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日本古来の弔い方に基づく“終活サービス”で神社消滅問題の解決に取り組む「和布刈(めかり)神社」(ICC FUKUOKA 2022)

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ICC FUKUOKA 2022 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇し、見事4位に入賞した、和布刈神社 高瀨 和信さんのプレゼンテーション動画【日本古来の弔い方に基づく“終活サービス”で神社消滅問題の解決に取り組む「和布刈(めかり)神社」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 ゴールド・スポンサーのSIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)にサポートいただきました。

【速報】未来を奪われた難民の、日本での活躍を支援する「WELgee」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2022)


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト
– 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)

高瀨 和信
宗教法人 和布刈神社(めかり神社)
禰宜

1985年福岡生まれ。皇學館大学神道学科卒業。在学中の研修期間には伊勢神宮や太宰府天満宮など大きな神社だけでなく、地方の神社でも実習を経験する。2009年に西暦200年創建九州最北端に鎮座する和布刈神社に奉職し、2010年に32代目禰宜を拝命する。正月の収益のみに依存する現状に違和感を感じ日々の収益を安定させる施策として、2014年に今後の弔いの形の変容に対応すべく古来から執り行われていた「海葬(海洋散骨)」を開始し収益を8倍に増やす。中川政七商店のコンサルティングにより「神社をあるべき姿へ」というビジョンを掲げ、2019年12月、創建の由緒に基づきコンセプトや神紋、授与所などを新装。また、神主の担い手が減少する中で、優秀な人材を神道系の大学以外から雇用を開始し神主の資格取得を斡旋。今後の展開として「由緒×社会課題」に舵を切る。


高瀨 和信さん 皆様、こんにちは。

ここ福岡で神主をしております、和布刈(めかり)神社の高瀬と申します。

本日のテーマは、この2点です。

仏教が伝来する以前より執り行っていた、神社の弔いのあり方を完成させ、人口減少や超高齢化社会に対応するべく、日本古来の自然崇拝をかつてのような姿へ取り戻したいと思っています。

皆様、全国の宮司さんや各メディアを紹介頂けると嬉しいです。

「神社」と「お寺」の違いとは

まず皆様、神社とお寺の違いはご存知でしょうか。

簡単にご説明すると、祈りの対象が違うのです。

お寺とは、2500年ほど前にインドに実在したお釈迦様を開祖とする宗教であり、その説かれた教えを広めるところです。

日本に伝来したのは6世紀ごろだと言われています。

神社とは、私たちの遠い祖先は、暮らしの中で、自然や季節の移ろいを感じながら生活をしていました。

自然の力は神の働きによるものだと考え、生命の尊さを実感し、山や川、木や岩に神を祀り、自然を崇拝する場所として建てられたのが、神社です。

しめ縄が何を表しているか知っていますか?

しめ縄が良い例です。皆さん、神社でしめ縄を見たことがあると思いますが、何を表していると思いますか?

