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世界最大級の植物工場で農業問題を解決する – 注目のベンチャー特集「ファームシップ」(1)【K16C-FRM #1】

大規模な植物工場で農業問題を解決する「ファームシップ」安田 瑞希さんのプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。ファームシップはスタートアップコンテスト「カタパルト」で優勝しました!(その1)は、そもそも植物工場とは?という概要とそのビジネスモデルについてお話し頂きました。2016月9月6日・7日に開催したICCカンファレンス KYOTO 2016スタートアップコンテスト「カタパルト」プレゼンテーションの書き起こし記事です。

スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「カタパルト(CATAPULT)」のオフィシャル・サポーターです。

本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「社会起業家」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。

登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」
Session 1B
CATAPULT(カタパルト) -スタートアップコンテスト -
Supported by IBM BlueHub
 
(プレゼンター)
 
安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
http://farmship.co.jp

1981年3月福岡県生まれ。明治大学農学部卒業。公認会計士。
大学にて施設園芸を専攻し、卒業後渡米。米国オレゴン州のOregon Roses, Inc.にてバラの生産管理及び販売業務に従事する。帰国後、新日本有限責任監査法人の国際部にて監査業務及び内部統制のアドバイザリー業務を通じて、大手総合商社のグローバル監査を統括。退職後、ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン社の経営企画、事業開発マネージャーとして事業推進を行う。その後、大規模植物工場事業運営会社の、事業企画責任者として、国内外の事業開発及び経営管理を担当。2014年3月ファームシップを設立し、同社代表取締役就任。福岡の実家は花卉専業農家。

安田瑞希氏(以下、安田)はじめまして、ファームシップの安田と申します。

宜しくお願いします。

私は35年前、専業農家の長男として生まれました。

農業とは、皆さんがご存じの通り様々な課題を抱えています。

でもこれは35年前から全く変わっていません。

私は農家を代表し、これらの課題を正面から解決していきたいと思いファームシップを設立しました。

どのようにこの課題を解決するか考えたとき、私達が選んだソリューションが植物工場でした。

植物工場に馴染みのない方もいらっしゃるかと思いますが、写真のような工場です。

大きな建物の中で環境を完全に制御し、大量の野菜を生産し、消費地に届けるといったビジネスです。

こちらは工場のシステム概要図です。

工場には地上部、地下部とあり、地上部で温度、湿度、CO2を制御し,地下部で養液濃度等様々なものをセンサーで計測し、自動制御する仕組みです。

植物工場は安全な食料の安定供給を実現

なぜ植物工場なのか?

簡単に言うと、この植物工場を利用すれば農業の抱える課題が沢山解決できるからです。

その中でも今日は二つポイント紹介したいと思います。

一つ目は、安全な食料の安定生産です。

植物工場は、大きな建物の中で外界の影響を受けず野菜を育てることができ、栽培環境を管理することができます。

例えば、中国ではどのように野菜を育てているか分からないといった問題があり、食の安全が問われていますが、このシステムにより食の安全を担保することができると考えています。

植物工場で作られる野菜は、人工光を用いて養液栽培を行います。「この栽培方法は本当に安全なのか?」のような質問を良く受けますが、味は基本的に品種固有のものであり、作り方の影響は少ないです。

栄養素は露地栽培(編集注:通常の耕地で作物を栽培する農法)よりもむしろ高いほどで、この栽培法による安全性に問題はありません。

二つ目は生産性です。

農業は基本的に規模の経済が働きますが、露地栽培は土地の制約を受け、生産性を上げることが難しいです。

一方、植物工場は棚を積み上げることができるので、大規模に取り組むほど生産性が高くなります。

私達が推計した数値になりますが、植物工場は土地の生産性が非常に高く、少ない農地で大規模生産が可能なため、露地栽培と比べ60倍から70倍生産性が高くなります。

植物工場はビジネスとして成り立つのか?

では、この植物工場ビジネスとして成長するでしょうか?

これは私たちの事業シミュレーションと実績です。先ほどお伝えした通り植物工場は規模の経済が働くビジネスです。

例えば20億円をかけ植物工場を建設します。

1日100円のレタスが毎日3万株生産されます。365日種を植え、収穫、出荷すると、1日300万円、年間では10億円の売り上げとなります。

減価償却後の営業利益でも2.5億円(売上に対して25%)と大きな利益を生み出す工場となります。

ファームシップのビジネスモデル

この植物工場というツールを使い、ファームシップは何をしているのか?

私達創業メンバーは、他会社で植物工場の大規模な収益化を成功させたチームです。このノウハウを日本中、世界中で展開していきたいと考え独立しました。

弊社の希望としては最初から大規模な植物工場を20億円位かけて建設し、植物工場のビジネスに取り組みたかったのですが、そのようなお金はありませんでした。

そのようなお金があればここ(スタートアップ・コンテスト「カタパルト」)にもいません。

そこで選択した道がコンサルティングサービスとオペレーション受託サービスを行うことでした。

私達には植物向上の運営ノウハウがあり、野菜の売り方を知っています。

植物向上を自前で建てるのはとても体力(資金)が必要ですが、まずはコンサルティング+オペレーション受託のビジネスから始めることにしました。

私達が手掛けた一号目の案件が、「富士ファーム」です。

【参考資料】
イノベタス社が世界最大級のオールLED完全閉鎖型植物工場「富士ファーム」を公開  ファームシップが生産から販売までを総合支援

ここでは日産1万2,000株、完全LEDの植物工場としては現在稼働している工場の中で世界最大級となります。

ここで何を取り組んできたか?

写真にある全てを行ってきました。一つ一つのオペレーション作成、働く人材の派遣、野菜の生産、商品のブランディング、販路開拓、バイヤーとの関係構築。

これらにより都内で1,000店舗超の販売網を獲得しました。

泥臭い仕事も沢山行いました。

私達はこの案件を通し、業務を展開する素地を作り上げました。現在はこのオペレーション受託モデルの拡大(横展開)を図っています。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鎌田 さくら

続きは 注目のベンチャー特集「ファームシップ」(2) - 大規模植物工場を運営する独自システムと流通網 をご覧ください。

【編集部コメント】

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