【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2023 開催情報詳しくはこちら

1. シリコンバレーの約2割は“実質インド企業”? インド工科大卒の超秀才たちが創る新たなスタートアップ像

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

「教えてほしい!グローバル市場の最新動向(インド/イスラエル/ブラジル)」全9回シリーズの(その1)は、リブライトパートナーズ蛯原さんによるインド市場の解説です。蛯原さんは、世界で活躍するインド人起業家の特徴として「インド工科大学卒」「移民1世」の2点を挙げます。シリコンバレー企業には、そんなインド出身の起業家が創業した企業が数多くあるとのこと。ぜひご覧ください!

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(インターン)を募集しています。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2020年2月18~20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 12E
教えてほしい!グローバル市場の最新動向 (インド/イスラエル/ブラジル)

(ナビゲーター)

三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表

(スピーカー)

蛯原 健
リブライトパートナーズ 株式会社
代表パートナー

竹内 寛
MAGENTA Venture Partners
Managing General Partner

中山 充
株式会社ブラジル・ベンチャー・キャピタル
代表

濱田 安之
株式会社 農業情報設計社
代表取締役 CEO, ファウンダー

※ 本セッションは2020年2月に開催されました。その後世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、現在の市場動向は異なる可能性がございます。

「教えてほしい!グローバル市場の最新動向(インド/イスラエル/ブラジル)」の配信済み記事一覧


本編

三輪 開人さん(以下、三輪) こんにちは!今回のICCサミット最後のセッションとして「教えてほしい!グローバル市場の最新動向」を選んでいただきありがとうございます。

本セッションのナビゲーターを務めます、e-Educationの三輪です。よろしくお願いします。


三輪 開人
特例認定NPO法人 e-Education
代表

1986年生まれ。早稲田大学在学中に税所篤快と共にNPO、e-Educationの前身を設立。バングラデシュの貧しい高校生に映像教育を提供し、大学受験を支援した。1年目から合格者を輩出し「途上国版ドラゴン桜」と呼ばれる。大学卒業後はJICA(国際協力機構)で東南アジア・大洋州の教育案件を担当しながら、NGOの海外事業総括を担当。2013年10月にJICAを退職してe-Educationの活動に専念。2014年7月に同団体の代表理事へ就任。これまでに途上国14カ国3万人の中高生に映像授業を届けてきた。2016年、アメリカの経済誌「Forbes」が選ぶアジアを牽引する若手リーダー「Forbes 30 under 30 in Asia」選出。2017年、第1回ICCカタパルト・グランプリ優勝。著書『100%共感プレゼン』(2020年、ダイヤモンド社)。

本日は、インド、イスラエル、ブラジルの3カ国が対象です。

タイトルの通りこの順番で4名のスピーカーにプレゼンテーションをしていただきながら、適宜質疑応答の時間を設けたいと思います。

でははじめに、蛯原さんからインドの紹介をいただきます。蛯原さん、お願いします!

2014年インド投資を本格始動、リブライトパートナーズ蛯原さん

蛯原 健さん(以下、蛯原) リブライトパートナーズの蛯原です。よろしくお願いします。


蛯原 健
リブライトパートナーズ株式会社
代表パートナー

1994年 横浜国立大学 経済卒、同年 ㈱ジャフコに入社。以来20年以上にわたり一貫しITスタートアップの投資及び経営・創業に携わる。2008年 独立系ベンチャーキャピタルファームとして、リブライトパートナーズ㈱を創業。2010年 シンガポールに事業拠点を移し、東南アジア投資を開始。2014年 インド・バンガロールに常設チームを設置し、インド投資を本格開始。現在はシンガポールをベースにアジア各国にてテクノロジー・スタートアップへの投資育成を行うベンチャーキャピタルファンドを運用している。日本証券アナリスト協会検定会員 CMA。

