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IoTベンチャー”Cerevo”のグローバルニッチ戦略 – 競合がいないモノづくり【F17C-CRV #2】

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Cerevo岩佐琢磨さんのプレゼンテーションを3回シリーズでお届けします。(その2)では、豊富な製品ラインナップをご紹介頂きました。ニッチな製品を多く市場投入する裏にある戦略とは?

ICCカンファレンス FUKUOKA 2017「カタパルト・グランプリ」プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひご覧ください。

スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「カタパルト(CATAPULT)」のオフィシャル・サポーターです。

本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」「カタパルト・グランプリ」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
CATAPULT GRANDPRIX (カタパルト・グランプリ)
Supported by IBM BlueHub

岩佐 琢磨
株式会社Cerevo
代表取締役

1978年生まれ、立命館大学大学院理工学研究科修了。2003年からパナソニックにてネット接続型家電の商品企画に従事。2008年より、ネットワーク接続型家電の開発・販売を行なう株式会社Cerevo(セレボ)を立ち上げ、代表取締役に就任。世界初となるインターネットライブ配信機能付きデジタルカメラ『CEREVO CAM live!』や、PCレスのライブ配信機器『LiveShell』シリーズなどを開発し世界50カ国以上で販売。2016年にはフル可動式ドミネーターを発売するなどその業務範囲を広げている。

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【本編】

▼Part1のハイライト▼

岩佐 琢磨(以下、岩佐) 株式会社Cerevo 代表取締役の岩佐と申します。

まず、我々はIoTスタートアップです。

(注) IoT = Internet of Things

当時、「IoT」という言葉がなかったので「ネット家電」と言っていましたが、IoTスタートアップを2008年からやっています。

今、9期目の会社です。最初は僕らも相当苦労しました。

「Hardware is hard」(ハードウェアのビジネスは難しい)とよく言われますが、最初に、世界で初めてインターネットに映像をライブで流せるコンパクトデジタルカメラ「CEREVO CAM」というのを2009年に出したのですが、非常に苦しかったです。

今は、アジアの工場を全部ダイレクトにコントロールしています。

これは我々の製品を作っているラインでございます。

▲Part1のハイライト終わり▲

岩佐 Cerevoはハードウェアの売切りモデルなのですが、かなりユニークなビジネスモデルを取っています。

ざざっとご紹介していきたいなと思います。

まず、商品ラインナップが26個あります。

いろんな人に「何でだ?」と言われるのですが、簡単にご紹介しましょう。

簡単にフルHD動画を配信できる「Live Shell X」

どういうものを作っているかというと、まず今日、まさにこのICCカンファレンスのカタパルトをライブ配信していただいている機器が、この「Live Shell X」でございます。

皆さんのご自宅にあるようなビデオカメラ、あるいは会場後方にあるような大きな業務用のカメラとHDMIケーブル1本でつなぐだけで、誰でも簡単にH.264、H.265のフルHDのFacebookライブ、Ustreamライブ、YouTubeライブがボタン1つで3本同時に配信できる機械でございます。

スイッチングしながらライブ配信できるLive Wedge

それにビデオスイッチング機能を付けた「LiveWedge」というものを売りました。

家のいろんな場所をスクリーンにするTipron

これはちょっと変な商品なんですが、ホーム・ロボットも作っています。

トランスフォーマーのように変形して、皆さんのご自宅の壁、天井、床といったものを全部スクリーンに変えてしまうという新しいロボットでございます。

ぜひプロモーション動画もご覧ください。

税抜き22万9,800円で既に我々のウェブサイト、およびアマゾンで買うことができます。

変形するデスクランプ「Lumigent」

今年(2017年)のCESでは、このLumigentという新しいロボット・デスクランプを発表しました。

ぜひプロモーション動画をご覧ください。結構面白くて、デスクランプが変形します。

しかも、音声認識を入れているので、「Hi Lumi, Turn on!」と言うと、彼女がバッと変形して、適切にデスクの上を光らせてくれます。

※2017年5月に、Alexa Voice Servicesへの対応を発表

これはカメラが入っているので、デスクの上の書類なんかを簡単にデータ化してネットワークに飛ばすことができます。

触角のVRを味わえる靴「Taclim」

これ(Taclim)は今回話題になりましたね。ニュースで見たという方はいらっしゃいますか?

