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「栽培レシピ」×クローズド型で生産量5倍!「プランテックス」は植物工場で日本発グローバル産業を目指す(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 リアルテック・カタパルトに登壇いただいた、プランテックス 山田 耕資さんのプレゼンテーション動画【「栽培レシピ」×クローズド型で生産量5倍!「プランテックス」は植物工場で日本発グローバル産業を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS にサポート頂きました。

【速報】“小さな水インフラ“で世界の公衆衛生をアップデートする「WOTA」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 2A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by KOBASHI HOLDINGS

山田 耕資
株式会社プランテックス
代表取締役社長

2007年東京大学大学院卒業後、ものづくりの生産工程改革で有名な㈱インクスに勤務。同社の民事再生申請時には、再生計画案を作成。インクス退社後の2010年以降は、日米計6社のベンチャーの創業に参加。2013年末に、人工光型植物工場と出会う。世界の食と農に革新をもたらす新技術であること、ものづくりのエンジニアを集結することで新技術の発展・普及に貢献できることを確信し、創業を決意。エンジニアリングの分野で卓越した実績・スキルを持つメンバーと共に、新しい産業を興すことを目指して2014年6月に㈱プランテックスを創業、代表取締役社長に就任。日本を発信源とする一大グローバル産業の創出を目指す。


山田 耕資さん 今日は、植物工場でGAFAを超える話をします。

植物工場と言うと、レタスを作る工場を思い浮かべる方も多いと思いますが、私がこれからするのは「高度な環境制御下において植物を育てる」という、新しい産業が生まれる話です。

「オープン型」植物工場は収穫重量の安定・黒字化が困難

農業に変革が求められている中で、植物工場に期待が集まっています。

世界中で活発な投資が行われている状況です。

現在、世界中の植物工場は、写真のような「オープン型」の工場がメインになっています。

我々自身も、以前は「オープン型」の植物工場の運営に直接携わっておりました。

そのときの経験から、今の方式では正確な環境パラメータの制御ができないということを確信しました。

例えば、ある工場を測定してみると温度一つとっても5℃ぐらいばらつきがあり、収穫重量が安定しなかったり黒字が安定しなかったりして、なかなか植物工場は期待に応えられていない状況でした。

環境パラメーターの制御が可能な「クローズド型」工場

そこで、植物工場もさらなる革新が必要であると考え、「クローズド型」の植物工場を開発しました。

栽培装置全体が密閉されていて、中の環境制御を外と独立で行うのが「クローズド型」の栽培装置です。

栽培装置は、設計から組み立てまでを全て自分たちで行っています。

私どもの技術は、ハードとソフトに特徴を持っています。

ハードとしては、「クローズド型」として密閉することによって、中の環境制御性を高めます。

レイヤーが違っても、同じ環境の再現性があるというものを目指して開発し、狙い通りの非常に高い制御を実現しています。

植物成長のインプット・アウトプットの数式チェーンをソフトウェア化

加えてソフトウェアとしては、植物工場の「インプット」と「アウトプット」の明確化から始めました。

植物工場では、電気、種、CO2、肥料、水を「インプット」して、植物の成長を通じて最終的には「アウトプット」である野菜を出荷します。

これは全て物とエネルギーの話ですので、全て数式で表せます。

例えば光合成速度のようなものも、どういったものが影響しているか、ソフトウエアで管理できるものを開発しました。

これは実験段階ではなく、既に量産も始めています。

京橋に施設があり、そこで日々連続生産をしています。そこで栽培された野菜はスーパーでも販売しています。

品質面でも非常に高い評価を頂いています。

オープン型植物工場の5倍の生産量を低コストで実現

生産データでは、従来の植物工場の5倍ぐらいの生産ができることが確認されています。

「クローズド型」で徹底した環境制御をすることで、「オープン型」の植物工場より、むしろ低コストで野菜が育てられることを示しています。

非常に難易度の高い栽培を高い精度で安定的にできるということが、もう一つの大きな成果として上がっています。

誤差2.5%で収まるような緻密な栽培が可能になっています。

異なる装置間でも「栽培レシピ」を再現可能

ここが一番重要なポイントです。

装置が変わっても、栽培に再現性があることが確認されています。

「栽培レシピ」というのは環境パラメーターの組み合わせですが、小型の実験機で栽培レシピを探索し、量産機にその栽培レシピをかけたときに、きちんと環境が再現されると植物の成長も再現されるということが確認されました。

これは、小型の実験機で試験したものは全て、ダイレクトにそのまま量産につなげることができるということを表しています。

どのような試験をしていくかというと、例えば露地レタスに比べてβカロチンを16倍を含むなど、機能性成分に富んださまざまな野菜が登場することが期待されます。

また、単に食の分野に限らず、例えば医療用原料の成分を多量に含んだ野菜など、健康・美容の分野にも応用されると考えられます。

ダイレクトに量産できる試験が今から可能であると言えます。

量産と研究の両輪による植物工場プラットフォーム

私どもは2021年に、栽培研究所と量産マザー工場の立ち上げを計画しています。

栽培研究所において、さまざまな栽培レシピを研究していきます。

量産マザー工場は、まずはレタス工場から始めます。

研究所から新たなレシピが開発されると、そのレシピをマザー工場に順次投入していくことで、徐々に高付加価値化あるいは多品種に対応した工場に中身を入れ替えていくことができます。

そのようなマザー工場を立ち上げます。

量産と研究の両輪で事業を回していくのが、私どものプランです。

私どもが目指しているのは、植物工場のプラットフォームを提供するビジネスです。

植物工場を建てたいという方に対して、このハードとソフトから成る生産システムを提供することで、従来以上の高収益を上げる植物工場を提供することができます。

単にハードを売って終わりではなくて、ソフトウエアを通じた安定生産のサポートも行っていきます。

加えて、さまざまな分野の方々を巻き込んで、栽培の研究開発を行っていきます。

ここで生まれたレシピは、このプラットフォームを通じて量産のプレイヤーに販売していきます。

そうすることによって、研究開発にもきちんとお金が還元される流れを作ります。

このようなビジネスを我々は目指しています。

日本のエンジニアの緻密さがアドバンテージに

このビジネスの根幹となるのは、研究開発と量産が全て同じプラットホームに乗っているということです。

同じプラットフォームに乗せるためには、先ほどから申し上げている通り、「再現性」が重要です。

それが成り立たなければ、このビジネスは成り立ちません。

非常に緻密なものづくりが絡む分野ですので、GAFAのような企業が真似をしようと思ってもなかなか参入できないということになります。

植物という非常に大きなテーマに対して、日本のエンジニアの緻密さがアドバンテージになる領域であると考えています。

最後になりますが、植物工場というのはまだ始まったばかりです。

人類はまだ、植物についてほとんど何も知りません。

これは非常に大きなグローバル産業を築くチャンスだと思っています。

ぜひ、そのような産業を一緒に創っていくことを、皆さんと一緒に目指していきたいと思っています。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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