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野菜の安定・大量生産を”植物工場”で実現する「ファームシップ」【K16-5D #4】

ICC KYOTO 2016 S5D

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「1次産業(農業水産業) × ITから生み出されるビック チャンス 」【K16-5D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その4)は、ファームシップ安田さんに植物工場事業の紹介を頂きました。ICC KYOTO 2016 スタートアップコンテスト「カタパルト」で優勝した事業を是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております


2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 5D
「1次産業(農業/水産業) X ITから生み出されるビック・チャンス」

(スピーカー)
小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役

藤原 謙
UMITRON PTE. LTD.
Founder / Managing Director

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役

(モデレーター)
椿 進
Asia Africa Investments & Consulting Pte.Ltd.
代表取締役/CEO

「1次産業(農業水産業) × ITから生み出されるビック チャンス 」の配信済み記事一覧

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【本編】

椿 では、カタパルトで1位をとった安田さん、お願いします。

安田 どんどんマニアックになってきてますね(笑)。

牛、魚、そして最後は植物工場です。

ICC KYOTO 2016 S5D

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役
http://farmship.co.jp
 
1981年3月福岡県生まれ。明治大学農学部卒業。公認会計士。
大学にて施設園芸を専攻し、卒業後渡米。米国オレゴン州のOregon Roses, Inc.にてバラの生産管理及び販売業務に従事する。帰国後、新日本有限責任監査法人の国際部にて監査業務及び内部統制のアドバイザリー業務を通じて、大手総合商社のグローバル監査を統括。退職後、ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン社の経営企画、事業開発マネージャーとして事業推進を行う。その後、大規模植物工場事業運営会社の、事業企画責任者として、国内外の事業開発及び経営管理を担当。2014年3月ファームシップを設立し、同社代表取締役就任。福岡の実家は花卉専業農家。

植物工場で食料を安定生産「ファームシップ」

植物工場は馴染みのない方もいらっしゃると思うので、最初に少し説明します。

FARMSHIPは農業に関連する課題を解決する会社です。

私たちがキーテクノロジーの1つとして持っているのが植物工場で、運営のノウハウや使いこなす技術が私たちの強みです。

私たちは、完全に人工光型のものを植物工場の定義としています。

オランダ型やアメリカの施設園芸のように、高度に環境制御されているものでも太陽光を使っているものも多く、両国はその技術が強いのですが、日本等アジアでは、完全閉鎖型の植物工場技術が進化しています。

植物工場は、基本的に外界で通常に行われている農業を建物の中で再現するというシステムで、地下の部分は土の代わりに養液で水耕栽培し、地上部は温度や湿度、Co2をセンサーを配置することで環境を自動制御しています。

なぜ私たちは植物工場をやっているかというと、

今回2つポイントを上げていますが、1つ目は安全な食料の安定生産です。

植物工場は完全に建物の中で作るので、外界の影響を受けません。

例えば中国でどんな農薬を使って野菜が作られているかというを追うことは難しく、正直 何が使われているか分かりません。

そういった心配から完全に切り離し、しかも安定的に生産することができます。

建物の中で野菜を作ると、栄養化や味に関する質問をよく受けるのですが、味は主観的なもので、こちらの方が美味しいという人もいれば味が薄いという人もいます。

また味は基本的に品種に由来する部分が大きいため、植物工場で栽培することが影響するということも無いと思いますし、水耕栽培の特長は肥料を潤沢に与えることなので、実は栄養価が高かったりするので、基本的に危険性はありません。