上の縄が雲で、白い紙が雷を表しています。

日本人は農耕民族のため、春に田植えをして、秋に収穫をします。

秋の収穫を知らせる自然現象が雷であり、自然が起こす脅威を神の働きと考えて、稲の妻つまり稲妻と呼び、神社の結界としてしめ縄を結んだのです。

日本人は昔から、自然とともに豊かさを追求し、日々の暮らしに感謝してきたことが伺えます。

コンビニの数よりも多い神社

対して現在は、豊かさを求めるのではなく、暮らしやすさに重点を置き、自然の尊さを感じる機会が減りつつあります。

神社が全国にどのくらいあるかと言うと、その数はコンビニの数よりも多いと言われています。

その中で神主のいる神社は2万ほどで、これはセブンイレブンの店舗数と同じくらいです。

本来、神社は、人生の節目を祝う儀礼や亡くなった方を弔うなど、冠婚葬祭を通して人知を超えた概念への敬意を示す機能を持つ場所です。

自然と共に命が生まれ、自然に還る。

私は、日本人が大切にしてきた、昔からある自然崇拝を取り戻したいと考えています。

2050年、神社仏閣3万社が消滅の危機

しかし現実には、2050年までに、人口減少などにより約3万社あまりの神社仏閣が消滅すると言われています。

九州だと、太宰府天満宮のように日本各地から人を集めるところもありますが、地域の方に支えられて運営している神社がほとんどです。

神社は賽銭・祈願・お守りの収益で成り立っている

こちらは私が入社する13年前の和布刈神社の収益についての表です。

多くの神社は、主に賽銭と祈願、お祈りの3つの収益源によって成り立っています。

特に、お正月の三が日に1年分の収益を確保し、それを12カ月で按分して運営している神社がほとんどです。

お正月の収益に依存することをやめない限り、消滅という結末が待っています。

なぜなら、人口が減少していくからです。

“第一次葬儀時代”の課題

人口が減少するのと同時に、高齢化が進んでいます。

今後も高齢化が進み、2040年になると、年間170万人が亡くなることになります。

これは、第一次葬儀時代の幕開けということになり、2025年には4人に1人が75歳以上に達すると言われています。

しかし一点、愕然たる事実がありました。

それは国内における高額な葬儀費用です。

葬儀費用の平均相場はどれくらい?知っておきたいポイントあわせて解説(りそなグループ)

全国の平均葬儀価格は156.1万円と、お寺へのお布施が約30万円で、日本だけ非常に高いです。

お隣の韓国でさえ、37万円です。

神社とお寺の収益モデルの違い

ここで神社とお寺の構造を比較してみましょう。

神社ではお祭りの際、今のビジネスモデルでいう「投げ銭」である寄付を募りますが、多くの収入は見込めません。

お寺の檀家は年に数回、決まった額をお寺に納めていて、これはいわゆるサブスクリプションモデルです。

主な収入源は、神社はお正月で、お寺は春秋のお彼岸と夏のお盆です。

どちらも、生まれてから亡くなるまで人生の節目を祝う儀礼、冠婚葬祭を行っていて、これが日々の収益源となります。

現在の国内の葬儀の9割が仏式

皆さん、神社でも葬儀を行っていることをご存知でしょうか。

神社で行う葬儀を、神葬祭(しんそうさい)と呼びます。

日本最古の史書である『古事記』にも、神々が神葬祭を行う様子が示されています。

現在の国内の葬儀の9割が仏式で行われていると言われていますが、この背景には、江戸幕府のキリスト教弾圧制度により、全員が寺の檀家になることを義務付けられたことがあります。

しかし仏教が伝来する以前は、葬儀は全て、神葬祭で執り行われていたのです。

葬儀費用はなぜ高額なのか

ここからは、葬儀費用がなぜ不明朗で高額と言われているのかについてお話しします。

まず、葬儀を行うには葬儀会館に支払う費用と、お寺に支払う費用が発生します。

こちらは大手葬儀社の見積の中で、本来必要のない、不明瞭なものを抜粋しました。

祭壇が非常に高いですが、祭壇は使い回しており、葬儀を3回すれば元が取れると言われています。

飾り付けられている袖のカーテン、音楽など、本来、発生しないだろうと思われる費用がたくさん加算されています。

葬儀社に支払う費用とは別に、お寺にはお経をあげる費用と戒名料が発生します。

戒名料とは、あの世に行くための名義書換料で約10万円かかります。

高額なものでは100万円ほどになるようです。

いかがですか皆さん、葬儀費用が不明瞭と言われているのも無理がありません。

神社が提供する人生の終い支度「終活」

私は思いました、人生の終末を神社で整えることができれば、と。

それが「終活」です。

当神社では、不明朗な葬儀費用を明確にし、人生の終い支度として必要な遺言、葬儀、散骨、納骨、その後の供養までを一括した「終活」サービスを、42万円で受け付けております。

和布刈神社 終活

これにより、収益の6割を「終活」事業が占めるようになり、お正月に依存することなく運営ができています。

この「終活」一括サービスを全国の神社に展開し、神社の消滅問題も併せて解決していけたらと思っています。

神社をあるべき姿へ戻したい

結びになりますが、当神社は、「神社をあるべき姿へ」というビジョンを掲げて運営に取り組んでいます。

私が奉職する神社だけではなく、全国の神社で一丸となって社会課題を解決し、神社のあるべき姿を取り戻していきたいと思っています。

応援よろしくお願いします。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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