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「建ロボテック」は、人と共に働く鉄筋結束ロボットで建築現場の労働力不足を解決する(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 リアルテック・カタパルトに登壇いただいた、建ロボテック 眞部 達也さんのプレゼンテーション動画【「建ロボテック」は、人と共に働く鉄筋結束ロボットで建築現場の労働力不足を解決する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS にサポート頂きました。

【速報】“小さな水インフラ“で世界の公衆衛生をアップデートする「WOTA」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 2A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

眞部 達也
建ロボテック株式会社
代表取締役

1976年生まれ。香川県生まれでうどんを離乳食に育った生粋のさぬき人。高校を卒業し、自分を表現できる仕事だと考えて辻調理師専門学校へ。卒業後に、いくつかのレストランで修行を積んでいたが、シェフとの軋轢により一旦退職し次の修行先を探す中で、父親が経営する建設工事会社の都島興業を手伝う。倒産の危機に経営者交代を銀行より課せられ、経営者として財務状況の改善と企業発展を行い、現在は優良企業として評価を受ける会社へと立て直した。現場での様々な問題を解決するためにEMO(株)を設立し、トモロボ開発を機に建ロボテック(株)へと名称変更。世界一ひとに優しい建設現場を実現すべく、疾走中。


眞部 達也さん 皆さん、こんにちは。

建ロボテックの眞部と申します。

人と共に働く鉄筋結束ロボット「トモロボ」

本日は、人と共に働く鉄筋結束ロボット「トモロボ」をご紹介したいと思います。

ちょっと勢い余って、香川県(建ロボテックの所在地)から車に乗せて、トモロボを持ってきてしまいましたので、ぜひご覧いただければと思います。

今年の夏は本当に暑いですね。

今日も外は本当に暑いのですが、建設の現場では、体感温度が50℃にもなると言われています。

そんな中で、今も建設現場では、この写真の方と同じ年代の方たちがたくさん働いています。

2025年には建設現場の働き手が35万人以上不足する

そして、建設現場の労働力が2025年には35万人以上不足するといわれていることをご存じでしょうか?

建設現場だけではなく、農業なども同じ問題を抱えています。

問題は高齢化だけではなく、建設作業員には30歳未満の若い年齢の方々が11%しかいません。

そしてその多くが、外国人研修生なのです。

市場規模が50兆円にもなる建設産業が、ものすごいスピードで「創る力」を失っていっています。

私たちは、そんな問題に立ち向かうべく、この「トモロボ」を開発いたしました。

建設現場の労働力不足問題を解決へ「トモロボ」

まず「トモロボ」がどんな仕事をするのか、ご覧いただきたいと思います。

このロボットは、人と一緒に安全に働くことができるロボットです。

「トモロボ」が人を追いかけていますが、鉄筋を結束する作業を行っています。

針金で棒の交点を留める作業を黙々とやるロボットなのです。

鉄筋結束とは?

