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スマホに装着するデバイスで、世界の失明50%減を目指す「OUI Inc.」(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただいた、慶應義塾大学医学部眼科学教室 / QUI 清水 映輔さんのプレゼンテーション動画【スマホに装着するデバイスで、世界の失明50%減を目指す「OUI Inc.」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。

【速報】眼科医の眼をスマホに装着「Smart Eye Camera」のOUI inc.がリアルテック・カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 4A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by KOBASHI HOLDINGS

清水 映輔
慶應義塾大学医学部眼科学教室 特任講師
OUI inc. CEO

2013年慶應義塾大学医学部卒、眼科専門医・医学博士(同大学で取得)。東京歯科大学市川総合病院、慶應義塾大学病院など勤務。眼科医として、ドライアイや眼アレルギーを専門とし、特に自己免疫疾患関連の重症ドライアイに関して多数の臨床研究や基礎研究の実績をもつ。2016年に同級生の眼科医3名とOUI Inc.を起業、ベトナム無料白内障手術ボランティア参加をきっかけに、医療現場の課題となるニーズを発見し、帰国後に、安価で誰でもどこでも眼科診察が可能な「Smart Eye Camera」を発明、学術化の後に医療機器として、実用化に成功した。現在、慶應義塾大学医学部眼科学教室特任講師兼任。2020年 国際失明予防協会 The Eye Health Heroes award・第十四回日本シェーグレン症候群学会奨励賞・2018 ARVO/Alcon Early Career Clinician-Scientist Research Award等受賞。


清水 映輔さん 皆さんこんにちは、OUI Inc.(ウイインク)の清水映輔と申します。

医学×ビジネス×工学の慶應義塾大学発ベンチャー

私は、OUI Inc.という会社を経営しながら、慶應大学病院の眼科で眼科医もしています。

専門はドライアイです。

OUI Inc.は慶應大学の眼科医の矢津、明田、僕の3人で起業した会社で、ここにビジネスチームと医療機器、AIのエンジニアチームが加わりました。

医学、ビジネス、工学が連携した会社です。

2025年までに世界の失明を50%減らす

僕たちがやりたいことは、「世界の失明を半分にすること」です。

これを、日本のベンチャーがやりきります。

失明の原因の半数以上は本来治療可能な「白内障」

「失明」とは目が見えなくなることで、失明した方は世界に3,600万人います。

原因は分かっており、このうちの半分以上は「白内障」という病気からです。

皆さん、白内障は聞いたことがあると思います。

ご家族が白内障の手術をして見えるようになったということがあるかもしれません。

日本では白内障での失明はほとんどありませんが、海外ではそもそも目を診る習慣もなく、手術も受けられないのです。

そのため失明している方が増えており、今後30年でこの数字は世界で3倍になると言われています。

視覚障害者の数、世界で「2050年までに3倍」に 2017年8月3日(BBCニュース)

関連して、視覚障害を持つ方も世界に22億人いて、これによる経済損失が720兆円だと言われています。

視力に関する初めての世界レポート発行(日本WHO協会)

SDGsでも「すべての人々に対する、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成する」と謳われており、WHOも「世界の人々は平等に診療を受ける権利がある」と言っています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(日本協力機構)
▶参考:SDGグローバル指標(SDG Indicators)3:すべての人に健康と福祉を(外務省)

目が見えなくなると社会生活が困難になりますが、白内障の場合は手術をすればそれが解消できるのです。

スマホアタッチメント型「スマートアイカメラ」を開発

世界の失明がどんどん増えているのは、「眼科医がいないこと」と「医療機器がないこと」が理由です。

僕たちはそのソリューションとして、「スマートアイカメラ(SEC)」を開発しました。

スマートフォンのアタッチメント型で、3Dプリンターで作った機器に光学レンズをはめ込んで作っているためコストも安く済みます。

これをスマートフォンにつけるだけで、眼科の細隙灯顕微鏡という機器と同等の性能を持つ診断機器になります。

Smart Eye Camera が既存の眼科医療機器と同性能と証明 白内障の診断に関する臨床論文がDiagnosticsにて公開(PR TIMES)