私は会社も自宅もシンガポールにあり、そこから東南アジアとインドを対象にVCファンドをやっております。

リブライトパートナーズWEBサイトより

4つのファンドを運用しており、直近の2ファンドは「インド」が対象です。

ポートフォリオは東南アジアの中では飛び抜けてインドネシアが大きく、その次がインドです。

インド人と日本人の混成チームで、おそらくインド人のゼネラルパートナーがいる日本のVCファームは弊社だけだと思います。

ということで、本日は我々がインドにどっぷり入っていますというお話をしたいと思います。

まず、このスライドは世界最大の民主主義国家といわれるインドの国家元首とシェイクハンドしたという、自慢のスライドです。

(スライド省略)

モディ首相がおととし来日された折、「インドのスタートアップへ投資している投資家を」ということでお呼びがかかりました。

僕を含めて5人ほどが参上したのですが、実際はモディ首相が99%話をされていました(笑)。

モディ首相はものすごい営業マンで、日本で営業をされてお帰りになりました。

さてつかみはこの程度にして、本題に移ります。なぜ、インドが世界経済を牽引するテクノロジー大国なのか? その理由として、今日私が皆さんに伝えたいのは次の3つです。

1つ目が、インドの人々は高技能職種において世界で最も活躍している人材であること。

2つ目が、インドはグローバルトップ企業群のイノベーションセンターであること。

3つ目が、今日のメインの議題で、インドは米中に続いて世界第3位のスタートアップ大国であることです。

世界で活躍する「インド工科大卒」「移民1世」の起業家たち

蛯原 まず1つ目の「高技能職種において世界で最も活躍している人材である」という点ですが、皆さんこの方をご存知でしょうか。

マサチューセッツ工科大学経済学部WEBサイトより

2019年ノーベル経済学賞を受賞されたアビジット・バナジー氏で、この方はインド系の移民1世です。

ノーベル経済学賞「実証実験による貧困対策」に(東洋経済オンライン)

彼は大学まではインドですが、そこからアメリカへ渡ってさらに学問を究められています。

実は今日はこの「移民1世」の話を色々とお伝えしようと思っています。

次のこの方々もインド系移民1世の典型と言われる方々です。

(スライド省略)

中央のヴィノッド・コースラ氏は、サン・マイクロシステムズ(2010年オラクルに吸収合併)の共同設立者でトップキャピタリストの1人です。

左は、ロンドン在住で鉄鋼最大手アルセロール・ミタルCEOのラクシュミー・ミッタル氏、右はタイ在住で石油化学製品製造で世界トップシェアを誇るインドラマ・ベンチャーズグループCEOのアローク・ロヒア氏です。

このようなインドの起業家は皆さんインド工科大学の出身で、次の方々も非常に典型的です。

(スライド省略)

右のラジーブ・ミスラ氏は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの社長です。

左のアヒット・ジェイン氏は、投資会社バークシャー・ハサウェイの副会長で、かの有名なウォーレン・バフェットCEOの後継者と言われている方です。

トップのお二方とも90歳台と高齢ですのでそろそろ世代交代が言われています。その候補として名が挙がっているのがジェイン氏で、おそらくもう一人の候補者とのツートップ体制になると思われます。

そして今ご紹介した方々は全て、インド工科大学の出身者です。

シリコンバレー企業の約2割は「実質インド企業」?

蛯原 次は著名ベンチャーキャピタリストのメアリー・ミーカー氏が発表した「2019 Internet Trends report」を元にしたスライドです。

(スライド省略)

同レポートでの米国ユニコーン企業統計において、移民1世起業家の国別ランキングでは1位がインドで、2位がイスラエルという結果が出ました。

米国企業と思われがちなシリコンバレー企業にも、インド出身の起業家が創業した企業が数多くあります。

そうした企業の経営者の大半が、インド工科大学(Indian Institute of Technology:IIT)の出身者です。

モノが実際に作られているのはインドのバンガロールやハイデラバード。共同創業者の半分はインド在住で、もう半分がシリコンバレー在住。

登記がデラウェアで、だいたいシリーズBぐらいになってきている彼らは「我々はシリコンバレー企業です」と名乗りますが、なんのことはない「インド企業」です。

公の数値としては出ていないのですが、私のざっくりとした感覚と色々な統計から、シリコンバレー企業の約2割はインド企業だと考えていただいても、そんなに外れてはいないと思っています。