相当、海外のメディアでは話題になったんですが、これは靴でございます。

動画などはengadget「Meet the VR boots that want to make you feel every step」をご覧ください。

VRのために作った専用の靴でございます。日本電産と一緒に協業して作りました。

このシューズを履いて、VRグラスをかけて、VRの世界を歩いていただくと、ここは氷だな、ここは草むらだな、ここは砂だなと。

あるいは、現実にないような、電気びりびりの床を歩いている、ダメージが・・・というような触感を楽しむことができる新しいシューズです。

スノボで滑る際の重心をキャプチャできるXON SNOW-1

これ(XON SNOW-1)も、スキー・スノボの有名なお店であるビクトリアさんで既に売られています。

世界で初めてスノーボードのバインディングにブルートゥースとセンサーを入れて、どういう重心移動で今スノボを滑っているのかをリアルタイムで全部スマートフォンのアプリでキャプチャできるというものを作りました。

「見せる」調光ユニットOTTO

流行のスマートホームの製品も開発しました。スマートフォンで制御する「見せる」調光ユニット「OTTO」です。

スマート・アラーム「cloudiss」

さらに流行のiPhoneガジェットも開発しました。スマート・アラーム「cloudiss」 を開発しました。

cloudissは、Bluetooth 4.0LE(Low Energy)を備えた小型のスマートフォン連携型アラーム装置です。

ちなみに、これは朝弱い方に非常に適切な、朝起きるための周辺機器でございますので、ぜひ調べてみてください。

IoT玩具「DOMINATOR」

アニメが大好きという方は、こちら(DOMINATOR)をご存じの方は多いかもしれません。

有名なアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 」に登場するドミネーターという武器を最先端のテクノロジーで玩具にしました。

ぜひ動画もご覧ください。

IoT玩具と我々は言っています。

インターネット・オブ・トイでございます。

税抜き7万9,800円という相当高額な値段にもかかわらず、生産が追いつかないぐらいの販売になり、非常に大きく我々の売り上げを支えてくれている商品でございます。

Cerevoの「グローバルニッチ」戦略

今の商品ラインナップを見ていただいて、素晴らしいし、面白いねとご理解いただいたと思います。

しかし、そういう方以外は、今すぐうちで欲しい、うちの家内が欲しいとパッと思われたものはほとんどなかったと思います。

なぜなら、我々は、グローバルニッチという非常に特殊なストラテジー(戦略)を取っているからです。

1か国あたり100個しか売れなくてもいいのです。ただし、100か国で普遍的に売れるものを作ろうじゃないかと考えています。

そして、その商品を100ラインナップ作るのです。

もちろん、この100というのは分かりやすく書いているだけなのですが、仮にこれを達成することができ、1台1万円儲かれば、これは100億円の利益が出ます。

こんなにおいしいビジネスはないだろうということで、このストラテジーでやっています。

そんなのが現実的にできるのかという話なのですが、やってみると結構いいです。

まず、コンペティター(競合他社)が入ってきません。

ドミネーター(DOMINATOR)を今から作ってやろうみたいな会社が来るわけがありません。デスクランプをロボット化しようと誰が考えるのでしょうか。

すでに、我々はもうマーケットに入っている状態で、100か国で100個ずつしか売れないようなそんな狭いマーケットに、コンペティターが今から来るのかというところが非常に大事なポイントでございます。

もう1つの利点は、そういうものはプロモートしなくていいのです 。

サイコパスのファンの人はドミネーターを拡散してくれます。

ロボット・デスクランプはおもしろいねという方は、それを拡散してくれますし、コンペティターがいないので、うちのほうが露出がありますよとか、うちの方が安いですよとプロモートする必要がほとんどありません。

これは非常に売りやすいのです。

しかも、製品ジャンルをどんどん増やしていけば、非常に簡単にスケールできます。

この特徴のあるビジネスモデルを我々はグローバルニッチと呼んで、日々これを研ぎ澄ませているという会社でございます。

現在(2017年2月) 販売している国が大体55か国ぐらいで、通常、日本のスタートアップの企業さんがまずコラボレーションをすることのない国、ラトビアやウクライナ、ナイジェリアなどにも販売をしておりまして、まさにグローバルニッチでやっております。

(続)

Cerevo岩佐琢磨さんのプレゼンテーション動画をぜひご覧ください。

続きは CESでも大人気!なぜIoTベンチャー「Cerevo」は革新的な製品を生み出せるのか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/村木 よしこ

【編集部コメント】

いろいろ商品を紹介してもらいましたが、プロジェクターを搭載したホーム・ロボ「Tipron」が一番気になりました。というのも、壁に(普通の)プロジェクターで投影しながら、Nintendo Switchでスプラトゥーン2をしたのですが、すごい新鮮な感覚だったんですよ。Tipronは、ゲームの楽しみ方の可能性を広げてくれそうです。(横井)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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