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技術×デザインで、鉄フライパンの年間販売数18万個! 世界を目指す19名の町工場「藤田金属」(ICC FUKUOKA 2022)

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ICC FUKUOKA 2022 CRAFTED CATAPULTに登壇いただき、見事3位に入賞した、藤田金属 藤田 盛一郎さんのプレゼンテーション動画【技術×デザインで、鉄フライパンの年間販売数18万個! 世界を目指す19名の町工場「藤田金属」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポートいただきました。

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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICC FUKUOKA 2022
Session 8A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

藤田 盛一郎
藤田金属株式会社
代表取締役社長

1981年生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2003年に家業である藤田金属株式会社に入社し営業・開発を主に担当。2020年、四代目代表取締役社長に就任。2021年創業70周年を迎え、工場を見下ろせる自社SHOP「フライパンヴィレッジ」をOPEN。工場の見える化によりスタッフのモチベーションUPと品質UPを実現。商品では2019年は発売した「フライパンジュウ」がデザインと機能を備えたフライパンとして2021年に世界三大デザイン賞であるレッド・ドット・デザイン賞(Red Dot Award 2021)とiFデザイン賞(iFdesign award 2021)をW受賞。現在では金属加工の培った技術を活かしアウトドア商品からインテリア雑貨・園芸用品や文具・家具ツールといった幅広い分野に拡大し、海外にも力を入れています。


藤田 盛一郎さん こんにちは、藤田金属株式会社の藤田と申します。

藤田金属はキッチン用品の製造メーカーでして、主に鉄フライパンを作らせていただいております。

フライパンの年間販売数が10年前の約40倍に

まずは、こちらのスライドをご覧ください。

2010年度には年間4,700個ほどしか売れなかった鉄フライパンが、昨年、2021年度には18万個も売れるようになるまでを、本日はお話しさせていただければと思います。

先ほどお配りしたパンフレットにも掲載しておりますが、“「つくる」と「食べる」を1つにする”がコンセプトである、こちらのFRYING PAN JIU(フライパンジュウ)という商品をきっかけに、販売数と売上が伸びました。

FRYING PAN JIU(フライパンジュウ)については、のちほど改めてご説明させていただきたいと思います。

3つのこだわりで販売数を伸ばす

本日は、3つのテーマで、お話しさせていただきたいと思っています。

1つ目は「売り方」、2つ目は「デザイン」、そして、3つ目は「新カテゴリーの商品開発」です。

以上の3つを合わせることによって、販売数が伸び、売上も上がり、そして利益につながるというふうになっております。

大阪府八尾市で創業71年目の家業を継ぐ4代目

会社概要について、ご説明させていただきます。

弊社は、先ほどのICCサミット FUKUOKA 2022 Session 6A 「CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い -」で優勝された錦城護謨株式会社と同じく、大阪八尾市にあります。

今年で71年目を迎え、社員数19名で、製造業にしては平均年齢が非常に若く、35歳です。

私自身は、4代目社長で、41歳を迎えました。

金属で、軽い・優しい・便利を叶えるものづくり

スローガンは「これまでの暮らしを豊かにする金属」です。

私どもが作った商品がご家庭に入ることによって笑顔をもたらしたり、便利さを感じていただければと思って、ものづくりをしております。

赤字続きの厳しい時期を経験

こちらの写真は10年前のものですが、私の父親であり現会長の藤田 俊介です。

10年前は非常に厳しい時代で、毎月赤字が続いておりました。

当時は、従業員の給料も銀行のお金をかき集めて払うような状況でした。

主な販売先はホームセンターや量販店で、価格にも厳しく、また、売れる商品を作ると、半年後には中国製で同じ商品が出てくるといった、なかなか厳しい状況が続いていた時代でした。

ヘラ絞り加工で約20%の軽量化を実現

そのときに、私どもに残っていたのは、技術でした。

こちらのフライパン製造の動画を、ご覧ください。

通常、フライパンは「プレス加工」という、型を抜いて作るパターンが多いのですが、私どもは「ヘラ絞り加工」という方法を用いております。

▶編集注:プレス加工とは、鋼や銅、アルミニウムなどの鋼板に、金型を非常に大きな力で押し当てることによって、鋼板を変形させる加工方法。ヘラ絞り加工とは、素材となる金属を高速で回転させて、ヘラと呼ばれる棒を押し当てることで形を作っていく加工方法。