植物工場で農業の大規模化が日本でも実現できる

安田 もう1つのポイントは生産性です。

農業は規模の経済が働くので、大規模でどんどんやった方がいいのですが、例えば日本の農業やアジアの農業、島国の農業は大規模化が難しいですよね。

しかし、狭い土地面積でも多段にすることで土地生産性を高くすることができます。

そういった意味でも植物工場の価値はどんどん上がっていくと考えています。

ただこんな大きい建物に棚を敷き詰めて、LED使って野菜を作るわけなので、ビジネスとして成立するか、というのが今まで色々と議論されていました。

今までトライして失敗した事業者さんも多いのですが、

私たちはしっかりとオペレーションのノウハウを作ってやってきた結果、基本的に規模の経済が働くビジネスなので、大きくやってちゃんとやればしっかり儲かります。

例えば、20億円ぐらいかけて植物工場を作り、毎日3万株ぐらいレタスを生産し、1株100円で売るとします。毎日3万株種蒔いて、毎日3万株収穫するんです。

レタスはだいたい35日から40日で収穫できるので、建物の中に常に100万株以上のレタスがうわっている、といったサイクルで回していきます。

そうすると1日の売上が300万円、年間売上10億円、これくらい規模を大きくすると、償却後の営業利益も2.5億円規模のメリットが出てくるようなビジネスになります。

植物工場収益化の経験者たちが集結

2年半前にFARMSHIP(ファームシップ)を設立しましたが、大規模な植物工場の収益化を経験したチームがスピンアウトした形で作りました。

スピンアウトした会社が日本の市場環境で10億円、20億円を調達して、一気に大規模な植物工場事業を行うことは難しく、私たちはお金はありませんでしたが、ノウハウはあります。

野菜の販路も作ることができるので、植物工場に興味がある企業さんに対してコンサルのサービスやオペレーションの受託から始めました。

その第一号案件が富士ファームというところで、静岡県の富士市に日産12,000株、LEDとしては世界最大クラスの工場を作らせてもらいました。

オーナーさんが別途いて、業務は基本的に全部私たちが受託していました。

私たちの第一号案件だったので、ここでオペレーションの仕組みを作り、また色んなブランドを作り、野菜の販路を作っていきました。

富士ファームを2015年に作り、ここでノウハウを作り上げ、そのあと兵庫県、三重県、富士、と続き、先2年の間に大規模の植物工場5拠点ぐらい回していく予定です。

それとは別途、ラボも含めて小規模のものも複数やっています。

大規模の工場が稼働していくと植物工場の業界での立ち位置は、事業規模ではグローバルでトップ5のうち4つが私たちが手がけている植物工場になり、マーケットリーダーの青写真が見えてきています。

私たちとしてはより技術を深掘りし、よりスケールしていくビジネスをどんどん作っていこうと思っています。

生産から流通まで一貫したマネジメントシステム

安田 これらの野菜は、飲食店さんにも非常に評価されていて、都内のブランド系のカフェ等で取扱っていただいています。

そして、野菜の8割9割は首都圏のスーパーさんで販売していただいていて、個包装された野菜が店舗に並んでいます。

では、私たちはどのような技術を深掘りし、スケールアウトさせていくかということですが、植物工場はハードとソフトの色々な技術の集合体です。

私たちが強いのはソフトのノウハウで、ハードはLEDにしても技術革新がすごいので、色んなメーカーさんとお付き合いしながら最適な物をその都度選んでいく、といったやり方をしています。

ソフトのノウハウは、ファームノートと名前が似ていますが「FARMPORT」というシステムを導入しています。

流通のマネージメントシステムもあり、植物工場は完全に計画生産ができるので需給のマッチングが非常にやりやすいんです。

これらはB to Bのツールですが、システムとしてノウハウを組み込み、このソフトノウハウを広く展開していきたいと思っています。

オペレーターモデルの展開と技術諸々高めていくために自社工場を作っていき、また今は食べ物としての野菜を作っていますが、近い将来は天然資源といわれている領域にいきたいと思っています。

薬の原料等は欧米では市場は10兆円規模あるという話しも聞きますし、そういったものが植物工場で提供できたらと思っています。

椿 どうもありがとうございます。

少しお伺いしたいのですが、先程の収益は基本電気代、エネルギー代も込で、償却を入れても売上10億で、利益が2.5億になるということですか。

安田 そうですね、EBITDA(償却前利益)ではなく償却後です。

あれくらい規模を大きくすると、あれぐらい稼げます。

今、日本では3億円から5億円前後の投資が多く、それだと損益分岐点を超える規模になっていないところが多いです。

ICC KYOTO 2016 S5D

椿 そうですよね、私もいろいろなご相談を受けますが、ほとんとが採算が合わないんですよね。植物工場で唯一すごく儲かっているのは「きのこ」です。

ホクトさんや雪国まいたけさんは世界でもとっても儲かっていて、上海で作っても業社がみんな取りに来るぐらい素晴らしいモデルです。

私からも目先を変えて、アフリカの農業をご説明したいと思います。

(続)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり

続きは 今、ルワンダのマカデミアナッツ事業が熱い!(AAIC椿) をご覧ください。

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【編集部コメント】

続編(その5)では、Asia Africa Investments & Consulting 椿さんに、運営するアフリカ専用ファンドで投資する、マカデミアナッツ栽培の事業紹介を頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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