次のスライドはインドのユニコーン企業上位10社の表ですが、先ほど申し上げた通り、彼らトップ経営者のほとんどはIIT出身です。

(スライド省略)

そして10人中9人がマイクロソフトやアマゾン等の大手グローバル企業の就業経験者、4人が英米上位大学の学位保持者です。

人口12億人中約1万人の超秀才にあたる彼らが、スタートアップをやり出しているのがインドの現状です。

一昔前は、より高い給料を目指しアメリカへ渡ってグローバル企業に勤めていたわけですが、今やそこを数年で辞めて帰国し起業に至るというのが、典型的なプロファイルとなっています。

三輪 ちなみに会場の皆さんに伺いたいのですが、インドのIITをご存知の方はどれぐらいいらっしゃいますか? (会場挙手) ありがとうございます。

インドの企業は知られていなくとも、IITはある程度の知名度があるかと思います。ご参考までに言うと、IITは東大の100倍難関だと言われている大学です。

実際の倍率はそこまでないのですが、それでも物凄い競争が働いていて、このIITを中心にインドでの受験熱が劇的に動いているイメージを持っていただくと、この後の話も分かりやすくなるかなと思います。

蛯原 『きっと、うまくいく』という映画をご覧になった方はいらっしゃいますか? 物凄く面白い映画なので、まだの方はぜひご覧になってください。

きっと、うまくいく(字幕版)(Amazon Prime Video)

作中では名言されていないものの、舞台は明らかにインド工科大学です。

3人の学生が卒業後に色々としっちゃかめっちゃかやるのですが、IITの感じがとてもよくお分かりいただける映画です。

三輪 『きっと、うまくいく』は私が今日のためにと仕込んでこの後に披露しようと思っていたネタだったのですが、今一瞬で暴露されてしまいました。

(会場笑)

すみません。蛯原さん続けてください(笑)。

優秀な人材をインドのIT系トップ大学に求める大手グローバル企業

蛯原 はい(笑)。次の話題ですが、インドはテック人材が世界一多い、これは改めて申し上げるまでもないですね。

日本で言うところのいわゆるSIer、これは和製英語ではありますが、そうした人材はここに示すようなグローバル企業1社で数十万人単位が必要とされています。

そこをインドに採りに来たのが中央のIBMアクセンチュアで、アクセンチュアの社員の半分以上はインド人、IBMは確か約3分の1がインド人です。コグニザントというアメリカのIT会社にいたっては、7割がインド人です。

あとはGAFAが、いわゆるデータ解析系の人材をインドインドに採用しに来ています。

そして私が今注目しているのは、デバイス系の企業です。

例えばNVIDIA(エヌビディア)は、Tegra(テグラ)と呼ばれるテスラ向けのチップをインドで製造しています。最新のチップやデバイスを、現地の3,000人のインド人社員が地元バンガロールで生産しています。

インドには、IIT以外にもトップIT大学と称される大学があります。

例えばマイクロソフトCEOのサティアナ・ナデラ氏は、IITではなくマニバル工科大学の出身、アドビシステムズCEOのシャンタヌ・ナラヤ氏はオスマニア大学の出身です。

右側のインド経営大学院(IIM)はMBAスクールで、ご覧のような方々の出身校となります。

(スライド省略)

インドの理工系大学は年間150万人の卒業生を輩出しているわけですが、日本の大卒者は年間60万人ですので、インドは理系だけで日本の大卒総数の2.5倍の人数を輩出していることになります。

そして日本は圧倒的に文系人材が多いことを踏まえますと、この規模がいかに破格かをご理解いただけるかと思います。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 2. グローバル企業がインドで行う「イノベーションのアウトソース」とは をご覧ください。

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/小林 弘美/蒲生 喜子/戸田 秀成

他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!