ヘラ絞り加工は、板の奥側にある金型のほうにローラーを押しつけていく加工方法です。

こちらの加工方法を用いることによって、側面が薄く仕上がります。

鉄フライパンは、どうしても重いというデメリットがありますが、こちらのヘラ絞り加工によって約20%の軽量化を実現することができました。

そうすることで、お客さんにとって使いやすいフライパンを作っております。

独自の焼付加工によって油ならしが不要に

そして、もう1つの特徴である加工方法が、こちらの「焼付加工」です。

鉄フライパンについて、「サビやすいでしょう?」「こびりつきやすいでしょう?」「お手入れが難しいでしょう?」といったお声があるかと思います。

私どもは、工場においてバーナーですべて真っ赤になるまで焼付加工をし、その後にオリーブオイルで油をなじませることによって、初めから使いやすい鉄フライパンを作りました 。

フライパンのお手入れ方法(藤田金属)

こちらの加工(ハードテンパー加工)自体は、日本で唯一、弊社のみが行っております。

以上の2つの加工方法を主に用いて、鉄フライパンを製造しています。

1040通りにカスタマイズできるフライパン

では、先ほど申し上げた本日のテーマの1つ目である「売り方」について、ご説明いたします。

フライパンはできあがった商品として届くのが当たり前かと思いますが、私たちはカスタマイズフライパンとして、材質やサイズ、持ち手、色などをひとつひとつ選んでいただいて、お客さんに合ったフライパンを作るという売り方を始めました。

そうすることで、ひとつひとつお客さんに合ったフライパンを作ることができるのですが、一方で、反発もありました。

現場の工場から、「ひとつひとつ対応するのは無理だ」と言われたのです。

しかし、必ずニーズはあるという確信があり、法人向けのオリジナル商品の製造を始めました。

オリジナル商品を1個から作りますと発信したところ、大手食品メーカーやテレビショッピング、アパレルメーカーとのコラボレーションにつながり、フライパンの販売数が伸びていったという流れです。

食卓にそのまま出せるスタイリッシュなデザイン

続いて、2つ目のテーマである「デザイン」について、ご説明します。

冒頭でご紹介して、今、順次回覧していただいている、こちらの「FRYING PAN JIU(フライパンジュウ)」は、ハンドルを簡単にスライド着脱できます。

昨年(2021年12月末)、販売数は3万個を突破しました。

できあがった料理を熱々のまま卓上に出していただけるのが最大のメリットで、かつ、洗い物を1つ減らせるという商品です。

サイズに関しましても、現在、5種類ほどの様々な大きさがありまして、最近ではアウトドアでもご活用いただいています。

そして、購入されたお客さんがあらゆるSNSで発信してくださることによって、売れ続けている商品です。

そのため、この商品につきましては、広告宣伝費を一切かけることなく、売上を伸ばしています。

世界三大デザイン賞をW受賞

また、昨年、レッド・ドット・デザイン賞2021iFデザインアワード2021賞という世界三大デザイン賞のうち2つの賞を、W受賞させていただきました。

その後に、テレビ・雑誌・WEBなど様々な形で取材を受けまして、そちらも連動して売れ続けているという流れです。

テーブルランプやプラントポットを開発

そして最後に、「新カテゴリーの商品開発」についてです。

昨年、LED照明「TABLE LAMP ICHI」や植木鉢「PLANT POT HACHI」を発売いたしました。

これらの商品で弊社を知っていただき、その後に、私どもがフライパンも作っていることを知っていただくきっかけとなっております。

そうすることで、フライパンの売上にもつながるという形です。

新カテゴリーの商品開発につきましては、今後、文具や家具など様々な分野において、金属加工の商品を作っていけたらと思っております。

自社工場内に直販ショップをオープン

こちらは、私たちの工場です。

工場には、昨年、直販ショップもオープンしました。

また、工場の様子を、上階の直販ショップから実際に見下ろせるような環境を作り、製造背景をお客さんに発信していく取組みも行っています。

もちろん、直販ショップでフライパンも購入していただけます。

現在、YouTubeにて24時間工場生配信といった試みも行っております(※) 。

▶編集注:現在は終了していますが、FUJITA KINZOKU 製造工場 LIVEにて、約12時間にわたる工場の様子が見られます。

19名の町工場から世界に向けて挑戦

19名の本当に小さな会社ではありますが、鉄フライパンは本当に環境に優しく長持ちする商品ですので、今後は、そういったものを作り続けて世界とどこまで戦えるかという挑戦をしていくことで、100年企業を目指していきたいと思っております。

創業者である祖父は、現在102歳で健在でございます。

また、ともに働いている弟2人とも、今のところ、仲良く仕事をしております。

もめないように、兄弟3人で力を合わせて、今後もやっていきたいと思っております。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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