギを活用したお菓子の開発を進めています。

発売はまだ先ですが、共同開発を進めるにあたり、春日井製菓と一緒に、新たに14軒のコオロギ農家を立ち上げている最中です。

この取り組みによって、18トンのフードロスを回収する計画です。

お菓子の原料になるエビの粉末をコオロギパウダーに置き換えることで、約800トンのCO2を削減できるソーシャルインパクトを一緒に生み出す取り組みであり、私たちはこういう仕組み作りを行っています。

そして、ドギーマンとコラボした、私たちのコオロギが使われたペットフード製品がいよいよ来週、発売されます(2022年2月21日に発売)。

ペットフードにも昆虫食 食用コオロギを使ったジャーキー | 株式会社共同通信社 (kyodo.co.jp)

コオロギは、人間の食品だけではなく、ペットフードにも活用できるのです。

こういった、一緒にソーシャルインパクトを生み出す取り組みを、メーカーと発信しています。

私たちは、お菓子だけではなく加工食品にもコオロギが使えることを伝えています。

そうは言ってもコオロギなんて食べないよ、という否定的な意見も多いのですが、今年から少しずつお問い合わせも増えています。

コオロギから生まれるソーシャルグッドな未来へ

コオロギから生まれるソーシャルグッドに共感頂ける、一緒に作っていくパートナーを今回募集したいと思っています。

食品だけではなく、ペットフードとしても、飼料としても、コオロギの活用の幅は広がっていきます。

そしてコオロギから生まれるソーシャルグッド、ソーシャルインパクトを一緒に作っていきたい、新しい産業に取り組んでいきたいと思っています。

4年後の実現に向けて、このようなゴールを持っています。

めちゃくちゃ大きい目標であり、カンボジアだけで達成するのは難しいと思っていますので、コオロギの生産供給体制をグローバルに広げていく必要があります。

私たちに共感頂ける方がいれば、まずはお話をするところからで構わないので、一緒に、オープンで、循環的で分散的な産業を作っていきたいなと思っています。

「地球と生命を健やかに」、エコロギー、どうぞよろしくお願いします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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