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「ここに来たら、絶対に何とかなる」ホームレス問題に”仕組みと場づくり”で挑むHomedoor(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】

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ICCサミット FUKUOKA 2019 カタパルト・グランプリに登壇し、3位入賞に輝いた Homedoor・川口加奈さんのプレゼンテーション【「ここに来たら、絶対に何とかなる」ホームレス問題に“仕組みと場づくり”で挑むHomedoor】の文字起こし記事をぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 6B
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

(プレゼンター)
川口 加奈
認定NPO法人 Homedoor
理事長
公式HPLinkedInページ

14歳でホームレス問題に出会い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、ホームレスの人の特技を活かしたシェアサイクル事業を2011年にスタート。現在は、大阪市内70拠点以上で展開。2018年には長年の夢であった20部屋の宿泊施設「アンドセンター」を開所し、ホームレスの人累計2,000名以上に就労支援や生活支援を提供した。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」や人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣賞等、数々の賞を受賞。また、世界経済フォーラムGlobal Shapersや、Forbes誌が選ぶ30歳未満のイノベーター30人「30UNDER30」にも選出される。1991年大阪府高石市生まれ。大阪市立大学卒業。


川口 加奈氏 認定NPO法人 Homedoorの川口 加奈と申します。

本日は、皆さんからは少し縁が遠いかもしれない「ホームレス問題」についてお話ししたいと思います。

路上生活者の仕事場を作り出す「HUBchari」

日本では一度ホームレス状態になってしまうと、その境遇から抜け出す術がありません。

ホームレス状態のまま人生を終えるのが現状です。

私たちは、たとえホームレスになったとしても、もう一度やり直すことができ、そもそもホームレスにならずに済む社会をつくることを目的に活動しています。

路上生活をしていても働ける仕事場を作り出すために、ホームレス状態の方の7割が得意としている自転車修理の技術を活かして、シェアサイクル「HUBchari(ハブチャリ)」のビジネスを大阪で始めました。

皆さんも街中で見かけたことがあるかもしれませんが、株式会社ドコモ・バイクシェアの赤い自転車で、レンタサイクルを行っています。

自転車はHUBchariの拠点であれば、借りた場所以外でも返すことができます。

“おっちゃん”は一緒にHUBchariを盛り上げるパートナー

8年前にシェアサイクルを始めた当時は、まだシェアサイクルという言葉が世の中に浸透しておらず、来る日も来る日もお客さんが来ない日々が続きました。

私が初めて雇ったホームレスのおっちゃんからは事務の女の子に間違われ、「このままだと会社が倒産するやろ、社長を出せぃ」と言われたこともありました。

若い女の子に雇われるのはおっちゃんは嫌ではないだろうか、プライドが傷つくのではないだろうかと思うと、当時はなかなか言い出せずに悩んでいました。

そんな中、ある日シェアサイクルの拠点に行ったところ、こんなものができていました。

「これがあったら、お客さんが来るんちゃうか?」と、おっちゃんが作ってくれたHUBchariの看板でした。

おっちゃんには看板を作るお金はないはずなので、どうしたのかと思ったところ、「これはわしが全部拾い物で作ったんや!また拠点ができたら、看板第2号を作ってやるさかい、早よう拠点を作りや」と言ってくれました。

おっちゃんと私が、「雇う・雇われる」という関係を超えて、「一緒にHUBchariを盛り上げていくパートナー」になれた瞬間でした。

「おっちゃんの看板がもっと見たい、そのためには拠点を作ろう」と、まだお客さんが来ていない状況でしたが、拠点を増やしました。

看板第2号は有名コーヒーショップのものに似たデザインでしたが、この看板のおかげもあって、今では大阪市内に100箇所以上拠点(株式会社ドコモ・バイクシェア拠点含む)を広げることができました。

HUBchariは、大阪ガス株式会社、積水ハウス株式会社、大和リース株式会社、NTT西日本株式会社のような大企業にもご協力いただき、今では年間数万人の方が利用するまでに成長してきました。

利用者の半分近くが外国からのお客様で、おっちゃんも毎日英語で頑張ってくれています。

私たちはHUBchariから始めて、駐輪関連にもビジネスを広げていきました。

今まで200名以上のホームレスの方に仕事を提供しました。

10年前に描いた夢の施設、路上脱出を支援する「アンドセンター」

HUBchariから始め、私たちはホームレス状態からの自立への6つのステップ、多種多様なメニューを開発し続けてきました。

路上脱出の選択肢があればあるほど、路上脱出の確率も上がっていきます。

私たちは、行政では成し得ないメニューを作り続ける、開発・研究機関の役割を担っていきたいと思っています。

「Homedoorに来たら100パーセント路上から脱出できる」

そんなモデルができあがった暁には、行政に制度として取り入れてもらい、全国的に広げていきたいと考えています。

最近始めたのは「アンドセンター」という施設です。

アンドセンターは、大阪駅からHUBchariを一生懸命漕いで約7分の場所にあります。

5階建てのビル1棟を丸々借り上げ、20部屋の宿泊施設を提供しています。

ほかにも路上脱出に必要な設備・機能をいろいろ詰め込みました。

このアンドセンターの完成もあって、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」の再出発サポート賞を受賞することができました。

実はアンドセンターは、私が10年前に描いた夢の絵がもとになっています。

「ここに来たら、絶対何とかなる」と思える安心な場所を作りたくて、何とか完成に漕ぎつけることができました。

利用者の方に、感想を伺いました。

Homedoorの認知を広げるための「夜回り活動」

現在は、全国から年間300名の方が新規のご相談に来るようになりました。

多くの企業に支えていただきながら、「誰もが」「何度でも」やり直せる社会を目指しています。

私たちは85食のお弁当をおっちゃんたちに配る夜回り活動を行っています。

お弁当をお渡しするときに、住居、仕事の提供についてのチラシを同封しています。

おっちゃんたちは、そうしてHomedoorのことを知ります。

ある日の夜回りは、ICCサミットでもおなじみ、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社(当時)の安渕聖司さんと株式会社グライダーアソシエイツの山口翔さんがいらしゃってくれました。

安渕さんにHomedoorご支援の理由を伺ってみました。

ホームレス状態を生み出さない日本にしたい

最後に皆さんにお願いがあります。

ぜひ私たちの活動を支えるサポーターになってください。

アンドセンターは毎月100万円の家賃がかかるため、毎月1,080円をご寄付いただけるサポーターを1,000人集めようというキャンペーンを始めて、2019年2月時点で900人まで集まっています。

ぜひ皆さまにも、そのうちの1人になっていただければと思います。

ご清聴ありがとうございました。

(終)

▶実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

▶参照リンク:高校3年生で描いた夢の施設が実現! Homedoorが作る、ホームレス状態脱出の仕組み

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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美

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