鉄筋結束とはどういうものなのかご説明します。

建物は、梁や柱や床でできています。

「トモロボ」は、この「床」に特化したロボットです。

コンクリートを打つ前の建物の床は、鉄筋と呼ばれる棒がこのようにたくさん並んでいて、交点が無数にあります。

その交点の50%以上を針金で固定しなさいという決まりがありまして、これを、田植えをするときのような姿勢でずっとやっていくのが、「鉄筋結束作業」です。

鉄筋工の元職人としての経験

実は私は鉄筋工の元職人で、現場のことがよく分かっています。

私が鉄筋工をやっていた頃、結束はほとんどが手作業でした。

2013年にブレイクスルーが起きて、電動工具が誕生します。

そして2017年に新しい機種が出たのですが、これが素晴らしい機種で、職人と同等レベルの結束をします。

手作業の様子の動画です。これは実は私がやっています。私は左利きなのですが、このようにくるくるっと回すのです。

これは結構練習が必要で、見た目以上に難しい作業です。

これが鉄筋結束機です。

トリガーを引くだけで一瞬で結束してしまいます。

この鉄筋結束機を、「トモロボ」には2台左右に持たせています。

「トモロボ」は言わば、「人間の代わりに電動工具を使うロボット」なのです。

スタートボタンを押すだけ、自動で交点を探し結束

現場では、設計によって鉄筋の並びの幅が変わってしまいます。

それに合わせて、幅が変化します。

その上、交点はセンサーで探していますので、現場に置いてスタートボタンを押すだけで、勝手に結束を始めていきます。

このように、道具の延長のような簡単な機械なのです。

だからこそ現場で使えるものなのです。

「トモロボ」開発で苦心した鉄筋上の走行

これが開発した1号機です。

現場で全然走りませんでした。

現場の鉄筋はふにゃふにゃしていて、人が並べているので1cmや2cmの誤差は当たり前です。

そんな鉄筋の上をロボットが走るのはなかなか難しいことで、我々は本当に苦労しましたが、ロボットの中に「やじろべえ」を仕込むことで走行の問題を解決しようとしました。

ロボットの中が三つのユニットに分かれて、それぞれが踏ん張っています。

そしてこれが現場でゆらゆら揺れている様子ですが、本当に綱渡りのようにバランスを取りながら走っているのです。

「トモロボ」で床作業の約37%を省力化

「トモロボ」は、鉄筋の床作業の40%を占める結束作業の80%を行うことができます。

全体の床作業ですと、37%を省力化できるのです。

現場の声から製品化「トモロボスライダー」

開発後さまざまな場所でテストを行ってきました。

そこでいただいた声を「トモロボ」に反映させて、さらに進化させます。

その一つが、2020年7月に発売を始めた「トモロボスライダー」です。

これまでは「トモロボ」が鉄筋の端に来たときに、2人で「よいしょ」と両側から手で持ち上げて横移動させなければいけませんでした。

「トモロボスライダー」は「トモロボ」の横移動を補助する装置で、「トモロボ」は「トモロボスライダー」に自動で乗ることができます。

そして「トモロボ」を持ち上げずに1人で簡単に横の鉄筋にスライドさせることができます。

これによって、1人のオペレーターでたくさんのロボットを運用できるようになったのです。

これは「密」ではないですよね、動かすのは1人ですから。

1人でたくさんのロボットを運用できます。

これで大きく生産性が向上しました。

市販の鉄筋結束機を利用して安価に提供

「トモロボ」は本体に市販の電動工具を取り付けるという、かなり割り切った開発(※)をしています。そのため、かなり安く提供できています。

▶編集注:「トモロボ」はMAX社の鉄筋結束機RB-440Tを左右に2台を取り付けるだけで、鉄筋結束作業を自動化できるロボットになる。専用アダプターを使用し、ワンタッチで取付が可能。

最低賃金の年間コストと同額で、人の1.3倍ぐらい仕事をします。

全国の現場で「トモロボ」30台が稼働中

多くの企業さんに全国の現場で使っていただいて、30台が使用されています。

今それがガンガン動いています。

六本木ヒルズなら、結束人員が4分の1以下に

結束作業をイメージしていただくために六本木ヒルズで例えると、六本木ヒルズは東京ドーム15.5個分の延べ床面積があります。床の鉄筋には3,212万カ所の交点があり、50%以上の結束と定められているので1,600万カ所の結束が必要です。

これを人力でやると2,600人、「トモロボ」を使うと600人でできるのです。

海外から複数の問い合わせも

実は鉄筋結束の方法は、世界共通です。

世界で同じことが行われています。

海外需要で考えると5兆円ぐらいを見込んでおり、今すでに海外から複数の問い合わせをいただいています。

来年ラスベガスで行われるWorld of Concreteという、世界の建設用設備が集まる見本市にも出展予定です。

またメディアにもかなり取り上げていただき、注目度も高まっています。

“世界一ひとにやさしい現場を創る”

我々建ロボテックの強みは、現場の研究から生まれるリアルテクノロジーであると考えています。

「世界一ひとにやさしい現場を創る」ために、我々は精一杯頑張りますので、ご支援をよろしくお願いします。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成
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