病院に行って大きな機器で診断しなくても、スマートアイカメラとアプリを使うことで、場所を選ばず、簡単に診療が行えるようになります。

簡単にデモをします。

今、皆さんが見ている僕の目の画像は、眼科医が診ている目の画像と同じです。

これだけで診断ができるのです。

眼科では100%画像診断なので、D2D(Doctor to Doctor)でチャットし画像解析をします。

また、論文執筆をしているところですが、白内障のAI診断も行う予定です。

スクリーニング・遠隔医療に活用

国内では、スマートアイカメラを使った病院やクリニック、遠隔地での保険診療のスクリーニング、人間ドックや企業検診に活用予定です。

それで患者をスクリーニングし、オンライン診療、遠隔診療を行います。

これらは保険診療となります。

活用例①眼科医不在の三宅島の遠隔医療

実例として、三宅島にある1 台を紹介します。

三宅島は人口2,500人ですが、眼科医はいません。救命救急医が2人のみです。

彼らにスマートアイカメラを使ってもらい、チャットで診断結果を返信しています。

活用例②マラウイでのスクリーニング

僕たちがやりたいことは「世界の失明をなくす」ことなので、海外のスクリーニングと送患システムの実証実験を始めています。

例えば2年前からアフリカの最貧国と言われるマラウイで遠隔診療とAIでのスクリーニングを行い、提携病院での手術につなげています。

20191206 Smart Eye Camera アフリカ初上陸!!

国内市場から海外市場に横展開

まずは日本でビジネスをきっちり作り、それを海外に横展開する予定です。

つまり、保険診療が非常に発展している日本で新たな患者をスクリー二ングできれば、海外でも同じことができると思いませんか?

日本だけでは720億円程度の規模ですが、スマートアイカメラ販売とアプリ使用料によって稼いだお金を使い、海外に展開することを考えています。

スマートアイカメラが海外進出できる理由

最後に、なぜこれができるかを説明します。

まず僕たちは眼科医なので、眼科医のニーズを理解しています。

僕たちはスマートアイカメラやアプリについて、エビデンスファースト、つまり科学的根拠に基づいた論文を提出することで海外に広めようと思っています。

スマートアイカメラはもう既に日本の医療機器になっており、僕たちも実際に今使っています。

そして国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)のファンディングと、海外の国際金融公社(IFC)のファンディング等で約1億円の公的資金を頂き活用しています。

令和2年度 「開発途上国・新興国等における医療技術等実用化研究事業」の採択課題について(AMED)

OUI Inc.が、国際金融公社(IFC)のTechEmerge Health East Africaに採択〜ケニアの地方部と都市部をつなぐ眼科遠隔診断モデルを構築〜(PR TIMES)

実証実験は慶應大学だけではなく、アメリカのジョンホプキンス大学など世界の色々な国で行われており、我々は在ブラジル日本大使館の後援を受けインディオでの眼科健診を行う予定です。

OUI Inc.がブラジルの現地NGOと共同でインディオ(先住民)向けの眼科支援プロジェクトを発足ブラジル日系人が運営する医療NGOとの共同プロジェクトを在ブラジル日本大使館も応援(PR TIMES)

スマートアイカメラは簡単に使えるので、マラウイの先生にも高評価を頂いています。

日本発で2025年までに世界の失明を50%減らす

AIで白内障があるかどうかや、撮影時の位置情報も分かるので、疫学調査にも使えます。

眼科医にとって失明とは、内科や外科の先生にとって患者さんが亡くなることと同義です。

我々のデバイスを使って、世界の失明を救っていきましょう。

ぜひ失明を減らして、私たちと一緒に明るい世界を創っていきませんか。どうぞよろしくお願いいたします。

当日のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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